ひとり時間が、いちばん心地いい

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ひとり時間が、いちばん心地いい
出版社
出版日
2023年04月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「一人ぼっち」はよくない。

一人で食事することを「ぼっち飯」などと揶揄する言葉もあるが、一人きりでいることは悪いことだとする風潮がある。そのせいか、片時も一人になりたくないという人が世の中にはいる。今はスマートフォンがあれば、いつでもどこでも、すぐに誰かと「つながれる」時代だ。だからこそ、人は孤独を恐れ、遠ざけようとする。

しかし、孤独は本来自然なことだと、著者、曹洞宗の枡野俊明住職は語る。禅の世界では、人は生まれてくるときも、死ぬときも一人だと教える。大切な家族や友人でも、それを共にすることはできない。孤独とは、ごく自然で当たり前の状態なのである。まずはこのことを見つめ直さなければならないと著者は諭す。本書は、現代人を襲う「孤独感」と向き合うための考え方を、禅の教えの中に見つけるものだ。

私たちは、人と接しながら、人に囲まれながら、孤独を感じる。多くの場合、それは人と関係を持つからこそ感じる孤独だ。その孤独感の原因は、人の目を気にしたり、自分と誰かを比べたり、何かを思うようにコントロールしようとしたりする心の動きから生じることを、本書は教えてくれる。

人はみな一人である。でも、人は一人で生きているのではない。孤独感に押しつぶされそうになっている人は、ぜひ本書を手にとってじっくりと味わってほしい。禅の教えが、じんわりと心をほぐしてくれるだろう。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職
庭園デザイナー
1953年神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」の創作活動により、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年には『ニューズウィーク』日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園など。
主な著書に『禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本』(幻冬舎)、『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)、『寂しさや不安を癒す 人生のくすり箱』(KADOKAWA/中経出版)、『定命を生きる よく死ぬための禅作法』(小学館)、『50歳からは、好きに生きられる』『禅が教える 人生の答え』(以上、PHP研究所)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「孤独」と「孤立」は違う。ひとりきりでいることが「孤独」であるのに対し、「孤立」は社会とのつながりを失うことであり、これは人間にとってもっとも恐ろしいことだ。
  • 要点
    2
    いくら考えても答えが見つからない問いがある。それでも考えつくして自分の答えを探す大切さに気づくことが、人生である。考えるのをやめることは他人の考えに身を委ねることであり、それは自分の人生とはいえない。
  • 要点
    3
    人生の大切な問いについて考えるのは、孤独の中でしかできない。しかし、現代は情報があふれ、人生について考える時間が奪われている。

要約

孤独とは何か?

孤立と孤独は違う

「孤独死」という言葉がよく聞かれるようになった。誰にも看取られず、気づかれずに死んでいくことである。人間は一人で生まれて一人で死んでいくものだが、それでも孤独の中で死んでいくのは恐ろしいものだ。かつての社会では、二世代、三世代が同居する大家族が一般的だった。家族がいなくとも近所の人や親戚がおり、孤独を感じることはなかった。

一方、現代は、核家族化や未婚率の増加などにより、一人で暮らす人が多くなっている。こうした社会で大切なのは、孤立しないことだ。「孤立」と「孤独」は異なる。「孤独死」も本来「孤立死」と呼ぶべきだ。怖いのは、孤独になることではなく、社会から孤立することなのである。

孤立しないためには、常に人とのつながりを持っておくことだ。そのための簡単な方法がある。挨拶をすることだ。親しくなろうとか、友達になろうなどとは考えなくていい。同じマンションの住人や近所の人など、顔を合わせたらただ挨拶するだけでいい。現代は、昔のように、不愛想にしていても誰かが見守ってくれる社会ではない。自分からつながりをつくる努力をしなければ、すぐに孤立してしまう。

孤独は人間にとって自然なことだが、孤立は社会から放り出されることで、もっとも恐ろしいことである。

「考える」には2種類ある
raetorianphoto/gettyimages

私たちは日々、休むことなく何かを考えている。

「考える」という行為には2種類ある。ひとつは何らかの解決策や答えを見つけるために考えること、もうひとつは明確な答えのないことがらについて考えることだ。日々の考えごとの多くは答えを導くためのものだ。しかし、答えがなくとも、人間として考えなければならないこともある。

禅の修行では、禅問答といって、決まった答えのない問いについて考え続ける。なぜあえてそんな問いかけをするのか。それは、深く考えるという行為の大切さを伝えるためだ。いくら考えても答えが見つからないこともある。それでも考えつくして自分の答えを探す大切さに気づくことが、人生なのである。

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要約公開日 2023.09.24
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