ファーウェイ 強さの秘密

任正非の経営哲学36の言葉
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おすすめポイント

いま、アメリカがもっともその成長を恐れている企業、それがファーウェイ(HUAWEI)だ。アメリカ政府はファーウェイをブラックリストに入れ、半導体の供給を規制する動きを見せている。

ファーウェイは1987年、中国の深圳市で産声をあげた会社だ。2013年には売上高でエリクソンを追い越し、世界最大の通信機器メーカーになった。従業員は19万人を超える。なぜアメリカはファーウェイの成長をこれほどまでに警戒するのか。それは、デジタル化された世界では、最先端の技術を持つグローバル企業が「勝者総取り」をする可能性が高いからだ。ファーウェイは第5世代の移動通信システム(5G)で世界をリードし、他社の追随を許さない。そして莫大な開発費をかけて次世代の技術を開発している。

本書は、世界が嫉妬するファーウェイの圧倒的競争力の秘密に迫る一冊だ。カリスマ経営者である任正非(レン・ジェン・フェイ)が三十数年行ってきた経営やマネジメントの真髄が、彼の従業員へのメッセージや中国の故事の引用とともに明らかになっていく。彼の名言の背景にあるエピソードから、同社の社風を味わうこともできる。

正直、日本の企業で、これほど骨太のマネジメントと経営を徹底できる会社はないだろう。ファーウェイの強さの秘密を知ることによって、私たちは日本企業の課題にも向き合うことになる。さまざまな気付きを得られる本書をぜひおすすめしたい。

ライター画像
たばたま

著者

鄧斌(ドン ビン)
九三学社(中華人民共和国の衛星政党の1つ)党員、企業読書会「書享界」創業者、CEO。ファーウェイに11年間在職し、中国国内の事業計画やコンサルティング業務を担う企画・コンサルティングディレクターのコアメンバーとして活躍。退職後もファーウェイのマネジメントモデル研究の第一人者として、15年あまりにわたりファーウェイの動向を追い続けている。企業のマネジャークラス向けに講座「ファーウェイマネジメントの道」を通算300回以上開講し好評を博す。ファーウェイ出身のトレーナー、コンサルタント・マネジャー、デジタル・エコシステムパートナーなどハイエンド人材とのつながりも深い。

本書の要点

  • 要点
    1
    ファーウェイは「顧客第一主義、奮闘者が基礎」というシンプルな原則に基づいたマネジメントを徹底している。
  • 要点
    2
    任正非はマネジメントを正しい方向へ導くために、自己批判を重視している。また投資型の買収を行わず、パートナーとウィンウィンの関係を築くことを真のビジネスモデルと考えている。
  • 要点
    3
    ファーウェイは「未開の地」を切り拓くために、基礎研究に投資し、複数のチームが事業の「本流」を攻略する体制を取っている。トップ層の研究者は、1年の3分の1もの時間を世界の他の研究者との交流に充てることになっている。

要約

【必読ポイント!】 マネジメントのコアとなる考え方とは

顧客第一主義、奮闘者が基礎
bingfengwu/gettyimages

ファーウェイが、目を見張る成果を出し続けているのには理由がある。それは、第一線で顧客獲得に奮闘しているマーケティング部隊が、必要なサポートやリソースを自ら要請できるからだ。こうした彼ら独自のルール・方針は、「以客戸為中心、以奮闘者為本(顧客第一主義、奮闘者が基礎)」というシンプルな12文字の原則を踏まえたものと言える。ここでは、この考え方をより深く理解するために三つの例を挙げたい。

一つは、深圳本社を「本社」と呼ぶことを禁じて「事務所」と呼ぶという点だ。彼らはあくまでも現場がビジネスの中心という信念を貫いており、それは役職設計にも現れている。例えば内部スタッフのマネジャーより、現場のマネジャーの役職のほうが高いのもその一環だ。

二つ目は、顧客起点で社内のワークフローを変更できるという点だ。つまり、現場が社内を強くひっぱることが奨励されており、現場が社内の動きを変えるのが普通のこととなっている。

三つ目は、現場に大きな権限を与えている点である。第一線の「ひよっこ」でも、プロジェクトで必要ならば見ず知らずの事務所(本社)の幹部に、真夜中でも電話をかけることができる。もちろん相手はその電話を取らなければならない。これが、ファーウェイの最前線の従業員に力を与えるメカニズムである。

少将兼中隊長

任正非のスピーチには、「少将兼中隊長」という言葉がよく出てくる。これはファーウェイの高級幹部が末端組織のリーダーとして重大プロジェクトを指揮し、高いレベルで顧客との関係を構築する状態を表している。こういった人事が可能なのは、幹部を選抜する際、実践で成功した者や主力の戦場で苦労した者から優先しているからだ。もちろん、たたき上げだけでなく、異才を発揮した者、新しい手法でワークフローやマネジメント体系を構築した者も評価されることは言うまでもない。

ダンコの心臓

ファーウェイでは、従業員へのメッセージにおいて「ダンコの物語」(ゴーリキー作)が取り上げられたことがある。これは、自身の心臓を燃やして仲間を助けた英雄の物語だ。

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要約公開日 2021.05.04
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