買い物ゼロ秒時代の未来地図

2025年、人は「買い物」をしなくなる<生活者編>
未読
買い物ゼロ秒時代の未来地図
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2025年、人は「買い物」をしなくなる<生活者編>
未読
買い物ゼロ秒時代の未来地図
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2021年01月29日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

2020年の最大の出来事は、なんといっても新型コロナの席捲により、私たちの生活様式が大きく変化したことだろう。複数にわたる緊急事態宣言、数度の感染拡大などで、人の動きは大幅に制限された。リモートワークが進み、都心に住む必要が無くなった人々は地方や郊外に目を向け、その価値が見直されている。

こうした中、新型コロナウイルスによって「買い物」のあり方が急速に変化した。買い物の多くがアナログからデジタルに移行し、店舗の持つ意味や価値も変わってきている。これまでは、店舗の立地や店舗内の棚の場所に価値があった。だがいまや買い物の一等地はデジタル上の棚、本書でいう「デジタルシェルフ」にある。価値があるのは消費者の目につく場所、つまり検索上位の場所になったというわけである。

ECの進化は、第1世代「目的」、第2世代「発見」と来て、今後は第3世代「楽しさ」の方向にかじを切っていくというのが、日米中のデジタル消費の最先端を知る著者の予想である。買い物に関する価値観が変化する中、企業は消費者とどう「共創」するかを考える必要がある。

近い未来に実現するかもしれない世界にどう対応するか。その問いに対する1つの答えを、本書は示している。

著者

望月智之 (もちづき ともゆき)
東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも を共同創業。同社は消費財ブランドに対するD2C・ECコンサルティング会社として、現在までのべ9500案件以上を支援し、2020年12月には東証マザーズ上場。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。番組ナビゲーターを務めるニッポン放送「望月智之 イノベーターズ・クロス」のほか、J-WAVE、東洋経済オンライン、ダイヤモンド・オンラインなど、メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。著書に『2025年、人は「買い物」をしなくなる』がある。
https://itsumo365.co.jp

本書の要点

  • 要点
    1
    買い物は「仕方」と「探し方」で分類できる。仕方には6つのパターンがあり、発見は「目的系」と「発見系」という2つのパターンに分けられる。
  • 要点
    2
    アマゾンと楽天の強さの理由の1つに、失敗を避けるための仕組みがある。楽天は1回目の買い物に、アマゾンは2回目以降の買い物に強い。
  • 要点
    3
    EC大国の中国ではリアル店舗の出店ブームが起き、米国ではダークストアという形式の店舗モデルが生まれている。
  • 要点
    4
    EC進化の第3世代は「楽しさ」だ。消費者と顧客の共創が進む社会では、買ったあとの顧客体験をどのようにつくるかがカギとなる。

要約

【必読ポイント!】買い物を科学する

デジタル時代の買い物の仕方
Blue Planet Studio/gettyimages

そもそも買い物とはどのような行動か。本書では買い物を「仕方」と「探し方」という2つの面から考察する。

買い物の仕方は、6つに分類できる。どれもアナログからデジタルに移行する中で生まれた新しい手法だ。

(1)ウィッシュリストショッピング

気になった商品を「お気に入りリスト」に入れ、まとめて検討し購入する。忘れたくないものを保存しておく方法だが、買わずにリストに残るケースも多い。

(2)レコメンドショッピング

調べたり選択したりするのが面倒な人が、SNSで誰かがすすめている商品をそのまま買うケースが増えている。調べる手間が無く、楽で手っ取り早い方法だ。

(3)カウンセリングショッピング

これは店舗やブランドに、自分に合う商品を選んでもらう買い方だ。典型例はコスメ購入時に店員に相談しながら買うことである。現在ではリアルでのカウンセリングが激減し、オンラインカウンセリングに移行しはじめている。

(4)インフルエンサーショッピング

影響力を持つインフルエンサーや友人がすすめる商品を購入する。レコメンドショッピングと近いが、「知らない誰かのおすすめ」と「名前を知っている人のおすすめ」という違いがある。

(5)DtoCショッピング

卸や小売りを通さず、メーカーから直接個人に販売する方法だ。双方向コミュニケーションが可能となり、個人とメーカーがつながれるようになったことから生まれた。

(6)ストップウォッチショッピング

買い物にかける時間を短縮したい消費者のニーズに応えたもので、サイトの注文履歴から「同じ商品」を注文するなど、短時間で手間をかけずに購入するショッピング形態を指す。究極的には思考時間をゼロにし、選択から配送までを自動化することが狙いだ。

これら6つに共通しているのが、煩わしさの排除だ。デジタル化がこうした新しい買い方を、私たちの生活に定着させはじめている。

商品の探し方は2つに分けられる

次に商品の「探し方」だ。探し方のパターンは、「目的系」と「発見系」に分類される。今後、この2つは両極化していくだろう。目的系は、日用品や食品などの商品が対象で、面倒を無くすため、今後は自動化が進む領域だ。一方で発見系は、SNSのレコメンドやバーゲン情報から商品を購入するような行為を指す。魅力的なコンセプトがあればあるほど、その商品は発見されやすい。

世の中の買い物の大半は目的系だ。毎日発生する目的系に対し、発見系は時折発生する程度である。しかし発見系の場合、SNSなどの情報を介してヒット商品になるポテンシャルを秘めている。

アマゾンと楽天の違い
Ilya Burdun/gettyimages

人々がネットの買い物で意識しているのは、「失敗を避けたい」ということだ。アマゾンと楽天が強いのは、はじめての買い物でも失敗しにくい仕組みが備わっているからである。ECでの買い物では、はじめて買う商品を手に取って確認できない。そこでアマゾンや楽天には、レビューや口コミを公開し、すでに購入した人の書き込みを確認して安心感を得られるようにしている。そして両社とも、膨大なレビューや口コミの蓄積がある。

では楽天とアマゾンの違いは何か。

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要約公開日 2021.04.30
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