情報をインプットしたあとに、その内容を踏まえてアウトプットするシーンは多いものだ。例えば、新商品開発プロジェクトでは、まず市場調査をする。そこでA・B・Cという3つのニーズを見つけたら、もっともニーズの大きいAに向けた商品を考えていく……という「インプット→アウトプット」のプロセスが一般的である。
だが、未来を予測できない時代においては、予想もつかないような出来事が次々に起こるため、最新の情報を集めてもあまり意味はない。大量のインプットをしても、ヒット商品を生み出せる可能性は限りなく低くなっていると言えるだろう。時間もお金も無駄になり、競争力を失ってしまいかねない。
インターネットが普及し、情報収集が簡単になった今、行動する前にありとあらゆる情報を集める人は多いものだ。だが、それはインプット重視の最大の弊害だ。いわば「網羅思考のワナ」である。
インプットを起点とする網羅思考を持っていると、行動するまでに時間がかかりすぎる。マーケットや競合の情報を完璧に調べ上げていては、戦略や企画を生み出しても「時すでに遅し」になってしまいがちだ。今の時代、「情報は集めれば集めるほどいい」とは言えないのである。
網羅思考のワナに陥らないためには、情報収集にかける時間を必要最低限に抑えて、「考える」時間を増やすとよい。そして、インプットではなくアウトプットで差別化することを目指す。
具体的には、「インプット→アウトプット」ではなく「アウトプット→インプット」を基本プロセスとしよう。アウトプットを意識してインプットすると、情報収集の手間を減らせて、最小限の情報から最大限の成果が引き出せるだろう。
内田流知的生産術における基本スタンスは「情報は整理するな、覚えるな、検索するな」である。目指すは「インプットにはなるべく時間をかけずに成果を出すこと」だ。ここでは、効率よくアウトプットを出すための「アウトプットから始まるインプット」について解説する。
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