教養としてのAI講義

未 読
教養としてのAI講義
ジャンル
著者
メラニー・ミッチェル 松原仁(解説) 尼丁千津子(翻訳)
出版社
定価
2,860円(税込)
出版日
2021年02月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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メラニー・ミッチェル 松原仁(解説) 尼丁千津子(翻訳)
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定価
2,860円(税込)
出版日
2021年02月15日
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革新性
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おすすめポイント

本書は人工知能分野の本当の状況を知りたいという著者の思いから生まれた。人工知能の歴史を整理し、AIの目標を明確にしようと試みた。そのうえで現状、最高レベルのAIシステムの仕組みは実際どんなものか、成果や限界を検証した。

著者が「AIの分野は混迷を深めている」と指摘する通り、本書はAIの相矛盾するような二面性を的確に捉えている。すなわち、最高の知的水準を要するゲームで人間を破る、複雑な疑問に答えるといった難題を、今日の一部のAIは巧みに難なくこなす。一方、顔や物体を見分けたり、言葉や文章を理解したりするといった人間の日常的な自然の行動が、AIには難しく、多くはまだ不可能だ。

ただ、AIの能力は着実に、日進月歩で向上し続けている。それを担う最大手の1社、グーグルの本社で開かれた会議の一場面から本書は始まる。席上、著者が師事するダグラス・ホフスタッターは、AIに対する恐怖心を露わにする。1979年の著書『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環』でピューリッツァー賞を受賞した、AI業界の第一人者だ。

「私たちはAIに取って代わられる」。ホフスタッターの心を支配する恐怖は、人間の仕事が奪われるといったよく聞かれるAI警戒論ではない。人間性を象徴する美術や音楽といった分野にまで、AIが力を及ぼしていることへの恐怖だった。

AIは恐れるべき対象か、それとも人間の創造性を解き放ってくれる味方か。AIが日常にありふれた現代を生きる上で、知っておくべきAIの基礎知識と今後を展望するヒントが詰まった一冊だ。

ライター画像
南龍太

著者

メラニー・ミッチェル
コンピューター科学研究者。コンピューター科学の博士号を取得したミシガン大学大学院では、認知科学者で作家のダグラス・ホフスタッターの指導のもとで研究を続け、理想化された環境において創造的なアナロジーを生成する「Copycat」プログラムを共同開発した。その後、6冊の著書と多数の論文の執筆と編集にも携わり、現在はポートランド州立大学教授とサンタフェ研究所客員教授を兼任している。

本書の要点

  • 要点
    1
    人工知能という科学の一分野は、1956年のダートマス大学での小会議から始まった。研究者が抱く多くの楽観論に反し、成果の乏しい時代が続いた。
  • 要点
    2
    現行のAIブームは、深層学習やそれに必要なビッグデータの応用が格段に進んだことが原動力となっている。一方、AIの信用性や道徳性といった課題は残る。
  • 要点
    3
    囲碁やクイズといった分野でのAIの成果は近年目覚ましく、音声認識や機械翻訳へのAI技術の応用も進む。しかし人間のように言葉や状況を理解したり、抽象化したりできるAIの実現にはほど遠い。

要約

AIの歴史と基礎知識

AI事始め
ilbusca/gettyimages

「高度な知能を持つ機械」をつくる夢は、コンピューターの台頭により現代科学の一分野となった。人間の思考や論理を「記号処理」という機械的操作で解釈しようとする試みが、構想のきっかけとなった。

この分野は1956年夏、ジョン・マッカーシーやマーヴィン・ミンスキーといった若き数学者らが米ダートマス大学で開いた小規模研究会から始まった。自然言語処理、ニューラルネットワーク、機械学習、抽象概念と推論、創造性といった今なお議論が続くテーマが計画書に並んだ。「人工知能」という言葉を用いたのはマッカーシーであり、その後全体の目標がまとまった。通称ダートマス会議だ。

出席者らはAIの実現を楽観視していた。1960年代初頭、マッカーシーは「完ぺきな知能を持つ機械」の10年以内の実現を目指し、スタンフォード人工知能研究所を新設した。MIT人工知能研究所を設立したミンスキーも「一世代のうちに『人工知能』の実現に向けた問題点はおおむね解決されている」と予測した。

多様なAI開発手法

ところが楽観的な予測はいずれも実現していない。人工知能の中心概念である「知能」の定義も今なお明確でない。著名な研究者らの委員会はAIを「知能を合成することで知能の特性を研究している、コンピューター科学の一分野」と定めた。

ダートマス会議では、AI開発の手法に関し、数理論理学と演繹法、統計や確率論を用いた帰納法、脳機能把握のための生物学や心理学からのアプローチなど、さまざまに提唱された。

AIは草創期から、数理論理学や人の思考過程の説明方法に着想を得た「記号的AI」と、神経科学に端を発する「非記号的AI」とが存在してきた。ダートマス会議以降、言葉や句といった人間にわかりやすい記号的AIプログラムが主流となった。

一方、初期の非記号的AIには1950年代終盤に開発されたパーセプトロンがある。パーセプトロンは対処できる問題の限界をミンスキーらに指摘されもしたが、現代AI分野の最有力ツール、深層ニューラルネットワークの源流となった。

繰り返す冬と春
marekuliasz/gettyimages

記号的AIの支持者らは、会話・言語の理解や自動運転車といった領域で近く画期的成果を出せると主張し、米英政府などから助成金を得た。しかし1970年代半ばになっても成果は出ず、失望感から助成金は大幅に削減された。AIをめぐるこの期待と失望のサイクルは5~10年周期で繰り返している。すなわち、新発想から顕著な成果が得られるとの楽観論が広まり、メディアが煽り、政府も投資家も援助するのが「AIの春」。一転、成果が乏しいと支援が打ち切られ、助成金や投資資金が底をつき、研究が頓挫する。これが「AIの冬」である。

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