なぜあの人は会話がつづくのか

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なぜあの人は会話がつづくのか
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なぜあの人は会話がつづくのか
出版社
出版日
2010年06月08日
評点
総合
2.8
明瞭性
2.5
革新性
2.5
応用性
3.0
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おすすめポイント

「雑談力を鍛える」というのが最近のブームとなっているが、本書も「なぜあの人は会話がつづくのか」というコミュニケーションの領域の書籍である。「どんどん会話がつながる63のポイント」を解説している。著者によると、本書は①会話が途切れてしまう人、②苦手な人と話せない人、③会話を盛り上げてチャンスをつかみたい人、の3人のために書いたという。

この書籍には読者のコミュニケーションスタイルと合う、合わないがあるかもしれない。次の二点は気になる人がいるかもしれない。一点目は、章のテーマと、章の中に書かれている小テーマの関係性が明確でないこと。二点目は、主張に対して特に論拠が曖昧であることだ(定量的な根拠をではないにせよ)。著者は「私は論を語らない。物語を話す。話は整理しすぎると面白くなくなってしまう」、というスタンスが基本である。論理的なコミュニケーションを志向する人にはあまりお勧めできない。

一方で、何気ない雑談を長く続けることこそ生活の中の彩りであるという考え方の方には、本書の考え方は実践的なものであり、柔らかいコミュニケーションの参考になろう。

本要約では63のポイントのうち著者のスタンスを色濃く表しているであろう12のポイントを抽出している。共感するポイントが多い方は、本書に掲載されている他のポイントにも共感できることだろう。

著者

1959年大阪府堺市生まれ。
早稲田大学第一文学部演劇学科在学中に、『目覚まし時計の夢』(『早稲田文学』)を発表し、23歳で作家デビュー。
大学在学中は映画史を専攻し、1ヶ月に100本の映画を観るという目標を掲げ、
4年間で約4000本の映画を観る。
その後、広告代理店の博報堂に入社し、CMプランナーとして数々のTV・ラジオCMの企画演出、ナレーションを担当。
91年に(株)中谷彰宏事務所を設立。
ビジネス、マナー、小説、恋愛エッセイなど多ジャンルにわたり書籍を執筆。
発売書籍の累計は750冊を超え、多くのロングセラー・ベストセラーを出している。

本書の要点

  • 要点
    1
    力まず会話を続けるためには相手の会話の反復を行うのが良い。
  • 要点
    2
    たくさん話せば話すほど、印象に残らなくなる。状況説明は他の人に任せて、気の利いた一言で盛り上げよう。
  • 要点
    3
    楽しく会話のキャッチボールをするためには、演説ではなく物語を話す。聞き手も話を膨らませる努力が必要だ。
  • 要点
    4
    話を、整理しすぎては面白くなくなってしまう。ひと言で終わる話をどれだけキャッチボールをするかが、会話の楽しみである。
  • 要点
    5
    相手を尊敬する気持ちを持てば、おのずと敬語を話したくなる。

要約

力んでとぎれる人、力まずに続く人

反復は、ハッピーにもアンハッピーにもなる

タクシーで「東京駅までお願いします」と言うと、「東京駅?」とびっくりしたように言う運転手さんが時々いる。びっくりした返事をされた方がびっくりしてしまう。確かに復唱はしているが、びっくりして返事をされたのでは居心地が良くない。この復唱が、車内にギスギスした敵対関係をつくりだすのだ。

それに対して、デートで恋人と一緒にケーキを食べている時に「おいしいね」、「うん、おいしいね」と反復するのは、好意の反復だ。「昨日京都に行ったんだ」、「おお、京都に行ったんだ」と同じことを言うだけで、会話のやりとりが成り立つのだ。コミュニケーションではこういう返しが大切だ。この反復を覚えると、話は続くようになる。反復することで、興味を持っていることが相手に伝わる。特にポジティブワードの反復は大切だ。

しかし、「寒いね」というネガティブワードも「うん、寒いね」と反復されることで、相手から暖かい言葉になって返ってくる。ここに優しさや温かさが出るのだ。

iStock/Thinkstock
「早くして」ではなく、「急いでもらって、ありがとう」

会話をとぎれないようにするためには、遠慮しないで言いたいことを言うことだ。遠慮してしまうのは、会話の拒否だ。「これを言ったら嫌われるかもしれないな」と思って言わないのは、拒絶と同じことだ。「言う」ことを前提にして、「じゃあ、どう言おうか」というスタンスを取るのだ。

早くしてほしいときに、「早くしてよ」というのは、ダイレクトすぎる。そういうときは、「いつもありがとうね。忙しいのに急がしてごめんね」と先に言う。これが「ありがとう」の使い方だ。指示する時は、必ず「ありがとう」をまぜた言い方をする。よく、「トイレをきれいに使ってください」と書いてある。もっときついと、「トイレを汚さないでください」だ。英語では「サンキュー・フォー」という表現がある。「いつもトイレをきれいに使っていただいてありがとうございます」というのが、「サンキュー・フォー」の使い方だ。

しんとさせる人、盛り上げる人

iStock/Thinkstock
たくさん話せば話すほど、印象に残らなくなる

話している量と記憶に残る量は、反比例する。人は、ついたくさん話そうと頑張ってしまいがちだが、長話をすればするほど、「あの人は何を言ってたんだっけ?」と、印象に残らなくなる。社長やCEOが、偉く見えないことがあるが、それはしゃべりすぎが原因だ。スッと出てきて、30秒ほど何かボソボソとしゃべって、笑いをとってスッと帰れば、威厳を感じる。ところが、社長がマイクを持って司会をしてしまうと、威厳はまったくなくなってしまう。話す量の少ない人のほうが「聞いた感」があるのだ。会話の中でも、自分が言いたいことを際立たせるために、低い声で言う部分があっていい。

状況説明は、ほかの人に任せる

ドラマでは、主役のセリフは短い。「古畑任三郎」では、犯人がこうやって死んで、どうなってという状況説明は、必ず今泉君がやってくれる。長ゼリフの状況説明は、先頭切って司会役をやって、バーっとしゃべる人に振っておいてもらう。そのあとに一言二言ポンポンと入れるほうが、結果としては印象に残るのだ。最初にしゃべる方が損だ。

会議でも、得意先でプレゼンする時も同じだ。

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要約公開日 2013.10.31
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