同調圧力の正体

未読
日本語
同調圧力の正体
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著者
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同調圧力の正体
著者
出版社
定価
1,012円(税込)
出版日
2021年06月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本当は帰りたいけれど、上司や同僚が帰らないので帰りにくい。本当はやりたくないけれど、なんとなく断れない。本当は行きたくない飲み会に、気づけばいつも参加させられている――極めて身近なこうした状況について考えてみると、不思議なことに気づく。まったく実態のない曖昧な空気のようなものが、実際に我々の行動を具体的に左右してしまっている。それはだいたいの場合において非合理的で、ときには人を追い詰めさえする。

本書はこのように人の行動に影響を与える雰囲気を「同調圧力」と呼び、その発生のメカニズムを克明に解き明かす。著者は組織が嫌いであるがゆえに組織学者を志したという。病を撲滅するために医者になったり、犯罪を減らすために犯罪学者になったりするのと同様に、組織学を通じて、こうした同調圧力の正体を明らかにし、その対策について論じていく。

現在、日本は感染症という意味以外でも新型コロナウィルスの強い影響下にある。こうした厳しい状況が、日本の、そして日本文化のもとで動く組織の弱点を明らかにしてしまったということに、さほど異論はないだろう。これはピンチではなくチャンスなのだ。本書には、ウィズコロナの時代を生きるためにどのような組織づくりができるかという知恵が詰まっている。我々は今ようやく、長く日本を支配してきた「同調圧力」に立ち向かう武器を手にしているのかもしれない。そう思わせる一冊である。

ライター画像
池田明季哉

著者

太田肇(おおた はじめ)
同志社大学政策学部教授。1954年、兵庫県生まれ。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学博士(経済学)。
必要以上に同調を迫る日本の組織に反対する「組織嫌い」だからこそ、「個人を尊重する組織」を専門に研究している。
ライフワークは、「組織が苦手な人でも受け入れられ、自由に能力や個性を発揮できるような組織や社会をつくる」こと。
話題作『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)をはじめ、『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)、『「超」働き方改革――四次元の「分ける」戦略』(ちくま新書)など、著書多数。近年、著作は海外でも高く評価されており、『「承認欲求」の呪縛』などが翻訳されている。

本書の要点

  • 要点
    1
    会社のようにある目的を持った「組織」が、全人格的に構成員を取り込む集団として振る舞うことで「共同体」と化してしまったとき、同調圧力が生まれる。
  • 要点
    2
    同調圧力が生まれやすい条件は3つある。それは「閉鎖性」「同質性」、そして「個人の未分化」な状態である。
  • 要点
    3
    条件が揃った上で「共同体主義」というべきイデオロギーが作用することで、同調圧力はさらに強固なものとなる。
  • 要点
    4
    共同体主義に立ち向かうには、流動性、異端者の存在、役割分担がカギとなる。

要約

「事件」は共同体の中で起きる

コロナが剥がした日本社会のベール

在宅勤務を勧められても頑として受け入れなかった同僚が、コロナ禍でテレワークを推奨されるようになったとたん、まるで掌を返したように出社しなくなった、という話がある。暗黙の行動規範がコロナ禍で逆転し、かれらの行動規範まで変えてしまったのだ。

テレワークでも、上司からの監視や、同僚の出社への罪悪感に関する声もある。リモート会議における席順という理不尽な慣習に従わざるを得ず、頻繁に開かれエンドレスに続くリモート飲み会に閉口している人も多い。

仕事だけではない。あらゆる行事が中止になり、マスクなしに外出すれば冷たい目線が送られるようになっている。新型コロナウィルスの蔓延により、私たちは日本社会の同調圧力がいかに強いかを、あらためて目の当たりにさせられている。

同調圧力の功と罪は合わせ鏡
patpitchaya/gettyimages

同調圧力は、功と罪の両方を抱えながら、日本社会に深く浸透しているものだ。

職場ではみな身なりを整え、後輩は先輩を見て振る舞いを学ぶ。学校や地域の環境が守られているのも、治安がよく、災害時などにも秩序正しく行動しようとするのも、厳しい世間の目があるからこそだ。

一方で、同僚が休まないと休暇を取りづらい、自分の仕事を片付けても周りが残っていると帰りにくいといった問題は、多くの人にとって身近なものだろう。大人でもそうなのだから、より世間の狭い子どもにとってはいっそう深刻だ。仲良しグループの中では細かい掟があり、返信を遅らせないためにトイレにまでスマホを持ち込まざるを得ない状況は、正常な域を超えている。

コロナ禍のもとで、同調圧力の弊害や問題点が指摘されるようになった。さまざまなデータを見ると、個人にとっても、組織や社会にとっても、同調圧力のマイナス面が、プラス面を上回りつつあるといえる。ITやSNSの影響があり、いちだんと危険性を増してもいるのだ。

日本人だから、というだけで、この問題を片付けるわけにはいかない。日本人は本来集団主義的である、周囲に同調しやすい性質がある、とは決めつけられない。だとすれば、やはり社会環境に原因があると考えるべきであろう。

【必読ポイント!】 なぜ日本社会は窮屈なのか

職場も学校も共同体に変質する

集団(組織を含む)は、大きく2種類に分けることができる。1つは、家族やムラのような、自然発生的で情によって繋がる「基礎集団」。もう1つは、特定の目的を追求するためにつくられた「目的集団」である。おおまかに、基礎集団は「共同体」、目的集団は「組織」に相当するといえる。したがって、企業や学校、政党などはいずれも組織であるはずだ。

ところが日本では、企業さえも共同体のような性質を持ってしまっている。

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