新版 ゲーム理論トレーニング

あなたの頭を「勝負頭脳」に切り換える
未読
新版 ゲーム理論トレーニング
新版 ゲーム理論トレーニング
あなたの頭を「勝負頭脳」に切り換える
著者
未読
新版 ゲーム理論トレーニング
著者
出版社
かんき出版

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出版日
2024年05月23日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

20世紀の初頭に誕生した、比較的新しい学問分野であるゲーム理論。現在では学問の枠組みを超えて、ビジネスシーンでも応用されるようになっている。人間を互いに影響を与えながらゲームに参加するプレイヤーとみなして、それぞれの行動を数式化してとらえることを基礎としている理論である。こう書くといかにも難しそうな学問だと思われるかもしれないが、本書『新版 ゲーム理論トレーニング』は、そんなゲーム理論をまったくの初心者でも無理なく理解できるようにわかりやすく説明したことが最大の特徴だ。

著者である逢沢明氏は、情報学者でありながらパズル作家でもあり、集めたクイズ・パズルは10万問ともいわれる。そんな著者らしく、本書にはゲーム理論に関連したクイズが多数用意されている。「自分の得する選択肢は?」「こんなときどちらを選ぶべき?」といったクイズに答え、その解説を読んでいるうちに、ゲーム理論の基礎が理解できてしまうという設計だ。

扱われるのはごく簡単なクイズでありながら、「ミニマックス戦略」や「囚人のジレンマ」など、ゲーム理論の重要な概念にもしっかりと触れている。クイズ本を手に取るような気軽さでどんどん読み進めていくうちに、ゲーム理論の謎もすっきりと解けていく。これからゲーム理論に触れようとする人にはもちろん、ちょっと頭を使うクイズに挑戦してみたいという人にも、本書をおすすめしたい。

ライター画像
池田明季哉

著者

逢沢明(あいざわ あきら)
◉──京都大学大学院博士課程修了。京都大学を定年退職(情報学研究科)。工学博士。
◉──情報数理、進化型知能、複雑系情報学の気鋭の研究者であり、かつ文明批評の論客としても知られる。コンピューターのパターン認識性能を一挙に100倍に高める「進化型コンピューター」に挑戦するなど、本業での開発・研究は極めて創造性豊かである。
◉──クイズ・パズルを10万問集めたと言われるパズル博士ぶりは有名。官庁からは科学技術政策委員の依頼が多く、ゲーム理論を実践する政策通として信頼されている。
◉──著書に、『頭がよくなる数学パズル』シリーズ、『大人のクイズ』(以上PHP研究所)、『複雑系は、いつも複雑』(現代書館)、『転換期の情報社会』(講談社現代新書)、『コンピュータ社会が崩壊する日』(光文社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    ゲーム理論は、相手との戦い(ゲーム)に勝つための理論・方法だ。これを応用して実生活で「かけひき上手」になることを目標にするならば、頭を「勝負頭脳」に切り換えなければならない。
  • 要点
    2
    ゲーム理論の大前提は、賢い上に利己的な相手がいることだ。単に自分の利益が最大になる可能性を考えるのではなく、「本当に実現できる最大の利益」を得ようとするのが基本の考えだ。
  • 要点
    3
    負けたときの損失を減らす視点も重要だ。「ゼロサムゲーム」では「マックス(最大)の損失をミニ(最小)にする」というミニマックス戦略の考え方が役に立つ。

要約

頭を使えば「ゲーム」に勝てる

「勝負脳」に切り換える

ゲーム理論は、相手との戦い(ゲーム)に勝つための理論・方法だ。ただの雑学・教養を超え、ゲーム理論を応用して実生活で「かけひき上手」になることを目標にするならば、ゲーム理論をどう実践に結びつけるかから考えなければならない。

まずは、勝つために頭を使うこととはどういうことかを理解し、頭を「勝負頭脳」に切り換えるために、兵力差を覆して今川義元を破った織田信長の戦略について考えてみよう。今川軍の4万に対して、織田軍は2000余りと明らかに劣勢であった。今川軍が攻めてきたと報告を受け、部下から戦うか逃げるかと選択を迫られたとき、信長はなんと返事をしただろうか。本書の効果を最大化するために、用意された設問にはまず自分の頭を使って考えてみてほしい。

この設問ですぐに戦うか逃げるかを選んでしまうようではゲーム理論の考えが身についていない。選べる選択肢はこの2つ以外にもある。まずは選択肢を徹底的に発見することが最重要だ。

信長は敵の出方だけでなく、味方の態度も見定めようとし、スパイがいる可能性も警戒し、すぐには答えなかった。では、内心では今川軍を攻めることに決めていた信長が選択したのは、敵軍がよく見える昼間に攻めることか、それとも自軍がよく見えない夜中に攻めることか。

正解は夜中に攻めること、要するに奇襲である。戦力差が大きいときに勝機があるのは奇襲しかない。これはもはや、あまりにも当然というべき常套作戦だ。

ゲームには勝ち方がある。現実世界のゲームでかけひき上手になりたいなら、論理を身につけるとともに、過去の実例にも目を向けるとよい。

【必読ポイント!】 ゲーム理論の基礎

「先読み」ができないゲームは勝てない
かんき出版提供

次に、お金がもらえるゲームについて考えてみよう。あなたはAさん、対戦相手はBさんだ。まずあなたが「イエス」か「ノー」と言う。あなたが「イエス」と言った場合には、あなたもBさんも1万円ずつもらってゲーム終了。あなたが「ノー」と言った場合、Bさんは「イエス」か「ノー」を選ぶことができる。Bさんが「イエス」なら、あなたがもらえる金額は0円だが、Bさんは3万円。Bさんが「ノー」と言ったらあなたもBさんも2万円がもらえる。2人は協力し合わず利己的にふるまうとする。さて、あなたは「イエス」と言うべきか、「ノー」と言うべきか。

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要約公開日 2024.06.21
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