CEOからDEOへ

「デザインするリーダー」になる方法
未読
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CEOからDEOへ
出版社
ビー・エヌ・エヌ新社

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出版日
2014年09月22日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

今後をほとんど予測できない現代において、もはやCEO的リーダーシップは時代遅れだ。

CEO的リーダーシップとは、組織を管理し、既に構築された仕組みをうまく機能させることで利益をあげるやり方のことを指す。しかし、企業の平均寿命がわずか15年と、以前に比べてはるかに短くなり、従業員も一生の間に何度も職業や会社を変えるようになった現代では、こうしたCEO的管理手法は早晩行き詰まってしまう。

本書によれば、変化の時代を生き延びることができるリーダー像はDEO(デザイン・エグゼクティブ・オフィサー)である。ここで言う「デザイン」とは、芸術・美術的な意味合いではない。デザインとは、「集団的な変化を促すこと」である。変化を受け入れ、その中で自社のサービスや自社そのものを変化させていくことで、会社をとり巻く荒波を乗り越えていけるのだ。

本書はさまざまなデータやインタビューを駆使し、「DEOの特徴」や「DEOとして如何にふるまうべきか」を述べた一冊だ。競争ではなく「共創」。管理ではなく「メンタリング」。失敗を許容する――こうしたCEO的管理手法からDEO的リーダーシップに変えていくことで、創造性にあふれ、変化に強い会社作りが可能になるだろう。DEOになるためのエクササイズ(実践編)や、参考になる書籍の紹介、既にDEOとしてリーダーシップを発揮している人のインタビューもあり、単に新たな考え方の紹介にとどまらない、「デザイン思考」を学ぶための実践的な本となっている。

ライター画像
苅田明史

著者

マリア・ジュディース
1997年にエクスペリエンスデザイン会社Hot Studioを設立。20年以上にわたり、さまざまな分野の人たちとのコラボレーションや、多様な人材のメンタリングを行う。また、TEDxPresidio、SXSW、AIGAデザインカンファレンスをはじめ、世界各地でデザインやコラボレーションの力についてのスピーチを行っている。2013年、FacebookがHot Studioを買収。現在はFacebookでプロダクトデザインのディレクターを務めている。

クリストファー・アイアランド
シリコンバレーのデザインリサーチ会社の先駆けとなったCheskinの共同創設者として、様々なクライアント企業の新製品開発や企業改革に貢献。彼女がチームを率いて研究したテーマは実に多岐にわたる。2007年に同社を売却後、カリフォルニア美術大学で起業家精神を伝授したり、デザイン重視のテクノロジー企業の発展を支援するMix & Stir Studioの共同創設者として、スタートアップ企業を指導している。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代のように常に変化する時代においては、これまでのCEO的リーダーシップはもはや通用せず、デザインの力(集団的な変化を起こす力)を積極的に活かす「DEO」が求められる。
  • 要点
    2
    DEOは、①変化を起こす、②リスクを冒す、③システム思考をする、④直観力が高い、⑤社会的知性が高い、⑥さっさとやる(GSD)という特徴を持っている。
  • 要点
    3
    コラボレーション(共創)やメンタリングを重視する点、分散的思考を行い、失敗を容認する点など、DEOの特徴は組織作りや行動にも表れる。

要約

【必読ポイント!】 CEOからDEOへ

DEOの特徴
Nastia11/iStock/Thinkstock

かつて有能なCEOたちは、社員の力、資金、流通網、ブランドイメージを支配下に置き、それらを結びつけ、確実にマーケットシェアを獲得して利益を生み出す会社を作り上げていた。しかし、現代のように、常に変化する混沌としたビジネス環境においては、こうしたCEO的リーダーシップが通用しなくなっている。

こうした変化の時代において舵取りを行うためには、デザインの力を活かすことが求められる。デザインとは「集団的な変化」を起こすことだ。デザインの力を積極的に活かすリーダーを本書では「DEO(デザイン・エグゼクティブ・オフィサー)」と名付けた。

CEOとDEOは、どちらも「大きな望みを持っている」「自信に満ちている」「理性的」「負けず嫌い」という共通点があるが、DEOはさらに、①変化を起こす、②リスクを冒す、③システム思考をする、④直観力が高い、⑤社会的知性が高い、⑥さっさとやる(GSD)という特徴を持っている。

変化を起こす

DEOが「変化」に悩まされることはない。それどころか、変化を奨励したり、自ら推進したりする。ビジョンを達成しようとしたら、変化を起こすことになったというだけだからだ。

DEOはしっかりとした骨組みを持つ、形のはっきりしたビジョンを設定する。人を惹きつける魅力的な将来像に色付けし、達成可能な明確な目標を定め、そこに至るまでの合理的なロードマップを設定する。その後、データやフィードバックを集めて、現状のままでは夢を実現できないと思ったら、自らの進行方向を改め、軌道修正する。

DEOは、人と違うことを考えたりやったりしようとする。それができれば、競争上の強みになることに気づいているのだ。

リスクを冒す

DEOは、リスクを受け入れる。リスクは人生につきものだし、創造力を発揮するのに欠かせないものだと考えているからだ。事実、画期的な新製品やオリジナル商品にはリスクを伴わないものなど1つもない。どんな成功も、どこかの時点でリスクを冒した結果なのである。

DEOはリスクを抑えたり、回避したりするどころか、自分でコントロールできるものとして気楽に操ろうとする。また、リスクを冒すことを「実験」と言い換えることで、自分自身や社員の不安を和らげている。「実験」なら、その結果が成功であれ失敗であれ、何らかの知見を得るとか、いい経験をするという成果を得られることになるからだ。仮説や枠組みをしっかり構築することで、リスクの性質を明確にしたり、リスクを正確に評価することができる。

また、「(小さく賭けることで)リスクのサイズを調節する」「(1人でなく協力者と一緒に)リスクを共有する」「リスクを冒したことを称える」といったやり方で、賢くリスクを冒すことができる。

システム思考をする
chatchaisurakram/iStock/Thinkstock

DEOは「システム思考」をする。「システム思考」とは、つながりを理解する能力のことだ。

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要約公開日 2015.01.30
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