なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか
なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか
なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか
出版社
サンマーク出版
出版日
2025年07月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「1対1なら楽しく話せるのに、人数が増えてくると話しづらくなる」「大人数の会話の輪には入りにくい」ということはないだろうか。「会話は苦手ではない(はず)」なのに、なぜこのようなことが起こるのだろうか。

「人と話す」という行為は同じでも、人数が増減すると「話しやすさ」が変わってくる――。この不可思議だけどありふれたナゾに切り込み、その原因を解明したのが本書である。

本書によると、「複数だと話しづらい現象」を起こしているのは「脳」だという。会話中、見かけは和やかに話している風でも、頭の中は猛スピードで処理をしている。相手の言葉を聞いてその内容を理解して、「うんうん」と相づちを打ったり「へぇ~、そうなんだ!」と驚いてみたりする。そして、会話の流れにふさわしい言葉や話題を選んで、相手に打ち返す。このループを高速で回しているのだ。

相手が1人ならまだいいが、人数が増えるにつれて処理する内容が複雑化し、速度も上がる。すると脳は処理しきれずパンクして、言葉が出なくなってしまうのだそうだ。そして、その「処理できる・できない」の境界は「3」と「4」の間にある。たしかに、オリンピックのメダルの数や「トップ3」「世界三大〇〇」など、3でまとめられているものは多い。何気なくとらえていたが、そこには脳の仕組みが関係していたとは驚くばかりだ。

本書では、複数コミュニケーションの克服法にも触れている。「人が集まる場が苦手」という人は、一度目を通してみてはいかがだろうか。

※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです

ライター画像
矢羽野晶子

著者

岩本武範(いわもと たけのり)
静岡産業大学 教授。工学博士(京都大学)。
1975年生まれ、静岡市出身。
マーケター、データサイエンティスト、行動分析の実務家として20年以上にわたり、「人はなぜ選び、なぜ動くのか」を探究。延べ3000億件を超える行動データ
1000人超のグループインタビューを通して、人間の行動パターンと変容の兆しを読み解いてきた。
現在は大学で教鞭をとるかたわら、教育・都市政策・まちづくりの現場と連携し、「人の幸せ」や「地域の魅力」の見える化を進めている。自治体と協働してウェルビーイング指標の開発や地域データの活用にも取り組み、マーケティング教育やキャリア形成の支援にも力を入れている。
近年は、行動と幸福感の関係性を「ASOBI(心の余裕)」という独自概念でとらえ直し、「Slack Field=動ける余裕のある心と環境」という視点から、人が自然に力を発揮できる条件を明らかにしようとしている。
無理なく話せる、決断できる、前を向ける——その裏には、いつも「余裕」がある。そうした空間や状態を科学的に設計・支援する方法を探るため、国内外で実践と研究を続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    複数になると急に話しづらくなるのは「脳の処理能力」が原因だ。人間の脳は3人までのコミュニケーションは処理できるが、4人になると処理能力を超えてしまう。
  • 要点
    2
    会話中、脳では主に「前頭葉」が働いている。
  • 要点
    3
    複数コミュニケーションの場では「2番手」を目指そう。話を振ってもらい、それを誰かにパスする役割は一番おいしいポジションだ。
  • 要点
    4
    会話の前は、手を「グーパー」して動かそう。前頭葉が活性化され、言葉がスムーズに出てくるようになる。

要約

4人以上になると話しづらくなる理由

「人が増えると話せない」のは脳のせいだった!

少人数だと話せるのに、人が増えると急に話しづらくなるのはなぜか。

世の中には様々なコミュニケーションに関するノウハウがある。しかし、「コミュニケーションが苦手」であることと、「複数いると話しづらくなる」ことは、まったく別問題だと著者は考える。

複数になると話しづらくなる原因は、「脳の処理能力」にある。そもそも、「会話」というものは、言葉と思考の応酬だ。誰かが話すのを聞いてあいづちを打ち、自分も発言する。それに対して相手もまた反応する。こうした作業はすべて脳がおこなっている。会話中、脳はフル稼働で処理しているのだ。

当然、会話の人数が増えると、脳のやるべきことも増える。1対1ならなんとかなっても、複数になると言葉が出てこなくなったり、相手の話にうまく反応できなかったりするのは、脳がパンクしているからだ。

「3」と「4」の間にある壁
v-graphix/gettyimages

脳が「なんかいっぱいある!」と感じて、処理が追いつかなくなる境界。それは、「3」と「4」の間にあると著者は考える。たとえば、「トップ3」という言い方はあるが、「トップ4」はない。また、オリンピックのメダル数、三大欲求、日本三大○○なども、すべて「3」である。

著者はこれまで数多くのグループインタビューを行ってきたが、「3人だと話が盛り上がるのに、4人以上になった途端、沈黙が広がる」という場面に何度も遭遇してきた。

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要約公開日 2025.07.25
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