パラドックス思考の表紙

パラドックス思考

矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる


本書の要点

  • パラドックス思考のポイントは、厄介な問題に対峙したときに、あらかじめ矛盾する2つの感情を発見することである。

  • パラドックス思考は3つのレベルがある。レベル1では感情パラドックスを受容して、悩みを緩和する。レベル2では感情パラドックスを編集して、問題の解決策を見つける。レベル3では感情パラドックスを利用して、創造性を最大限に高める。

  • 人間は「めんどうくさいけれど、愛らしい存在」である。自分の欲求をかわいげの証と受け入れることで、心が落ち着いていく。

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【必読ポイント!】 パラドックス思考とは何か

現代社会に渦巻く「厄介な問題」

現在はVUCAの時代といわれるが、その本質は、現在と未来のわからなさにある。いま何が起きているのか、この先どうなるのかわからない。そんな中で「厄介な問題」に立ち向かわなければならないというストレスが、感情のわからなさを生み出している。

未来の選択肢が読めず、自分の感情にうまく向き合えない状況で、私たちは多くの矛盾に直面する。この矛盾という現象に着目することで、「厄介な問題」に立ち向かおうとする考え方が、本書で提案する「パラドックス思考」である。

感情パラドックスとは何か?

ThitareeSarmkasat/gettyimages

パラドックスは、「矛盾した状態」「逆説」という意味をもち、論理パラドックスと感情パラドックスの2種類に分かれる。論理パラドックスとは、問題の背後に矛盾する主張Aと主張Bが存在しており、どちらかを正しいと仮定すると論理的に正しい答えが出せなくなる状態を意味する。

これに対し、感情パラドックスとは、問題の背後に矛盾する感情Aと感情Bが存在しており、どちらかの感情を優先すると納得のいく答えが出せなくなる状態を指す。

本書が提案するパラドックス思考の特徴は、厳密な正しさを前提にする論理パラドックスではなく、曖昧さを生きる人間社会に特有の感情パラドックスに着目する点だ。ポイントは、厄介な問題に対峙したときに、あらかじめ矛盾する2つの感情を発見することである。人間は時に、自分の考え方や現実の捉え方を捻じ曲げて、矛盾をなかったことにしようとする。この性質は認知的不協和と呼ばれる。認知的不協和は、矛盾による不快感から無意識に自分を防御するための反射のようなものである。「Aしたいけど、実はBもしたい」という欲張りな感情を受容し、それらを両立する解決策を考える。これがパラドックス思考の基本姿勢となる。

パラドックス思考レベル1:受容する

パラドックス思考は3つのレベルがある。

レベル1:感情パラドックスを受容して、悩みを緩和する

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要約公開日 2023.04.26
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