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1ページ思考

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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2022年11月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

仕事において大きな割合を占める「会議」。ビジネスの現場には大小さまざまな会議が存在するが、効率良く進行し、かつ効果を上げているものは案外少ないものだ。

本書で紹介する「1ページ思考」は、会議をスムーズに進め、確実に結果を出すために有効なメソッドだ。議論がうまくいかない理由の多くは、「会議の目的がずれている」「情報共有ができていない」ことだと、著者は指摘する。そこで、メンバーの目線を合わせ、時間内に建設的な議論をおこなうために考案したのが、「1ページ」を使った仕組みである。

「1ページ」の作り方はこうだ。まず、会議の前に「会議の目的」「背景」「討議ポイント」「ネクストステップ」の4つを徹底的に考えて、1枚の紙に落とし込む。必要な情報や伝えたいことを端的に過不足なく盛り込むことは、簡単なようで難しい。しかし、このプロセスにより思考が研ぎ澄まされ、本当に大事なことが見えてくるという。相手やシーンを「鬼リアル」に想像し、考え抜く一手間が、会議を大きくスピーディーに動かすのだ。

「1ページ思考」は、社内の定例会議や取引先との商談、1on1ミーティング、人生プランの設計、本の学びのまとめなど、あらゆる場面で活用することができる。もしあなたが「会議をうまく回せない」と悩んでいるなら、本書はビジネス戦闘力を高めるためのパワフルな武器として役に立つことだろう。読んで損はない、ビジネスパーソン必読の一冊である。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

長谷川晋(はせがわ しん)
MOON-X Co-Founder/CEO 。2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・BRAUN・SK-IIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramの国内月間ユーザー数は810万から3300万に。2019年8月に「ブランドと人の発射台」をミッションに掲げるMOON-X Inc.を創業。現在、自社D2Cブランドを展開すると同時に、共創型M&Aや他社ブランドの支援も展開中。

MOON-Xコーポレートサイト
https://www.moon-x.com/
Twitterでは次世代ビジネスリーダー向けに「#ビジネスの戦闘力」を高める情報を発信中
@ShinHasegawa8

本書の要点

  • 要点
    1
    「1ページ思考」とは、必要な情報を共有し、会議の目的や参加者の目線を合わせて「何をすべきか」を明確にし、ミーティングで実現するための仕組みである。
  • 要点
    2
    「1ページ」の構成は、「会議の目的」「背景」「討議ポイント」「ネクストステップ」の4つである。これらをすべて「1ページ」に的確に盛り込まなければならない。
  • 要点
    3
    ポイントは、相手や使われるシーンを鬼リアルに想像すること。考え抜かれた「1ページ」だからこそ、人を動かし、会議をうまく進行させることができる。
  • 要点
    4
    「1ページ」は手書きで構成を考える方が、柔軟な発想が生まれやすい。

要約

【必読ポイント!】 ビジネスを圧倒的に変える「1ページ」思考

「1ページ思考」との出会い

著者が「1ページ思考」に出会ったのは、25歳で初めて転職したP&Gである。入社時は、紙おむつ「パンパース」のマーケティングを担当するアシスタント・ブランドマネージャーとなったものの、まったく仕事についていけなかった。マーケティング担当者の仕事は、各部署から集まる意見をもとにチームとしての提案をまとめ、新製品の市場投入などのプロジェクトを進めることであった。しかし、当時の著者は、情報を整理して自分の意見を発信するスキルはなく、様々な人を巻き込んでプロジェクトを進めた経験もなかった。

なぜ「1ページ」にまとめるのか
Mykyta Dolmatov/gettyimages

入社から半年が経ったころ、話したいことを3、4行に箇条書きした紙をミーティングに持っていった。すると、これまでと違って少しうまくいった。この経験によって、著者は「議論がすり合わないときのパターン」に気がつくこととなる。

例えば、各メンバーが思うプロジェクトの目的がずれているときや、各自が持つ情報が不均衡だったときだ。営業は「小売店や卸店のニーズに応えること」を第一だと考える。一方で、研究開発は「優位性のある製品を導入すること」を優先しているという具合だ。これでは議論は当然噛み合わない。それぞれが自分たちの目線や持っている情報で「何をすべきか」を決めてしまうと、結論は違ってしまう。

では情報を参加者に共有すればどうか。「小売店が棚替えで重視する条件を考慮しなければ、製品を置いてもらえない可能性もある」といった点をみんなが把握できる。

それぞれの情報を共有し、目的と目線を合わせて「何をすべきか」を明確にしていき、ミーティングで実現する。著者がめざしたのはそうした仕組みだ。参考になったのはP&Gの「社内メモを1ページにまとめる習慣」である。これを自分流にアレンジすることで、建設的な議論ができるのではないかとひらめいた。「1ページ」にまとめることで、思考のプロセスが鍛えられた実感があったのだ。

「1ページ」に必要な4項目

「1ページ」に必要なのは、主に次の4項目である。

(1)会議の目的(この時間で何を達成すれば成功なのか)

(2)背景(議論のベースとして知っておきたい情報)

(3)討議ポイント(議論して合意すべき主要なポイント)

(4)ネクストステップ(段取り、誰がいつまでに何をするのか)

議論がすり合わない原因は、みんなの考える目的がずれているか、背景として各人が持っている情報に偏りがあるかである。だから討議に入る前に「目的」をはっきりさせ、「背景」として同じ情報を持つことが極めて重要だ。

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要約公開日 2023.01.31
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