心の休ませ方の表紙

心の休ませ方

「つらい時」をやり過ごす心理学


本書の要点

  • 生きることに疲れてしまった人は、何を置いてもまず休むべきだ。

  • 親に承認されず、甘えを拒否されてきた子供は、心に憎しみ、恐怖、恨み、不安などのマイナス感情を溜めていく。感情を吐き出せずに限界を超えると、うつのようになってしまう。

  • うつ病者がマイナス発言をしたり、じっと動けなくなったりするのは、心に憎しみが積もっているからである。彼らが欲しているのは励ましではなく「認めてもらうこと」である。

  • 人生は一度きりだ。人の期待にこたえるのをやめ、自分に誠実に生きよう。

1 / 6

【必読ポイント!】なぜ生きることに疲れてしまうのか

親に愛情を搾取される子供たち

人は甘えたい時に甘えられないと傷つく。子供だけでなく、いくつになっても甘えの欲求を持った人は傷つきやすい。場合によっては親が子供に甘えるということも起こる。たとえば、子供に「わー、おいしい料理!」と言ってもらいたくて料理を作っても、子供がそれほど喜ばなかったら、その親は子供をグチグチと責め立てる。感謝されると思っていたのに、期待はずれに終わったからだ。親は子供に拒否されたと思って傷つくのである。親が子供に甘えるのは「親子の役割逆転」である。この場合、子供は親の甘えの欲求を満たさなければ責められるため、子供自身の甘えは否定される。こうした環境に育った子供は、人の好意を怖くて断れず、相手の不機嫌に怯えるような大人に育ってしまう。親から愛を搾取されると、憎しみ、恐怖、恨み、不安などのマイナス感情が心の底に溜まっていく。そしてその感情を吐き出せずに限界を超えると、ついにはうつになってしまう。

生きることに疲れたら休もう

AsiaVision/gettyimages

「親子の役割逆転」は外からはわかりづらく、そうでない親子関係とも同じように見えてしまう。しかし、その中で生き延びた子供は「よくここまでたどり着いた」というほど、苦しい思いで生きてきたはずだ。「生き延びた」だけでも奇跡なのである。もしあなたが生きることに疲れた、もう何をするエネルギーも残っていないというのなら、とにかく休むべきである。「こんなことをしていられない」と焦る必要はまったくない。自殺もせず、犯罪も起こさず、ここまで頑張って生きてきただけでもすごいことなのだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3643/4327文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.10.15
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

精神科医Tomyの心の不安を取り除いて、寝る前に気持ちをスッキリさせる魔法の言葉
精神科医Tomyの心の不安を取り除いて、寝る前に気持ちをスッキリさせる魔法の言葉
精神科医Tomy
自分という壁
自分という壁
大愚元勝
比べず、とらわれず、生きる
比べず、とらわれず、生きる
枡野俊明
挫折からのキャリア論
挫折からのキャリア論
山口真由
自分らしく生きている人の学びの引き出し術
自分らしく生きている人の学びの引き出し術
尾石晴
天才性が見つかる 才能の地図
天才性が見つかる 才能の地図
鈴木祐
ひとり時間が、いちばん心地いい
ひとり時間が、いちばん心地いい
枡野俊明
小さな感謝
小さな感謝
鹿島しのぶ

同じカテゴリーの要約

ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
樺沢紫苑
社会は、静かにあなたを「呪う」
社会は、静かにあなたを「呪う」
鈴木祐
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
ピョートル・フェリクス・グジバチ
不機嫌を飼いならそう
不機嫌を飼いならそう
藤野智哉
時間・自己・幻想
時間・自己・幻想
マルクス・ガブリエル大野和基(インタビュー・編)月谷真紀(訳)
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
宮下友彰
無料