キーエンス解剖

最強企業のメカニズム
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最強企業のメカニズム
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キーエンス解剖
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出版社
出版日
2022年12月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

キーエンスはBtoB事業ということもあり、どういった事業の会社なのか、世の中でそこまで広くは知られていないかもしれない。だが、キーエンスを語る数字を見れば、いかに目覚ましい成長をしている企業なのかがわかるだろう。

時価総額(2022年11月28日終値時点)はトヨタ自動車、ソニーグループに続く国内トップ3。平均年収は2183万円、売上高営業利益率は55.4%、自己資本比率は93.5%にのぼる(2022年3月期)。本書はキーエンスの強さの仕組みを「解剖」していく。同社の主力はセンサー事業で、商品は1万種以上に及ぶが、新商品の7割は「世界初」「業界初」を謳っている。シェア拡大を支えるのは、社員が直接出向く直接営業。注文を受けると即日出荷する即納も、キーエンスの売りのひとつだ。

キーエンスの強さは、属人的なものではない。成長する仕組みを作り、それをやりきる風土がある。それがプロフェッショナル集団をつくり、キーエンスの強さの源泉となっているのだ。例えば、営業担当者はベテランも新人も、毎日ロールプレイングを繰り返す。1分単位で商談内容を上司と共有する。他の企業の営業担当者なら「意義はわかるが、そこまでストイックにやれないよ」と思いそうなことを、キーエンスではまるで「歯を磨くように」当たり前にこなしていくのだ。

今まで謎のベールに包まれていたキーエンス。顧客の心を掴み、高収益をあげ続ける神髄にふれてみてはいかがだろうか。

ライター画像
森本みづき

著者

西岡杏(にしおか あんぬ)
1991年、山形県酒田市生まれ。2013年に慶応義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。大阪経済部を経て企業報道部へ。電機や機械、素材などの製造業のほか、医療やエネルギー、不動産・ホテルなどの分野を担当してきた。21年4月から日経ビジネス記者。電機・IT・通信を中心に取材する。

本書の要点

  • 要点
    1
    キーエンスは、代理店を通さない「直接営業」で圧倒的スピードを手に入れている。営業はプロセスを重視し、徹底した記録を共有することで「売れる営業」を組織的に作り上げている。
  • 要点
    2
    顧客が「欲しい」というものは作らない。真のニーズは何なのかを探り当て、付加価値を高めることを重視する。
  • 要点
    3
    1万種以上ある商品は全て在庫を用意し、当日出荷に対応する。「キーエンスだったら、すぐに持ってきてくれる」という価値で差別化を図っている。

要約

想像を超える営業力

スピードで他社を圧倒
takasuu/gettyimages

キーエンスの営業担当者は神出鬼没だ。ある工場でレーザーマーカーという刻印のための装置が壊れたとき、キーエンスの営業担当者がまるで故障のタイミングを知っていたかのように現れた。

その担当者は別部署で商談を終えたところで、いつものように「他にお困りの方はいませんか?」と尋ね、故障したレーザーマーカーのことを知った。営業のチャンスをつかんでからの速度は抜群だった。数日後には再訪し、自社製品のデモを披露。納得した相手方はパナソニック製だった装置をキーエンス製に買い替えた。

キーエンスの営業担当者は、販売チャンスを見逃さない。シェア奪取を繰り返し、2022年3月期の売上高は7552億円にもなった。これは10年前の4倍近い額だ。しかも、営業利益率は驚異の55.4%を誇る。

1974年設立のキーエンスの主力商品は、センサーを中心とした業務用の電子機器だ。工場の自動化(ファクトリーオートメーション)の広がりとともに、業務を拡大してきた。商品数は1万種以上で、新商品の約7割は「世界初」あるいは「業界初」という。付加価値を高め、粗利は約8割とされる。

キーエンスでは直接営業が欠かせない。競合メーカーが代理店に営業を任せる一方、キーエンスは社員が直接営業マンとして客先に出向く。

営業担当者は直接営業を生かし、圧倒的スピード力を持つ。例えば、クボタがロボットビジョンという検査に使うカメラシステムの見積もりを数社に依頼したときのことだ。キーエンスだけが即日回答し、翌日には出向いて試用も提案した。「ウェブサイトから商品カタログをダウンロードした1時間後に、突然電話がかかってきた」という取引先もいる。キーエンスに待ちの姿勢はない。

【必読ポイント!】 モーレツ営業部隊

ロープレ1000本ノック

キーエンスの営業担当者には「ロールプレイング(ロープレ)」が欠かせない。

2人1組になって商談シミュレーションを繰り返す。ベテランでも例外なしだ。毎日10~15分ほど、「まるで歯を磨くように」当たり前のようにこなしていく。

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要約公開日 2023.03.27
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