新版 ブランディングの基本
この1冊ですべてわかる
新版 ブランディングの基本
新版 ブランディングの基本
出版社
日本実業出版社

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出版日
2023年02月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

読者の皆さんは「ブランディング」というと、どんなイメージをもつだろうか。抽象的で捉えどころのないもの。もしくは、あるカテゴリーにおける最初に思い浮かぶ商品群のことだろうか。ブランディングの実務を担うことになったものの、どう戦略を立てたらいいか迷っている方もいるだろう。そんな方に向けて、ブランディングの本質と実践のためのフレームワークを体系的に紹介したのが本書だ。

著者はマーケティングとブランディングの両方に精通したビジネス・コンサルタントの安原智樹氏だ。著者はブランディングを、「利用者のブランドへの反響行動が提供者のリターンとなって返ってくる仕組み」と定義する。本書は、ブランディングの理論と実務とのギャップを埋め、知的バリアフリーを試みるために、ロングセラーの『ブランディングの基本』を大幅に改訂した一冊だ。著者の提唱する「ブランディング・フレームワーク」を理解すればブランディングの輪郭と全体像をより明瞭に捉えられるだろう。また、この内容はBtoC企業だけでなく、BtoB企業や社会貢献活動への拡張も可能だ。

経営者はもちろん、事業戦略やマーケティング部署に所属する方は、本書のフレームワークに沿って7つのワークを実践し、日々の業務に落とし込んでいただきたい。自ブランドの志と顧客の頭の中のブランドをどう結びつけていけばよいか。この問いに対する解への道筋がきっと見えてくるはずだ。

著者

安原智樹(やすはら ともき)
ビジネス・コンサルタント。ヤスハラ・マーケティング・オフィス(2000年設立)の代表として現在に至る。著書は「この1冊ですべてわかる 新版 マーケティングの基本」(日本実業出版社)、「入門ブランド・マーケティング」(プレジデント社)、「『マーケティング』の基本&実践力がイチから身につく本」(すばる舎)、「はじめて学ぶブランド・マネジメント」(翔泳社、翻訳書の監修)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    ブランドとは消費者の頭の中にあるものだ。
  • 要点
    2
    ブランディングとは、利用者のブランドへの反響行動が提供者のリターンとなって返ってくる仕組みである。
  • 要点
    3
    ブランディング・フレームワークは最上段に「コア・コンセプト」を要素とした「中心点」、2段目に「価値観」「成長観」「世界観」を要素とした「観点」、3段目に「評判設計」「絆設計」「シンボル設計」を要素とした「設計」の7ワークから構成される。このフレームワークを活用することで、抽象的だったブランディングを具体的な行動として実践できるようになる。

要約

ブランディングの前提となる要素

ブランドとは消費者の頭の中にあるもの

ブランドとは、市場に存在するものではなく、消費者の頭の中にあるものだ。

たとえば、「アイスクリームが欲しいなぁ」と思ってコンビニに入り、色々見てからピノを買うのと、「ピノが欲しいなぁ」と思ってコンビニでピノを買うのとでは、全く意味合いが異なる。後者は前もって消費者が「ピノ」を指名しており、ブランドが記憶された状態だ。これは、トーナメント戦の「シード権」に例えると分かりやすい。将棋やテニスの強いプレーヤーがシード権をもって後半になって登場すれば、無駄なエネルギーを使わずに済む。これと同様に、シード権を得たブランドは選ばれる確率が高くなる。ただし、そこに至るには多くの時間がかかるものだ。

また、人々の関心は日々移りゆくため高いシード権を維持することは難しいものだ。そのため、企業は不断のブランディング活動によって、顧客の頭の中にあるブランドのシード権を上げる姿勢が問われている。

ブランディングとは?
本書 図表1-6-2 フレームワークの考え方

本書では、ブランディングを「利用者のブランドへの反響行動が、提供者のリターンとなって返ってくる仕組み」と定義する。反響行動とは、少し価格が高くても利用する、知り合いに推奨する、今後も継続利用するといった「提供者に望ましい、ブランドに対する利用者の自発的な行動」だ。

反響行動には代表的なものが3つある。

1つ目は、利用者が新たな利用者候補を導く反響行動である。利用者の推奨によって新規利用者を獲得できるため、広告やPRのコストが軽減できる。提供者側には情報の拡散をサポートするための「評判設計」が必要となる。

2つ目は、利用者の選択で優先順位が高くなる反響行動だ。提供者は利用者の強い記憶をサポートするための「シンボル設計」によってブランドの「らしさ」をつくり、利用者の感性に訴えることが必要となる。

そして3つ目は、利用者が継続的に購入してくれる反響行動である。自発的な自ブランドの再利用を起こすもので、提供者は体験の累積をサポートする「絆設計」が求められる。

ブランディング・フレームワークの特徴

ブランディングという抽象的な概念を具体的なアクションに落とし込むため、本書では「ブランディング・フレームワーク」を用いる。

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要約公開日 2023.05.03
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