ハーバード流交渉術
必ず「望む結果」を引き出せる!

未 読
ハーバード流交渉術
ジャンル
著者
ロジャー・フィッシャー ウィリアム・ユーリー 岩瀬大輔(訳)
出版社
三笠書房
定価
1,404円
出版日
2011年12月10日
評点(5点満点)
総合
4.3
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.5
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レビュー

「交渉」というと、紛争解決や賃金交渉などの利害が対立する場面で、一方の利益が他方の損失になる「ゼロサム」な交渉事を想起するかもしれない。だが、本書が提示する交渉とは「いかにして複数の利害関係者が寄り沿い 、全体としてベストな結論を導き出すか」という合意形成のための説得術なのである。交渉はディベートの場でも裁判でもないのだ。

本書では、ハーバード大学交渉学研究所で開発された「原則立脚型交渉」の内容と、ありがちな具体的ケースにおける効果的な使い方、相手が汚い手練手管を使ってきたときの対処法を、分かりやすく解説している。

交渉スキルは、生活のあらゆる場面で役立つにもかかわらず、体系的かつ実践的な方法を身につける機会がほとんどない。本書は、原理原則にもとづいて優れた結果を生み出すための、交渉における心構えと方法を習得するうってつけの一冊だ。弁護士や人質解放の交渉人などの「交渉のプロ」が実践してきた方法だけに、その効果はお墨付きである。さらには、具体例を通じて、人間の行動の背景にある心理や本性を知ることができ、洞察力を磨けるのも、本書の大きな魅力である。「望ましい結果をうまく手に入れ、相手の満足も生み出し、良好な関係性を保ちたい。」そんな願いをもつ全ての人にとって、この本は拠り所になってくれるはずだ。

松尾 美里

著者

著者
ロジャー・フィッシャー
ハーバード大学名誉教授。交渉学プログラム研究所所長。パリにて国家間プロジェクトに参画後、司法省に勤務。そののち、ワシントンで弁護士事務所を開く。「交渉学の世界的権威」。

ウィリアム・ユーリー
ハーバード大学交渉学プログラムの共同設立者、シニアフェロー。今までに世界を代表する実業界のリーダーなどに、交渉テクニックの指導・アドバイスを行なってきた。

訳者
岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険代表取締役副社長。1976年生まれ。東京大学在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパンを経て、
ハーバード経営大学院に留学し、上位5%の成績を収めて経営学修士(MBA)を取得。2009年より現職。著書に『ネットで生保を売ろう!』『入社1年目の教科書』などベストセラー多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    優れた合意を導くには、互いの正当な利益を追求しつつ、対立部分については客観的な基準にもとづいて落としどころを探る「原則立脚型交渉」を提案する。
  • 要点
    2
    「原則立脚型交渉」とは、①人と問題を切り離す、②条件や立場でなく利益に注目する、③お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える、④客観的基準にもとづく解決にこだわる、という4つの原則から構成される、誰もが実践できる手法である。
  • 要点
    3
    交渉の際の「人の心の問題」を解消するには、①認識のズレの解消、②感情の問題への対処、③コミュニケーションの改善という3つの対処策がある。

要約

優れた合意を導くために

駆け引き型交渉の限界
Astakhova/iStock/Thinkstock

ビジネス、政治、家庭環境、訴訟。あらゆる場面で生じる人々の利害のギャップを埋めるのが「交渉」である。私たちがよく使う「駆け引き型交渉」では、不満足な結果を引き起こし、二者間の関係悪化を招くケースも多い。駆け引き型は「ソフト型戦略」と「ハード型戦略」とに分けられる。前者は譲歩をいとわず友好的に合意を目指すが、相手につけ込まれ不本意な結果に終わることも多い。一方、後者は極端な条件を提示して粘ったほうが勝ちだという考えのため、相手を頑なにさせがちだ。

駆け引き型交渉では、お互いが自分の条件を主張し、引っ込めてまた提示することをくり返すため、友好的かつ効率的にベストな合意を形成することからほど遠くなってしまう。双方が自分の条件に固執すればするほど態度を変えにくくなり、自分や相手の本来の利益に目が行きにくくなるからだ。

戦わずして勝つ ~原則立脚型交渉とは~

優れた合意を導くために、本書では「原則立脚型交渉」という手法を提案する。条件をめぐって争うかわりに、交渉の「実体」に注目し、互いの正当な利益を追求しつつ、対立部分については客観的な基準にもとづいて落としどころを探る。このやり方は、相手の交渉経験やタイプを問わず誰もが実践できるオールラウンド型戦略である。「原則立脚型交渉」は次の4つの原則からなる。

(1)人と問題を切り離す

(2)条件や立場でなく利益に注目する

(3)お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える

(4)客観的基準にもとづく解決にこだわる

この4つの原則をどう実践すればいいかを、次項以降で説明していきたい。

【必読ポイント!】原則立脚型交渉を支える4つの原則

人と問題を切り離す
Kronick/iStock/Thinkstock

相手が感情や欠点をもった生身の人間であることに配慮しないと、交渉は往々にして失敗してしまう。話し合うべき問題と、相手との関係は、意識的に切り離して問題を解決していく必要がある。こうした「人の心の問題」は、具体的には、①認識のズレの解消、②感情の問題への対処、③コミュニケーションの改善という方法で対処することができる。

① 認識のズレを解消する

「立場の違いは考え方の違い」にほかならず、対立の本質は、交渉者の認識の違いにある。

相手の認識を知るには、相手の気持ちになってメリットを考え、相手のこだわりに心から共感することが第一だ。相手が正しいかどうかの判断は、相手の見方と完全に一体化できるようになるまでは控えること。

双方の認識の違いを明らかにした後は、結論の検討段階で相手にしっかり参加してもらい、相手の意見を積極的に組み込むようにする。そうすることで、相手がそれを実現したいという気持ちをより強める効果が期待できる。

② 感情の問題に対処する

交渉では、感情が重要なポイントになることもある。相手の様子がおかしいときは、相手の、自分のことを自分で決めてコントロールしたいという「自立性」や、存在を認められたいという「価値理解」などの基本的な感情を無視している恐れがある。

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ハーバード流交渉術
未 読
ハーバード流交渉術
ジャンル
スキルアップ・キャリア
著者
ロジャー・フィッシャー ウィリアム・ユーリー 岩瀬大輔(訳)
出版社
三笠書房
定価
1,404円
出版日
2011年12月10日
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