ビジネス効率性5年連続1位のデンマークは、人口は約600万人でありながら、グローバルに活躍するユニークな企業をいくつも排出している。ビジネス効率性が高いと聞くと、テキパキと仕事だけをしている様子をイメージするかもしれないが、実際のデンマークの職場はのんびりしている。短い勤務時間の中に「軽い雑談」を取り入れ、週に1回の朝食会の開催からチームメンバーの誕生日祝いまでする。
そんなデンマーク人への取材を通して見えてきたのは、仕事とは関係なさそうな「軽い雑談」がイノベーションを起こすきっかけとなり、仕事の成果につながっているということだ。たとえば、長時間にわたる会議で解決しなかった問題の解決策が、たわいもない会話の中でパッと思い浮かんだことはないだろうか。矛盾するようだが、「真面目に」ばかり向き合っては、本当に良い仕事はできない。むしろ気楽にかまえて誰かと雑談すると、意外な突破口が見えてくることがある。
国際競争力トップクラスで、世界有数のアイデア大国であるデンマークを支えるのは、成果を最大化させる「コミュニケーション」だ。もしあなたが本当に向かうべき「仕事」そのものにうまく向かえていないとしたら、デンマーク流のコミュニケーションが役に立つかもしれない。コミュニケーションが円滑にできれば、仕事でもプライベートでも、もっとラクにやりたいことができるようになる。
コペンハーゲンの運河沿いの建物内にある「ブロックスハブ」という機関は、サステナビリティ事業に関わる企業や個人のみが会員になれるというユニークなコワーキングスペースを運営している。そこではカジュアルに立ち話やおしゃべりができる環境が整っており、「カジュアルな場のチカラ」を活かして、国内外の多様なステイクホルダーをつなげる役割を果たしている。
同機関で働くヤコブは、カジュアルな場での「数分間の雑談」が侮れない成果を生み出すと指摘する。実際、ヤコブ自身もその日は5分会議を2回行っていたが、それによって一緒に仕事ができる可能性が見え、全体像もつかめたという。カジュアルなスペースでする軽い会話から自然と協力関係が生まれ、その後の成果につながるという実感があるそうだ。
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