チームワーキング

ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方 
未読
チームワーキング
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ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方 
未読
チームワーキング
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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出版日
2021年03月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

職場、学校、友人付き合いなど、人はみな他人との関わりの中で生きている。ただ同じ空間にいる、同じ時間を多く過ごしている。それだけならいいが、ある目標に向かって一緒に活動するとなると、楽しいことだけではなく、頭を悩ませることも多くなるのは想像に難くないだろう。「チーム」という言葉を聞くと、ちょっとモヤッとするのはそのためかもしれない。

学生時代の文化祭の準備で、やる気のある人、言われたことはちゃんとする人、もはや何もしない人など、チーム(クラス)のメンバーの中でも温度差があったことを思い出す。世の中にはさまざまな人がいて、それぞれ考えも興味があることも違うのだからしょうがない。だが、何かひとつの物事を一緒にしなければいけない場面ではどうすればいいのだろう。

本書ではまず、「チームは一方向に向かって発展するものではない」といったことが書かれている。私たちは幼い頃から「みんなで目標に向かって頑張りましょう!」といわれてきたが、変化の多い現代ではそれは不可能に近い。まずは、チームで行動することに対する考え方を変えなければいけないのだ。

本書全体を通して感じたのは、これからの時代は、変化を読み取り、それに対して自分の行動を変えていく柔軟さがますます重要になるということだ。これはチームとして働くときだけでなく、今後の生き方全般に当てはまることだろう。

著者

中原淳(なかはら じゅん)(立教大学 経営学部 教授)
立教大学 経営学部 教授。立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所 副所長などを兼任。博士(人間科学)。専門は人材開発論・組織開発論。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授等を経て、2017年‐2019年まで立教大学経営学部ビジネスリーダーシッププログラム主査、2018年より立教大学教授(現職就任)。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究している。
著書に『職場学習論』『経営学習論』(ともに東京大学出版会)『研修開発入門』(ダイヤモンド社)『駆け出しマネジャーの成長論』(中公新書ラクレ)『マンガでやさしくわかる 部下の育て方』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。
研究の詳細は、Blog:NAKAHARALAB.NET (http://www.nakahara-lab.net/)。 Twitter ID:nakaharajun。
民間企業の人材育成を研究活動の中心におきつつも、近年は、横浜市教育委員会との共同研究など、公共領域の人材育成についても、活動を広げている。一般社団法人 経営学習研究所 代表理事、特定非営利活動法人 Educe Technologies 副代表理事、認定特定非営利活動法人カタリバ理事、一般社団法人ピアトラスト 理事。専門性:人材開発・組織開発、趣味:人材開発・組織開発、特技:人材開発・組織開発

田中聡(たなか さとし)(立教大学 経営学部 助教)
立教大学 経営学部 助教。東京大学大学院学際情報学府博士課程 修了。博士(学際情報学)。山口県周南市生まれ。大学卒業後、株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)に入社。大手総合商社とのジョイントベンチャーに出向し、事業部門での実務経験を経て、2010年 同社グループの調査研究機関である株式会社インテリジェンスHITO総合研究所(現・株式会社パーソル総合研究所)立ち上げに参画。同社リサーチ室長・主任研究員・フェローなどを務める。2018年より現職。専門は、経営学習論・人的資源開発論。働く人と組織の成長・学習を研究している。
著書に、『「事業を創る人」の大研究』(クロスメディア・パブリッシング)『経営人材育成論』(東京大学出版会、近刊)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代におけるチームの理想的な状態は「チームワーキング」だ。これは、チームメンバー全員参加で、チーム全体の動きを俯瞰的に見つめ、相互の行動に配慮し合いながら、目標に向けてダイナミックに変化し続けつつ成果創出をめざす状態を指す。
  • 要点
    2
    チームワーキングでは、「チーム視点」「全員リーダー視点」「動的視点」の3つの視点が土台となる。
  • 要点
    3
    チームワーキングの状態を生み出すためには、「Goal Holding」「Task Working」「Feedbacking」の3つの行動が不可欠だ。

要約

理想のチームをつくるために

チームワーキングとは何か
scyther5/gettyimages

世の中には、個人の力だけでは達成できない物事が多いものだ。だから私たちは、「チーム」をつくって他者とつながり、タスクをつなげている。ここでいうチームとは、「目標を共有しつつ、相互作用をしながら、物事を達成する社会集団」を指す。

本書の重要なキーワードは、「チームワーキング(TeamWorking)」である。この言葉は、「チーム(Team)」に「ワーキング(Working:物事がダイナミックに、常に動いている状態)」を付け加えたものだ。「チームワーキング」とは、チームメンバー全員参加で、チーム全体の動きを俯瞰的に見つめ、相互の行動に配慮し合いながら、目標に向けてダイナミックに変化し続けつつ成果創出をめざす状態を指している。

今や、優秀なリーダーが一人いるだけでは、チーム運営はうまくいかない時代だ。チームメンバー全員の賢さと振る舞いこそが、チームの成果を決める。だからこそ、現代のチームの理想の状態は、チームメンバーが「全員参加」し、ダイナミックなチームの動きを創出することで生まれる「チームワーキング:チームがダイナミックに動いている様」である。

成果の出るチームと出ないチームの違い

成果の出るチームと出ないチームの違いは、チームの捉え方にある。成果の出ないチームは、チームを「一人のリーダーが率いるもの」「一度定めた目標に向かってまっすぐ進んでいくもの」と見立てがちだ。そのため、チームワークを「リーダーが中心となってチームの目標と各自の役割を設定し、それに従って各メンバーが与えられた役割を着実に行うこと」だと捉えている。

成果が出ないチームで最重要視されるのは「初期のアクション」だ。初期に綿密な戦略を立て、役割分担することに重きを置く。

一方、成果の出るチームは、

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要約公開日 2021.04.29
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