戦略的、めんどうな人の動かし方

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戦略的、めんどうな人の動かし方
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2014年06月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

無理難題ばかり突きつけてくる得意先に、頭が堅い上司。「あぁ、自分の思い通りに相手が動いてくれればなぁ」そんな風に一度でも思った人は、本書の戦術を試すと、「人を動かすことはこんな工夫でできるのか?」と劇的な効果を体験できることだろう。

人の心理を学ぶことはビジネスパーソンの必須事項だ。『影響力の武器』などの書籍に目を通した方も多いと思われるが、「もっと簡単に実践できる戦略・戦術・ワザ・テクニック」を集めたのが本書の特長だ。

「コミュニケーションは技術」と言い切る著者は、メディア・心理学の最新の知見や、豊富なカウンセリング実績を活かした執筆や研修で絶大な支持を得ている。そんな彼が、職場のリアルなシチュエーションでのテクニックをあますところなく披露しているのだから、即効性はお墨付きだ。一見、小手先の対症療法に感じるかもしれない。しかし、ゲーム感覚でテクニックを自分のものにしていく中で、行動が習慣となり、知らず知らずのうちに真の交渉力や影響力を身につけていけるという仕掛けになっている。本書に凝縮された「人の心理のエッセンス」たちは、「相手の手の内を知り、相手に操られないようにする」ための防具にもなってくれるだろう。「くすり」と笑ってしまうようなエピソードや、POPなイラストにいざなわれ、一気に読んだ後は痛快な気持ちになれること間違いなしである。ただし、どの戦術も効きすぎるので取り扱いにはくれぐれもご注意を。

ライター画像
松尾美里

著者

五百田 達成(いおた たつなり)
作家・心理カウンセラー。米国CCE.Inc.認定GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て2007年に五百田達成事務所を設立。サラリーマンとしての実体験と豊富なカウンセリング実績を活かした、職場の人付き合いにおける実践的アドバイスが好評を得ている。
「コミュニケーション」「仕事と人間関係」を主なテーマに執筆や企業向けの研修を行い、13万部を超えるベストセラーとなった『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング)をはじめ著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    期限をはっきり決めることや、「頼まれたら断りづらい人」を送り込む、相手を褒め殺しにするなど、人付き合いの基本戦術を組み合わせることで交渉を有利に進められる。
  • 要点
    2
    相手が思うように動かないときは、手本や大義名分、街頭の生の声などを用意して行動を阻害する要因を取り除くことで、相手が自ら動いてくれやすくなる。
  • 要点
    3
    相手のプライドを刺激することや、先に感謝を言ってしまうこと、ハッタリをかますことなどの手法で、相手に考える隙を与えないようにすれば、要求をのんでもらいやすくなる。

要約

めんどうな人を動かす基本戦術

人間関係全般に効く初歩的な交渉テクニック
Yang Mingqi/Hemera/Thinkstock

■デッドライン作戦

相手にしっかり期限を突きつけることで、相手が動いてくれやすくなる。「終わり次第」、「できたところで」という曖昧な言葉では人は動かない。凄腕営業パーソンは、決めかねている得意先に対し「いつまでに決断してくれるのか」「他の何と迷っているのか」「どんな条件・情報が加わったら選べるのか」の3点を迫るという。

期限を明確にできないのは、自分自身が仕事の進行イメージをもてていない証拠だ。相手への遠慮はひとまず脇において、デッドラインを明示することで、相手も自分も動きやすくなる。

■フォックスタイガー作戦

タイミングや場所を変えても相手が動かないときは、自分がなめられている可能性が高い。そんなときは、「頼まれたら断りづらい人」を送り込み、「虎の威を借る狐」になってしまおう。

具体的には、自分よりも偉い人(上司)や、敵を作らない人当たりのいい人、美人、そして威圧感がある人がオススメだ。他の人が登場することで、これまで煮詰まっていた経緯や関係性をリセットでき、挽回のチャンスを作れるというメリットがある。すぐに切れるカードをたくさん持っていることが、優秀な交渉人の条件だと言える。

■イイキリ作戦

「強く言い切る」ことで、相手の背中を押す作戦だ。情報や選択肢があふれる現代では、「選ぶ・決める」ことはストレスフルなことなのである。「○○と、△△があるのですが……」と丁寧に説明するのではなく、「○○がおすすめです!」と結論を断定してあげることで、相手は動きやすくなる。ただし乱発すると、相手が指示待ち人間になってしまうリスクがあるためご注意を。

■オダテマス作戦

ほめられて、おだてられて気分が悪くなる人はいない。相手の態度が硬くなっていたら、まずはおだててみること。相手の機嫌の悪さが交渉を難航させている可能性も大いにあるので、気分よくなってもらうことが大切だ。効果的な「おだてるポイント」は次の3つである。

①「あなただけ」という特別感を出す

②とにかく持ち上げて、褒め殺しにする

③下手に出る

おだて作戦は、おもてなし精神が問われるといってもよいだろう。

【必読ポイント!】 相手が勝手に動き出す高等戦術

相手の「本能のツボ」を刺激して、行動の阻害要因を取り除く策
Sergey Ilin/iStock/Thinkstock

■イソロク作戦

人は何かのまねをして取り組むと成果が出やすい。稀代の軍人、山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という名言よろしく、動かない相手には、手本を見せて「行動の障害」を取り除いてやることが有効だ。

ただ、最近の新人教育の現場では、手本を見せたくらいでは動かない場合も多い。よって、「まずほめて、試しにやらせてみて、その上で言って聞かせて、最後にお手本を見せる」という手順の方が、相手を動かしやすいはず。おおらかな気持ちで試してほしい。

■大義名分作戦

人を動かすには、きっかけとなる「いい感じの言い訳」を用意してあげることが必要だ。例えば、男性が女性をデートに誘うとき、「仕事も一段落したし、軽く打ち上げでも」とそれらしい理由をつけると、誘われた方も行きやすくなる。

特に男性は何かと物事に理由をつけたがるが、ひるがえせば、大義名分を与えると生き生きと動き出す傾向が強い。ビジネスの場でも、

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要約公開日 2014.12.26
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