言葉の解像度を上げる
「わかる」から「動ける」まで
言葉の解像度を上げる
言葉の解像度を上げる
出版社
プレジデント社

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出版日
2025年02月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「これ、うまくまとめておいて」「当事者意識を持ってもらわないと」「臨機応変によろしく」

こうしたフレーズはビジネスシーンでよく聞かれる。しかし、このような指示を出されたときに、その場ではなんとなくわかったつもりでも、いざ手を動かそうとすると何をしていいのかわからず、途方にくれてしまったことはないだろうか。

本書はそんな「曖昧フレーズ」の解像度を上げる方法を指南する。「解像度を上げる」というフレーズも昨今よく聞かれるようになったものだが、本書では言葉の意味が「わかる」だけでなく、そこから一歩踏み込んで、「じゃあ何をすればいいか?」と考えて「動ける」ところまでを目指す。

著者はトヨタ自動車株式会社に長年勤務した経歴を持ち、そこで実践されていた、資料を「紙1枚」にまとめる技術をベースに、解像度を上げるための技法として『「1枚」フレームワーク』を提唱する。その方法はシンプルで、再現性が高い。また、本書は実際によく聞く「曖昧フレーズ」を例にとり、それについて考えながら「1枚」フレームワークのやり方を解説する、という構成になっている。本書を読むことで、「1枚」フレームワークが習得できるだけでなく、12の「曖昧フレーズ」の解像度も上がり、一挙両得である。

本書は上司と部下、どちらの立場の人にとっても有益なものとなっている。上司にとっては、部下がすぐに動けるように指示するために、部下にとっては、上司の曖昧な指示を理解するために、必要なスキルである。令和を生きるビジネスパーソン必携の一冊だ。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

浅田すぐる(あさだ すぐる)
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。作家、社会人学習・キャリア支援家。愛知県名古屋市出身。トヨタ自動車株式会社入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を習得・実践。米国勤務、ウェブ業務で日本一獲得などを経験したのち、日本最大のビジネススクールである株式会社グロービスに転職。2012年の独立以降は、社会人向け教育事業を拡大・継続。独自プログラムとして、イチラボ(動画学習コミュニティ)や、「1枚」アカデミア(ビジネススキル修得・キャリア開発スクール)を主宰し、法人研修・講演登壇も多数。累計受講者数は15,000人を超える。2015年に『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版)を上梓し、作家活動をスタート。海外5カ国翻訳、年間ランキング4位(2015年)、月間では日本一(同年7月)の実績を残す。これまでに10冊以上を上梓し、著者累計57万部超。本書の刊行タイミングである2025年は作家デビュー10周年の節目にあたる。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスシーンではさまざまな「曖昧フレーズ」が飛び交う。これを実際に「動ける」状態になるまで解像度を上げることで、仕事の停滞を最小化し、コスパ・タイパを最大化して働けるようになる。そのためには、『「1枚」フレームワーク』が有効だ。
  • 要点
    2
    『「1枚」フレームワーク』の基本は次の3つのステップである。(1)緑ペンで4×4の枠組みを書き、テーマを決める。(2)青ペンでキーワードを書き出す。(3)赤ペンで矢印などを使って視覚的にまとめる。

要約

「わかる」を「できる」に変える

「解像度を上げる」とは?

上司からの指示が理解できず、思考停止状態に陥ってしまう。コミュニケーションをとると部下がよくフリーズしてしまう。

上司の立場、部下の立場、双方で発生するこうした状況は、「曖昧な言葉」によってもたらされる。「うまくまとめる」「臨機応変に対応する」など、ビジネスの現場の指示では、具体的にどうしていいかわからないようなフレーズが飛び交っている。本書はこうした「わからない言葉」について、実際に「動ける」「行動できる」状態になるまで解像度を上げていく。それにより、仕事の停滞を最小化し、コスパ・タイパを最大化して働けるようになることを目指す。

言葉を適当に扱うと、思考も適当になっていく。思考(=インプット)が雑になることで、行動(=アウトプット)も雑になるのだ。雑な仕事をしないために、1つ1つの言葉を丁寧に扱い、高い解像度で捉えられるようになることが重要だ。

ワークを通して、自分自身が言葉の意味や意図を理解し行動できるようになることや、部下をはじめとした相手を導き人を動かせるようになることが目標だ。

【必読ポイント!】 「1枚」フレームワークの基本

曖昧フレーズ「当事者意識を持つ」
プレジデント社提供

言葉の解像度を上げるために、本書では『「1枚」フレームワーク』という技法を利用する。必要なのは、紙1枚だ。ここからは、よく使われる曖昧フレーズを例にとって考えながら、言葉の解像度を上げるステップを解説していく。

最初のフレーズは「当事者意識を持つ」だ。

まずは、ノートやメモ帳、コピー用紙など、なんでもいいので紙を1枚用意する。A5ないしB5くらいのサイズが使いやすい。これに、4×4のマス目ができるように緑色のペンで線を引いていく。カラーペンを使用したほうが見やすいのでおすすめだが、なければ黒でもかまわない。

4×4のフレームが完成したら、左上の枠(第1フレーム)に日付とテーマを記入する。ここでのテーマは「当事者意識とは何か?」だ。

次に、「当事者意識」という言葉を人に説明するとしたらどんな言葉に置き換えられそうかを考え、青ペンで空白のフレームに記入していく。第1フレームの1つ下のフレームから始め、上から下へと埋める。これは、言葉の解像度を上げるための材料をできるだけたくさん頭の中から出していく作業だ。とにかく言葉が浮かんだら埋めていき、連想される言葉も記入していく。このワークには唯一の正解は存在しない。「質より量」を重視して書き出していこう。

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要約公開日 2025.05.20
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