会社のデスノート
トヨタ、JAL、ヨーカ堂が、なぜ?

未 読
会社のデスノート
ジャンル
著者
鈴木貴博
出版社
朝日新聞出版
定価
1,620円
出版日
2009年11月06日
評点(5点満点)
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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レビュー

本書の「はじめに」にはおそろしげにこう書いてある。

・このノートに間違った戦略を書き込んだ企業は死に至る

・ノートを書くのは経営者自身である

本書は、会社が間違った道を歩んで、死んでしまわないためのルールブックである。会社が進むべき道を選ぶとき、大きな方向性を間違えなければ市場は栄えるが、逆に動けばまずいことが起きる。2008年のリーマンショック以降、大企業の経営判断レベルでそうした混乱が多く見られた、と著者は語る。

長年大企業のコンサルタントとして活躍してきた筆者はこの状況を憂い、本書を上梓したという。トヨタ自動車、ユニクロ、マクドナルド、セブンイレブン、JALなど大企業の戦略を例として取り上げつつ、100年に1度といわれるグローバル経済の激変時代を生き残るための戦略が導き出されている。本書が出版されたのは2009年であるが、その後現在に至るまでの例示された企業の状況を考えると、一段と深く考えさせられるものがある。

経済学の知識を援用して論を展開しており、初学者にもわかりやすい内容となっている。筆者のやや辛口なユーモアを織り交ぜられた語り口調にも、思わず引き込まれる魅力がある。

実際に経営をされている方だけでなく、従業員の方にもぜひご一読をおすすめしたい。会社の命運がじつに不安定な昨今、自社は正しい方向に進んでいるのかどうか考えつつ、もしいけないと思われたら積極的に行動していくことが大切なのではないだろうか。

熊倉 沙希子

著者

鈴木貴博
百年コンサルティング代表取締役。米国公認会計士。東京大学工学部物理工学科卒。どんなに複雑で難しいビジネス課題も、メカニズムを分解し単純化して説明できる特殊能力者。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、2003年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。著書には『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』『NARUTOはなぜ中忍になれないのか』(以上、朝日新聞出版)、『カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略』(ダイヤモンド社)、『戦略思考トレーニング1~3』(日本経済新聞出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    恐慌時に、市場全体の需要は、「所得の減少に短期所得弾力性の乗数を掛けた倍率」で急収縮する。その後、短期と長期の所得弾力性の数字のギャップによる揺り戻しが発生する。自動車業界はこのギャップが最も大きく、恐慌の打撃を受けやすいので注意すべきだ。
  • 要点
    2
    日用品業界では、低価格競争によって競争相手を打ち負かせるが、そのたびに自らの市場を縮小させている。セブンイレブン‐エフェクトを重視し、高付加価値に向かうことが重要である。
  • 要点
    3
    サービス業の生産性の低さを克服し、重サービス業を発展させることが日本経済の繁栄につながる。

要約

サブプライムショック後のトヨタ減収収益

販売不振は予測できなかったのか

リーマン・ブラザーズの破綻に象徴されるサブプライムショックが起こり、実業の世界をも恐慌が襲った。それまで日本企業で一番優良企業だったトヨタ自動車はたいへんな打撃を受けた。

トヨタの売上減少額は5.8兆円、営業利益の減少額は2.7兆円にものぼった。自動車業界は、他の製造業に比べ、おしなべて販売成績が対前年で落ち込んだが、なかでもトヨタの減収収益はとびぬけて大きかった。

一番大きな要因は、北米の自動車販売数の大幅な減少だ。北米市場の自動車販売数は、トヨタも、市場全体も、対前年で30パーセント台の減少率にまで落ち込んだ。売上が3分の1減るということは、大企業の経営ではほとんどありえない。

自動車が最優先で切り詰められる――短期所得弾力性
Robert Churchill/iStock/Thinkstock

この、自動車業界全体を襲った激震は、筆者によると経済学の理論をもとにすれば予測できたのだという。経済が高度にグローバル化している現在こそ、経営者は、マクロ経済のレベルで起きることに対処する能力を持たなければいけない。

リーマンショック後、アメリカの経済成長率はマイナス6%成長になった。つまり、アメリカ人ひとりのレベルでいえば、年収が6%減ったことになる。すると生活はどうなるか。支出が切り詰められることになる。

支出が切り詰められるとき、切り詰められやすい商品とそうでない商品がある。これは「短期所得弾力性」という数字に表されている。

短期所得弾力性というのは、もし所得が1%減ったら、その商品を買うのに使うお金がどれだけ減るかという数字だ。たとえば、外食の短期所得弾力性は1.6だ。これは所得が1%減ると外食に使うお金は1×1.6=1.6%減ることを意味する。

自動車の短期価格弾力性は、5.5%。つまり、年収がマイナス6%であるということは、需要がその6×5.5=33%というものすごいレベルで激減するということだ。

この数字は、このたびの北米自動車市場の減少率にぴたりと重なる。試しに、アメリカの経済成長率に5.5をかけたグラフと、北米市場の自動車販売数増減率のグラフを重ねると、ほぼ一致するのだ。

需要は急回復する――長期価格弾力性
deeepblue/iStock/Thinkstock

さらに経済学の知識を使ってみよう。短期所得弾力性に対して、長期所得弾力性という数字がある。

一時的に所得が減ってしまうときの行動が「短期」の行動なのだが、時間がたってそれに慣れてきたときにとる行動は「長期」の行動という。これからずっと収入が低いままだとわかったとき、人間は、1年もすると「長期」の所得弾力性に合わせた行動をとりはじめる。

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会社のデスノート
未 読
会社のデスノート
ジャンル
経営戦略 政治・経済
著者
鈴木貴博
出版社
朝日新聞出版
定価
1,620円
出版日
2009年11月06日
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