上司からの指示が理解できず、思考停止状態に陥ってしまう。コミュニケーションをとると部下がよくフリーズしてしまう。
上司の立場、部下の立場、双方で発生するこうした状況は、「曖昧な言葉」によってもたらされる。「うまくまとめる」「臨機応変に対応する」など、ビジネスの現場の指示では、具体的にどうしていいかわからないようなフレーズが飛び交っている。本書はこうした「わからない言葉」について、実際に「動ける」「行動できる」状態になるまで解像度を上げていく。それにより、仕事の停滞を最小化し、コスパ・タイパを最大化して働けるようになることを目指す。
言葉を適当に扱うと、思考も適当になっていく。思考(=インプット)が雑になることで、行動(=アウトプット)も雑になるのだ。雑な仕事をしないために、1つ1つの言葉を丁寧に扱い、高い解像度で捉えられるようになることが重要だ。
ワークを通して、自分自身が言葉の意味や意図を理解し行動できるようになることや、部下をはじめとした相手を導き人を動かせるようになることが目標だ。
言葉の解像度を上げるために、本書では『「1枚」フレームワーク』という技法を利用する。必要なのは、紙1枚だ。ここからは、よく使われる曖昧フレーズを例にとって考えながら、言葉の解像度を上げるステップを解説していく。
最初のフレーズは「当事者意識を持つ」だ。
まずは、ノートやメモ帳、コピー用紙など、なんでもいいので紙を1枚用意する。A5ないしB5くらいのサイズが使いやすい。これに、4×4のマス目ができるように緑色のペンで線を引いていく。カラーペンを使用したほうが見やすいのでおすすめだが、なければ黒でもかまわない。
4×4のフレームが完成したら、左上の枠(第1フレーム)に日付とテーマを記入する。ここでのテーマは「当事者意識とは何か?」だ。
次に、「当事者意識」という言葉を人に説明するとしたらどんな言葉に置き換えられそうかを考え、青ペンで空白のフレームに記入していく。第1フレームの1つ下のフレームから始め、上から下へと埋める。これは、言葉の解像度を上げるための材料をできるだけたくさん頭の中から出していく作業だ。とにかく言葉が浮かんだら埋めていき、連想される言葉も記入していく。このワークには唯一の正解は存在しない。「質より量」を重視して書き出していこう。
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