ゲーム理論は、相手との戦い(ゲーム)に勝つための理論・方法だ。ただの雑学・教養を超え、ゲーム理論を応用して実生活で「かけひき上手」になることを目標にするならば、ゲーム理論をどう実践に結びつけるかから考えなければならない。
まずは、勝つために頭を使うこととはどういうことかを理解し、頭を「勝負頭脳」に切り換えるために、兵力差を覆して今川義元を破った織田信長の戦略について考えてみよう。今川軍の4万に対して、織田軍は2000余りと明らかに劣勢であった。今川軍が攻めてきたと報告を受け、部下から戦うか逃げるかと選択を迫られたとき、信長はなんと返事をしただろうか。本書の効果を最大化するために、用意された設問にはまず自分の頭を使って考えてみてほしい。
この設問ですぐに戦うか逃げるかを選んでしまうようではゲーム理論の考えが身についていない。選べる選択肢はこの2つ以外にもある。まずは選択肢を徹底的に発見することが最重要だ。
信長は敵の出方だけでなく、味方の態度も見定めようとし、スパイがいる可能性も警戒し、すぐには答えなかった。では、内心では今川軍を攻めることに決めていた信長が選択したのは、敵軍がよく見える昼間に攻めることか、それとも自軍がよく見えない夜中に攻めることか。
正解は夜中に攻めること、要するに奇襲である。戦力差が大きいときに勝機があるのは奇襲しかない。これはもはや、あまりにも当然というべき常套作戦だ。
ゲームには勝ち方がある。現実世界のゲームでかけひき上手になりたいなら、論理を身につけるとともに、過去の実例にも目を向けるとよい。
次に、お金がもらえるゲームについて考えてみよう。あなたはAさん、対戦相手はBさんだ。まずあなたが「イエス」か「ノー」と言う。あなたが「イエス」と言った場合には、あなたもBさんも1万円ずつもらってゲーム終了。あなたが「ノー」と言った場合、Bさんは「イエス」か「ノー」を選ぶことができる。Bさんが「イエス」なら、あなたがもらえる金額は0円だが、Bさんは3万円。Bさんが「ノー」と言ったらあなたもBさんも2万円がもらえる。2人は協力し合わず利己的にふるまうとする。さて、あなたは「イエス」と言うべきか、「ノー」と言うべきか。
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