センス・オブ・ワンダー

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センス・オブ・ワンダー
出版社
出版日
2024年03月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

レイチェル・カーソンによる世界的ベストセラー『The Sense of Wonder』の待望の新訳が登場した。本書は、独立研究者・森田真生氏による新訳とともに、その流れを汲んだ自身のエッセイを紡いだものである。「センス・オブ・ワンダー」という言葉は、SF愛好家にとっては馴染みが深い。SFでは未知の生態系を精緻に描写し、斬新な世界観を通じて、読者の知的興奮を喚起させる。

カーソンの提示する「センス・オブ・ワンダー」も、普段私たちが見過ごしている精緻な自然を見つめ直せるよう促してくれるものだ。自然は驚きと新鮮さに満ちていて、畏れや知的好奇心をかきたてる。

森田氏は息子たちとの触れ合いを通じ、新たな自然を再発見し、自然の中に生きる自分たちの姿を見つめ直していく。こうしてカーソンの魂を引き継ぎ、かの有名な『沈黙の春』にも橋をかけていく。それは環境問題の本質に迫るものでもある。

森田氏の鋭くも優しい感性によって、自然と私たち人間との関わりが躍動感をもって描き出される。同時に、カーソンの著作を通じて環境問題の本質をとらえ直すきっかけを与えてくれるのだ。カーソンと森田氏による、美しい世界観と鋭い省察を味わってみていただきたい。目を見開くような体験が待っているはずだ。

著者

レイチェル・カーソン(Rachel Louise Carson)
1907-1964。アメリカ合衆国ペンシルベニア州生まれ。アメリカ内務省魚類野生生物局の水産生物学者として研究に励む。1962年化学物質の危険性を取り上げた著書『沈黙の春』(Silent Spring)で公害問題を厳しく告発、環境問題の嚆矢となる。『センス・オブ・ワンダー』は1956年に雑誌発表、未完のままに死後単行本化された。ほか著書に『潮風の下で』『われらをめぐる海』『海辺』などがある。

森田真生(もりた まさお)
1985年生まれ。独立研究者。京都を拠点に研究・執筆の傍ら、国内外で様々なトークライブを行っている。著書『数学する身体』で第15回小林秀雄賞受賞、『計算する生命』で第10回河合隼雄学芸賞受賞、ほかに『偶然の散歩』『僕たちはどう生きるのか』『数学の贈り物』絵本『アリになった数学者』などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    子どもには自然の精緻さに気付く感受性が備わっている。
  • 要点
    2
    カーソンは子どもが「センス・オブ・ワンダー」を失わないためには、一人の大人の助けが必要と綴っている。森田氏は、大人も子どもの手を借りることで「センス・オブ・ワンダー」を取り戻せると考えている。
  • 要点
    3
    カーソンは観察の人であった。その鋭い視線は、美しいものだけでなく、破壊されていく地球環境も見つめていた。そして、人間が環境に与える影響について警鐘を鳴らした。

要約

センス・オブ・ワンダー

ある夜の冒険

ある秋の嵐の夜、レイチェル・カーソン(以下、カーソン)は当時一歳八ヵ月だった甥のロジャーを抱いて、雨の中、海辺に降りていった。夜の海は波があらぶっている。壮大に轟く海原の息吹に、二人は喜びを感じていた。初めて「海の神様」の激情に触れた幼な子と、半生を海と共に過ごしてきたカーソン。二人は同じ興奮を味わっていた。

嵐が収まった数日後、夜の帳が下りた海岸線を、懐中電灯片手に二人は歩いていた。このときは幽霊ガニを探していた。海の壮大さに対してこのカニはあまりにも小さく脆い。だが、その姿を眺めていると、心が揺さぶられ、哲学的な気持ちになる。ロジャーも同じ気持ちなのかはわからない。けれども、この世界を、彼なりに受け入れているのが感じられて、カーソンは嬉しかった。

風の歌、暗闇、波の鳴り響く音。自然の呼吸を全身で感じながら、「ユウレイ」を探し始めるのである。

「きてよかったね」
bauwimauwi/gettyimages

カーソンは夏休みをメイン州で過ごす。ここには自分だけの海岸と小さな森があって、ベイベリー、ビャクシン、ハックルベリーが岸辺の花崗岩の縁(へり)に自生していた。海辺から木々を抜けて小高い丘に登る。トウヒやモミの香りがしていて、地面を踏みしめる足の周囲では、ブルーベリー、チェッカーベリー、トナカイゴケ、バンチベリーが北アメリカの森を描いている。

カーソンはロジャーに動植物の名前を教えようと特に意識したことはない。「あれを見て」「こっちを見て」。そんな風に、今自分が見ているものを喜びとともに表現するだけだ。でも、ロジャーの心には動植物の名前がしっかりと刻まれていて、そのことに驚かされることもしばしばだ。

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要約公開日 2024.05.04
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