営業の科学

セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
未読
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セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
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営業の科学
出版社
かんき出版

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出版日
2024年04月09日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

上司に言われたとおり、目標達成を強く意識し、行動量を増やして、お客様との関係構築に努めている。それなのに成果が出ないのはなぜだろう――。本書はそう悩む営業パーソンに強く勧めたい一冊だ。

著者はTORiX株式会社の代表として、これまで4万人以上の営業強化支援に携わってきた高橋浩一氏だ。コンペ8年間無敗という記録を打ち立てた伝説の営業マンで、数々のベストセラーの著者でもある。

高橋氏の著書の最大の特徴は、徹底的な分析と言語化だ。営業パーソンの「あるある」な課題を丁寧に分析し、それらを解決すべく、自身の営業ノウハウを緻密に言語化して示してくれる。どのノウハウも非常に具体的で、取り入れやすいのもポイントだ。

本書は、そんな高橋氏のノウハウをぎゅっと詰め込んだ一冊となっている。副題に「セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する」とあるとおり、冒頭で「ガンバリズムの罠」について指摘され、続いて、営業成果を上げるための「急所」が示されるという構成だ。

執筆前、高橋氏は「かつて私がハマった『落とし穴』は、単なる個人的な経験に収まるものではなく、実は同じように苦しむ営業チームが多いのでは?」という疑問を抱き、営業とお客様それぞれ1万人、計2万人に調査をしたそうだ。本書では、ノウハウの裏づけとして、折に触れてこの調査の結果が紹介される。あなたも要約者と同様、たくさんの納得と驚きとともにあっという間に読み終えることになるだろう。

著者

高橋浩一(たかはし こういち)
TORiX株式会社 代表取締役
東京大学経済学部卒業。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。事業と組織を統括する立場として、創業から6年で70名までの成長を牽引。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。
2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。これまで4万人以上の営業強化支援に携わる。
コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』(ともに日経BP)を出版、シリーズ累計9万部突破。
2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす ~共感とロジックで合意を生み出すコミュニケーションの技術~』(クロスメディア・パブリッシング)、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法』(KADOKAWA)、2023年『「口ベタ」でもなぜか伝わる 東大の話し方』(ダイヤモンド社)を出版。
年間200回以上の講演や研修に登壇する傍ら、「無敗営業オンラインサロン」を主宰し、運営している。

TORiX株式会社HP https://www.torix-corp.com

本書の要点

  • 要点
    1
    営業担当者とのコミュニケーションにおいて、お客様はとっさに「購買者の仮面」をつけることがある。営業担当者は、適切なアクションによってその仮面を外さなければならない。
  • 要点
    2
    お客様が「はぐらかしの仮面」をつけたくなるのは、営業担当者から「意思決定に関わるデリケートな情報」について尋ねられたときだ。この仮面を外す方法の一つは、「特定質問」で回答の負荷を下げることだ。
  • 要点
    3
    「忙しさの仮面」をつけているお客様に対しては、「ハズレの営業ではないことの証明」をしよう。アポイント打診時に「どんな課題を解決できるか」と「高い費用対効果を実現できる理由」を端的に伝える。

要約

「購買者の仮面」に気づいていますか?

営業がまずやるべきは「購買者の仮面」を外すこと

営業活動において、お客様から出てくる「表面的なセリフ」と「裏側にある本音」にはギャップがある。このギャップを理解せず、表面的なセリフばかりに対応していると、いくら頑張っても成果は出ない。

たとえば、見積もり提案を出した後に「いかがでしょうか?」と判断を迫ったとき、お客様から「社内で検討しますのでお待ちください」と返されることがある。売れない営業はその言葉を真に受けてじっと待つ。

だが実は、「社内で検討しますのでお待ちください」という言葉の裏にあるのは、提案への不満だ。売れる営業なら、その言葉を聞くや否や、不満を解消するためのアクションを起こす。

お客様がよく口にする次のようなセリフは、とっさの防御反応によるものだ。

「とりあえず、今は忙しいです」

「とりあえず、もっと安くなりませんか」

「とりあえず、社内で検討しますのでお待ちください」

こうした「とっさの防御反応」を、本書では「購買者の仮面」と定義する。営業活動において営業担当者がまずすべきは、「購買者の仮面」を外すことだ。

5パターンの「購買者の仮面」
kuppa_rock/gettyimages

「購買者の仮面」には5つのパターンがある。

1つ目は「はぐらかしの仮面」だ。ヒアリングされたことに対し、どこまで情報を出してよいか判断がつかないとき、「とりあえず、まだハッキリと決まっていなくて……」とはぐらかす。

2つ目は「忙しさの仮面」だ。「レベルの低い営業に時間を使いたくない」という心理から、「今は忙しいので、まずは資料をメールで送ってください」と言う。

3つ目は「いきなりの仮面」だ。複数の会社から急いで見積もりを取る必要があるとき、お客様は慌てて「今週中に提案をいただけませんか」というセリフを口にする。

4つ目は「とにかく安くの仮面」だ。まずは「安い価格」で最低限の安心を得ておきたいという心理から、「とりあえず、もっと安くなりませんか」と発言する。

5つ目は「検討しますの仮面」だ。返答を先延ばしにしたいという心理から、お客様は「とりあえず、もう少し社内で検討してみます」と言う。

本書では、5つの仮面について「ありがちなこと(=ローパフォーマーの行動)」と「仮面を外す方法(=ハイパフォーマーの行動)」が詳細に語られる。要約ではそのうち「はぐらかしの仮面」と「忙しさの仮面」を取り上げる。

【必読ポイント!】「はぐらかしの仮面」を外す

はぐらかされるのは、関係構築ができていないからではない

お客様が「はぐらかしの仮面」をつけたくなるのは、営業から「意思決定に関わるデリケートな情報」について尋ねられたときだ。代表的なものはBANTCH(バントチャンネル)である。これはBudget(予算)、Authority(決裁者/意思決定にかかわる重要人物)、Needs(ニーズの詳細)、Timeframe(検討スケジュール)、Competitor(競合)、Human Resources(社内の組織体制)の頭文字を取ったものだ。

よく誤解されることだが、デリケートな情報が聞き出せないのは、お客様との関係構築ができていないからではない。お客様は、不要な商品を買いたくない、焦って不適切な金額で購入するのを避けたいという思いから「はぐらかしの仮面」をつけるのである。

「枕詞」を使いこなす
recep-bg/gettyimages

「はぐらかしの仮面」を外すためには、ちょっとした枕詞によって、お客様に「小さな言い訳」を用意するのが有効だ。そのやり方には5種類ある。

(1)お客様に「メリット」を作る(メリットがあるなら話してもいいかな)

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要約公開日 2024.05.19
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