なぜあの商品、サービスは売れたのか?
なぜあの商品、サービスは売れたのか?
トップマーケッターたちの思考
なぜあの商品、サービスは売れたのか?
出版社
実業之日本社

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出版日
2025年01月23日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ECで「売れる仕組み」があるとしたら、知りたくないだろうか? 本書は、トップマーケター16名への徹底インタビューを通じて、ECマーケティング成功の法則を紐解いた一冊である。著者の木下勝寿氏自身も上場企業の経営者であり、トップマーケターの知見と経験を持ち合わせた人物だ。本書のベースは、著者のYouTube上でのマーケターたちとの対談であるが、単なる成功事例の紹介にとどまらず、再現性のあるマーケティング戦略の本質に迫ることを重視した。

要約では、大ヒットした夜間美容ブランド「YOLU」、職人の技術と消費者を直接つなぐ「ファクトリエ」、共感マーケティングで成長した「食べチョク」を取り上げる。ほかにも、インフルエンサーマーケティングの活用法や、経営改革による業績V字回復の事例など、ECマーケティングに関わる幅広いテーマを網羅している。

特徴的なのは、「売れる仕組み」の重要性を強調している点だ。顧客が「なぜこの商品を買いたくなるのか?」という視点から戦略を設計することが、長期的な成功につながることが伝わってくる。

また、D2C業界の未来予測、AIの活用、マーケターの育成方法など、未来のマーケティング戦略を考えるうえでも示唆に富む。

マーケティングや商品開発に携わる方、EC市場に参入しようとする方にぜひ一読していただきたい一冊である。トップマーケターたちの思考をインストールできるはずだ。

ライター画像
松尾美里

著者

木下勝寿(きのした かつひさ)
株式会社北の達人コーポレーション(東証プライム上場)代表取締役社長
神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。2002年、eコマース企業「株式会社北の達人コーポレーション」設立。独自のWEBマーケティングと管理会計による経営手法で東証プライム上場を成し遂げ、一代で時価総額1000億円企業に。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」を4度受賞。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位。日本国より紺綬褒章8回受章。著書にベストセラーとなっている『売上最小化、利益最大化の法則』『時間最短化、成果最大化の法則』『チームX』『「悩まない人」の考え方』(以上ダイヤモンド社)、『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』(実業之日本社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    夜間美容ブランド「YOLU」は「トレンド×自社の強み×明確なコンセプト」によって市場で差別化し、コロナ禍のニーズと合致して急成長した。
  • 要点
    2
    「ファクトリエ」は工場直結のアパレルブランドとして日本のものづくりを支えている。プロセスエコノミーを活用し、品質と透明性を重視する戦略で成功した。
  • 要点
    3
    特殊ECプラットフォームの成功事例が「食べチョク」である。生産者と消費者を直接つなぐ仕組みを確立し、共感マーケティングとメディア戦略で急成長を遂げた。

要約

マーケット分析からヒットした商品・サービス

「夜間美容」のコンセプトが大ヒットした理由
AlexandrBognat/gettyimages

まずは、マーケット分析に基づいてD2C事業を展開したマーケターたちを紹介する。要約では、「トレンド×自社の強み×明確なコンセプト」で大ヒットした「YOLU」をとりあげる。株式会社I-ne(アイエヌイー)はヘアケアを中心としたボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST (ボタニスト)」、夜間美容ブランド「YOLU(ヨル)」などを擁する企業だ。

シャンプーブランドYOLUが成功した背景には、時代のトレンドと独自のコンセプトがあった。2021年のコロナ禍では、「おうち美容」が流行し、消費者は自宅でのスキンケアやヘアケアに関心を寄せていた。髪が寝ている間にダメージを受けることは科学的にも証明されており、そこで「夜間美容」という新たなコンセプトが生まれた。もともとナイトキャップなどは市場に存在していたが、シャンプーに応用した例はなく、この独自性が市場での差別化につながっていく。

さらには、BOTANISTという先行ブランドで成功を収めた実績が、バイヤーからの信頼を得る要因となった。こうして、YOLUはコロナ禍のニーズとマッチして急成長を遂げた。

YOLUは社内コンテストから生まれたブランドである。調査段階では「高濃度ビタミンシャンプー」が1位だったが、市場に類似商品が多く、独自性を打ち出しにくいという理由で「夜間美容」のアイデアのほうが選ばれた。I-ne執行役員CSOである伊藤翔哉氏は、定量調査でよい結果が出るものは普段接しているものになりがちだと考えている。最終決定でカギとなるのは「広告表現でどう言えるか」だ。

伊藤氏が重視するのは、これまでにないものを出していくという指針と、「D2Cの勝ち方のセオリー」に乗れることのバランスである。

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要約公開日 2025.05.08
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