本書の要点

  • 退職後のキャリアを描く際、会社の肩書がなくても仕事をくれる人がいるかどうかが重要だ。会社員のうちに、自分を個人として評価してくれる人と関係を築いておくといい。

  • 転職や退職は、会社という「糸」を断ち切るサバイバル体験とも言える。生き抜くためには、「会社を離れた自分は何ができるのか?」と問いかけ、自分自身でアイデンティティーをつくっておく必要がある。

  • お金があっても幸せになれるわけではない。周りの人を幸せにすることが、自分も幸せになるカギである。

  • 「うまくいかなくても自分で決断して、やりたいことを選択する」という決断が大切だ。

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番組プロデューサー・佐久間宣行

45歳でテレビ東京を退職

45歳でテレビ東京を退職した佐久間宣行は、辞めるときにあまり周りと揉めなかったと振り返る。会社の中では出世が早い方であったにもかかわらず、退職した理由の一つは、ディレクターから部長職への昇進が見えた際に「自分はディレクターを続けたい」と思ったからだという。上役になったら必要な社内政治も自分には向いていないとも感じていた。そのため、自分の実力でできる限り上まで行って、それ以降は別の仕事に切り替えるという作戦をとることにした。会社を辞めるためには、「辞めても大丈夫」という自信が要る。自分の腕に自信があるかどうか、会社の肩書がなくても仕事をくれる人がいるかどうかが重要だ。佐久間の場合は、ラジオパーソナリティーとして接した人たちや、お笑い事務所の人や芸人から佐久間個人の腕や人間性を評価されていたため、「仕事をもらえるだろう」という算段があった。また、『あちこちオードリー』や『ゴッドタン』といった、佐久間の手がける番組が配信向きであったことからも、テレビ局を辞めても当面は生きていけると踏んでいた。

社内に味方を作る方法

Sam Edwards/gettyimages

佐久間は30代から「会社を辞めても大丈夫な人間になる」と決めていたという。そのため、社内で求められる番組よりも、外部から評価されるような作品を戦略的に作っていった。佐久間の中で大きかった出来事は、『ピラメキーノ』という子ども向け番組を立ち上げたときのことだ。社内に味方がいない中、会社には秘密で各部署から一人ずつ集めて製作委員会を立ち上げた。それぞれの部署に利益があるようにすることで、番組を守ってもらうスキームを作ったのだ。この経験を経て、佐久間は視聴率のゲームに左右されないで、番組を生き残らせる方法を会得した。また、委員会のメンバーはいずれも制作部門に虐げられていた人たちだったという。彼らは唯一の味方であった佐久間と仲良くなり、その後は出世していき、佐久間に仕事をくれる存在となった。

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要約公開日 2023.09.13
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