子育てに悩んでいるとき、他人の子育ての成功事例を目にすると、参考にしたくなってしまうものだ。たとえば、受験生の子どもの成績が伸び悩んでいるときに、「毎朝5時の起床で志望校に合格しました!」と言われたら、試してみようかなという気持ちになるかもしれない。しかし、5時起きはすべての子どもに有効なのだろうか。子どもを取り巻く環境は千差万別だ。5時起きをしていた子どもの成功要因は早起き以外のところにあるかもしれない。他の子にとっては5時起きの実践が悪影響になることさえある。
5時起きは極端な例であるが、他人がうまくいったやり方があったとしても、変わりゆく時代の中で他の人にも同じような効果をもたらすとは限らないというのは重要な視点だ。そこで取り入れたいのが「科学的子育て」だ。子育てには科学的な研究成果が蓄積されてきた。それにより、科学的アプローチで子どもの能力を最大限に引き出すような子育て方法も明らかになってきている。こうした研究成果により、これまで個人的な経験則で「絶対効果的」と言われてきた子育ての中にも、「ダメ子育て」が隠れていることがわかっている。
ここでは、一般の人が追いづらい、最新の脳科学と心理学を根拠とした、実践しやすい子育て方法を厳選して解説していく。ただし「科学的効果が確認されている」=「誰にでも効果が保証されている」ということではない。科学的な根拠があったとしても、自分の子には合わない可能性があることには注意が必要だ。それでも、情報が氾濫する現代において、客観的な効果が確認された「科学的な子育て」は優先されるべきだ。そうすることで、「ダメ子育て」を回避しやすいのもまた事実である。
子どもが悪いことをした。だからすぐに叱る。子どもが忘れないうちに、叱るべき。これはよく聞く子育て法だが、じつは脳科学的には逆効果になる。
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