冒険の書

AI時代のアンラーニング
未読
冒険の書
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冒険の書
出版社
定価
1,760円(税込)
出版日
2023年02月22日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「当たり前」と思っていることも、歴史を紐解くと「当たり前」でないことは山ほどある。たとえば、「子どもは学校に行くべき」もその一つかもしれない。ヨーロッパでは「教育」は近代まで王侯貴族の特権であり、一般庶民の子とは無縁であった。まして、当時は「子ども」という概念すらなく、子どもは大人同様に扱われていた。常識は、時代とともに変わっていく。

本書は「なぜ学校に行かなければならないのか」という素朴な疑問から始まる。そして、本書の著者で主人公「僕」である孫泰蔵氏が、その問いを解くために時空を超えた旅に出るというストーリーだ。「僕」の前には、ホッブズ、ジョン・ロック、ルソー、フーコーなど、古今東西の“知の巨人”たちが次々と現れる。当時の姿そのままに「僕」と語らうシーンは、まるで本当に彼らが目の前にいるようでワクワクする。

現代の変化のスピードは速く、とくにテクノロジーや人工知能(AI)の進化は目をみはるものがある。多くのAI開発企業と関わってきた孫氏は、最先端のAIにふれるほど、今の学校教育が社会と乖離していることに危機感を覚えるという。本書は、「教育」や「学校」のルーツを辿ることで「当たり前」を根本から問い直し、新しい視点を獲得して、より良い未来をつくっていこうという意欲的な一冊だ。大人が読んでもおもしろいが、既存の価値観に縛られ、息苦しさを感じている若い世代にこそ読んでほしい。未来は自分の手で変えられる――。そんな光が心に灯るはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

孫泰蔵(そん たいぞう)
1996年、大学在学中に起業して以来、一貫してインターネット関連のテック・スタートアップの立ち上げに従事。2009年に「アジアにシリコンバレーのようなスタートアップのエコシステムをつくる」というビジョンを掲げ、スタートアップ・アクセラレーターであるMOVIDA JAPANを創業。2014年にはソーシャル・インパクトの創出を使命とするMistletoeをスタートさせ、世界の社会課題を解決しうるスタートアップの支援を通じて後進起業家の育成とエコシステムの発展に尽力。そして2016年、子どもに創造的な学びの環境を提供するグローバル・コミュニティであるVIVITAを創業し、良い未来をつくり出すための社会的なミッションを持つ事業を手がけるなど、その活動は多岐にわたり広がりを見せている。

本書の要点

  • 要点
    1
    「学び」がつまらなくなったのは、「遊び」と区別されるようになったからだ。もともと学びと遊びはシームレスにつながっていた。
  • 要点
    2
    「子ども」は近代に発明された概念だ。中世まで子どもは大人と同等に扱われていたが、17世紀に入ると子どもは大人と区別され、保護される存在になった。
  • 要点
    3
    教育を変えるには、まずは子どもの見方を変えるべきだ。子どもを子どもあつかいせずに、一人の人間として個性を愛することから始めよう。

要約

学校の勉強はなぜつまらないのか

『冒険の書』との出会い
あけたらしろめ

「学校に行きたくないなぁ……」、誰もが一度はそう思ったことがあるだろう。苦手な教科の授業があるから、嫌な子に会いたくないから、など理由は色々あるにせよ、「嫌なこと、やりたくないことがあるから行きたくない」というのは共通しているはずだ。はたして、学校にはガマンして行くべきなのだろうか。もしなにも制約がなかったら、どんなふうに学ぶのがいちばんいいのか。

悩む僕は、久しぶりに友人のダイヤ・アイダ(会田大也)に再会した。「ミュージアム・エデュケーター」をしている彼は、「この本、おもしろいよ」とユニークな視点を持つ先人たちを教えてくれる、大切な友人だ。

今抱えている疑問や問いを彼に打ち明けると、彼は「ついに泰蔵さんも冒険者になったのですね」と、一冊の本を差し出した。「冒険者には、他の冒険者の声が聞こえます。『冒険の書』は世界中に散らばっていて、冒険を決意した人だけ読むことができます。この本はきっと、泰蔵さんの重要な導きとなってくれるでしょう」と言い、立ち去った。

教育とはなにか 〜近代教育学の父・コメニウス

その本の表紙には、『世界図絵』(1658)と書かれていた。著者はヨハン・アモス・コメニウス(1592-1670)。今から400年前のボヘミアの歴史学者で、「近代教育学の父」といわれる人だ。「これが『冒険の書』なのか……?」その時、白い光があたりを包み、黒い人影と見たことのない風景が交錯した。目の前には高い塔のお城が見える。呆然としている僕に、一人の老人が話しかけてきた。「新しい冒険者じゃな?」彼こそが、コメニウス本人であった。

彼は「教育なくして人間は人間になることはできない」とつぶやいた。この時代は、人類史上最も悲惨な戦争のひとつといわれる宗教戦争「三十年戦争」が始まった頃で、社会は混乱を極めていた。コメニウス先生は、「世界を正しく認識したうえで、正しく語り行動できる人間こそ、社会の混乱に終止符をうち、新たな社会を創造しうる」と言う。そして先生は、すべての人にあらゆることを教えるために『世界図絵』をつくった。自然や文化をわかりやすく絵で説明したこの本は、百科事典のルーツともいわれている。

これからの教育を考える時は、教育の起源であるコメニウス先生までさかのぼる必要がある。「あらゆる人に、あらゆることを教えて人間らしくする」という大前提に疑問をもち、根本から考えなおすべきである。

300年つづく呪文 〜ホッブズの『リヴァイアサン』

メディアでは「生き残りをかけたサバイバル」とか「勝ち組、負け組」、「勝者がすべてを手に入れる」というような言葉を見かける。このような考え方のルーツは、イギリスの哲学者トマス・ホッブズ(1588-1679)にある。

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