なんで会社辞めたんですか?

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退職理由というのは、社内では「一身上の都合」に落ち着きがちであり、親しい間柄でもなかなかすべてを聞く機会がないものである。本書は、意外とタブー視されがちな退職理由に焦点を当てた、YouTubeコンテンツ「なんで会社辞めたんですか?」の書籍版である。当時テレビ東京の高橋弘樹が聞き手となり、6人の「退職者」たちとトークを繰り広げる。登場するのは番組プロデューサーの佐久間宣行、宇宙飛行士の野口聡一、探検家の角幡唯介など、会社を辞めてからも活躍している人たちばかりだ。

彼らはいずれも大企業で働き、高い年収をもらっているのになぜ退職を決めたのか。要約者は本書を読むまで、会社との軋轢や、もっと稼げる見込みがあったのではという下世話な予想をしていた。しかし、その予想は見事に外れた。人生のより深い部分を求めた先にあったのが、「退職」という選択だったのだ。

本書では退職理由をはじめ、そもそもの入社理由や家族関係、今後の収入ややりたいことなどが赤裸々に語られる。面白いのは、結果として聞き手である高橋本人がテレビ東京を退職することになったことだ。本コンテンツの影響が多分にあることは、想像に難くない。

日経テレ東大学のYouTubeは2023年3月に配信を終了しているため、ファンにとっては嬉しい一冊だ。今現在会社員の人はもちろん、すべての働く大人や、これから社会に出ようとする若者にも読んでほしい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

高橋弘樹(たかはし ひろき)
映像ディレクター。
1981年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2005年テレビ東京入社。『家、ついて行ってイイですか?』『ジョージ・ポットマンの平成史』『吉木りさに怒られたい』『AKB48、最近聞いた?~一緒になんかやってみませんか?~』などを企画・演出。2021年よりYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」の企画・制作統括を務める。
2023年2月末でテレビ東京を退社。同年3月より自身が代表を務める株式会社tonariでビジネス動画メディア「ReHacQ(リハック)」を開設。同名のYouTubeチャンネルは開始3日で17万人登録を突破。著書に『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)、『TVディレクターの演出術』(筑摩書房)、『都会の異界』(産業編集センター)、編著書に『天才たちの未来予測図』(マガジンハウス)など。


日経テレ東大学(にっけいてれとうだいがく)
日本経済新聞社デジタル事業とテレビ東京コミュニケーションズが“本格的な経済を、もっとたのしく学ぶ”をコンセプトに立ち上げたYouTubeチャンネル。2021年の開設から2年足らずでチャンネル登録者数は102万人を超え、成田悠輔×ひろゆきによるトーク番組「Re:Hack」をはじめ、数々の人気コンテンツを配信。2023年3月末で配信終了。

本書の要点

  • 要点
    1
    退職後のキャリアを描く際、会社の肩書がなくても仕事をくれる人がいるかどうかが重要だ。会社員のうちに、自分を個人として評価してくれる人と関係を築いておくといい。
  • 要点
    2
    転職や退職は、会社という「糸」を断ち切るサバイバル体験とも言える。生き抜くためには、「会社を離れた自分は何ができるのか?」と問いかけ、自分自身でアイデンティティーをつくっておく必要がある。
  • 要点
    3
    お金があっても幸せになれるわけではない。周りの人を幸せにすることが、自分も幸せになるカギである。
  • 要点
    4
    「うまくいかなくても自分で決断して、やりたいことを選択する」という決断が大切だ。

要約

番組プロデューサー・佐久間宣行

45歳でテレビ東京を退職

45歳でテレビ東京を退職した佐久間宣行は、辞めるときにあまり周りと揉めなかったと振り返る。会社の中では出世が早い方であったにもかかわらず、退職した理由の一つは、ディレクターから部長職への昇進が見えた際に「自分はディレクターを続けたい」と思ったからだという。

上役になったら必要な社内政治も自分には向いていないとも感じていた。そのため、自分の実力でできる限り上まで行って、それ以降は別の仕事に切り替えるという作戦をとることにした。

会社を辞めるためには、「辞めても大丈夫」という自信が要る。自分の腕に自信があるかどうか、会社の肩書がなくても仕事をくれる人がいるかどうかが重要だ。佐久間の場合は、ラジオパーソナリティーとして接した人たちや、お笑い事務所の人や芸人から佐久間個人の腕や人間性を評価されていたため、「仕事をもらえるだろう」という算段があった。また、『あちこちオードリー』や『ゴッドタン』といった、佐久間の手がける番組が配信向きであったことからも、テレビ局を辞めても当面は生きていけると踏んでいた。

社内に味方を作る方法
Sam Edwards/gettyimages

佐久間は30代から「会社を辞めても大丈夫な人間になる」と決めていたという。そのため、社内で求められる番組よりも、外部から評価されるような作品を戦略的に作っていった。

佐久間の中で大きかった出来事は、『ピラメキーノ』という子ども向け番組を立ち上げたときのことだ。社内に味方がいない中、会社には秘密で各部署から一人ずつ集めて製作委員会を立ち上げた。それぞれの部署に利益があるようにすることで、番組を守ってもらうスキームを作ったのだ。この経験を経て、佐久間は視聴率のゲームに左右されないで、番組を生き残らせる方法を会得した。

また、委員会のメンバーはいずれも制作部門に虐げられていた人たちだったという。彼らは唯一の味方であった佐久間と仲良くなり、その後は出世していき、佐久間に仕事をくれる存在となった。

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要約公開日 2023.09.13
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