本書の要点

  • 失敗や挫折をしたときの悔しさや悲しさといった感情を結晶化したのが「飴玉」だ。

  • 著者の人生最大の飴玉は、法律事務所での仕事が評価されず、退職をすすめられたことだ。心が折れて誰も信用できなくなった。同じように悩んでいる人がいたら、この飴玉を差し出して救いたいと考えている。

  • 飴玉のつくり方は、挫折をしたときにその内容を書き出し、何度も書き直して第三者へ話すことだ。その過程でさまざまな気づきを得られる。

1 / 3

なぜ人生に「飴玉」が必要か

本書のカギをにぎる「飴玉」とは?

避けられなかった失敗、 失意、喪失、そして挫折。著者はそのときの悔しさや憤り、虚しさ、悲しさなどのさまざまな感情や心の傷を、できるだけ新鮮なまま凝縮させて結晶化したいと考えている。 そして、時々それらをリアルに思い出し、味わうのだ。これが本書のカギを握る「飴玉」という概念である。著者は、米国のハーバード・ロースクール留学中に、 前職の弁護士事務所を辞めたときの人生最大の挫折を思い出すようになった。当時の悔しい感情を繰り返し味わう行為は、飴玉をなめている感覚に近いと思うようになり、「飴玉」について意識し始めたのだ。飴玉をなめると、当時のさまざまな負の感情がよみがえり、苦しさもある。だが、「もう同じような悔しい思いをしないために、苦しくても努力を継続するんだ」と、自分を鼓舞してくれる。飴玉をつくることは失敗や挫折から逃げずに正面から見据えることであり、作成過程でさまざまな気づきが得られる。そして飴玉は自分でなめる以外に、他人に差し出すこともでき、相手の学びにもなる。今の著者の人生には、欠くことのできないものになっている。

「飴玉」が自分や職場を変える

kazuma seki/gettyimages

Webメディア「日経xwoman(クロスウーマン)」のインタビューで、2つの特大飴玉について赤裸々に話をした。初の告白への反応が不安だったが、読者からは、失敗経験を前向きにとらえた励ましのコメントが多数届いたそうだ。著者は若い頃、教育をしてくれたり気にかけてくれたりする女性の先輩が職場におらず、孤独を感じていた。もしも読者からのコメントのように温かい助言をしてくれる先輩が当時いたならば、つらい場面も乗り越えて、人生が変わっていたかもしれないと考えている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3262/4002文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.10.17
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

自分という壁
自分という壁
大愚元勝
逆張り思考
逆張り思考
成田修造
心の休ませ方
心の休ませ方
加藤諦三
精神科医Tomyの心の不安を取り除いて、寝る前に気持ちをスッキリさせる魔法の言葉
精神科医Tomyの心の不安を取り除いて、寝る前に気持ちをスッキリさせる魔法の言葉
精神科医Tomy
天才性が見つかる 才能の地図
天才性が見つかる 才能の地図
鈴木祐
比べず、とらわれず、生きる
比べず、とらわれず、生きる
枡野俊明
自分らしく生きている人の学びの引き出し術
自分らしく生きている人の学びの引き出し術
尾石晴
リスキリング【実践編】
リスキリング【実践編】
後藤宗明

同じカテゴリーの要約

AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
加藤俊徳
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
阿部恵
AIエージェント革命
AIエージェント革命
シグマクシス
やりきる意思決定
やりきる意思決定
中出昌哉
生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳