まずは、マーケット分析に基づいてD2C事業を展開したマーケターたちを紹介する。要約では、「トレンド×自社の強み×明確なコンセプト」で大ヒットした「YOLU」をとりあげる。株式会社I-ne(アイエヌイー)はヘアケアを中心としたボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST (ボタニスト)」、夜間美容ブランド「YOLU(ヨル)」などを擁する企業だ。
シャンプーブランドYOLUが成功した背景には、時代のトレンドと独自のコンセプトがあった。2021年のコロナ禍では、「おうち美容」が流行し、消費者は自宅でのスキンケアやヘアケアに関心を寄せていた。髪が寝ている間にダメージを受けることは科学的にも証明されており、そこで「夜間美容」という新たなコンセプトが生まれた。もともとナイトキャップなどは市場に存在していたが、シャンプーに応用した例はなく、この独自性が市場での差別化につながっていく。
さらには、BOTANISTという先行ブランドで成功を収めた実績が、バイヤーからの信頼を得る要因となった。こうして、YOLUはコロナ禍のニーズとマッチして急成長を遂げた。
YOLUは社内コンテストから生まれたブランドである。調査段階では「高濃度ビタミンシャンプー」が1位だったが、市場に類似商品が多く、独自性を打ち出しにくいという理由で「夜間美容」のアイデアのほうが選ばれた。I-ne執行役員CSOである伊藤翔哉氏は、定量調査でよい結果が出るものは普段接しているものになりがちだと考えている。最終決定でカギとなるのは「広告表現でどう言えるか」だ。
伊藤氏が重視するのは、これまでにないものを出していくという指針と、「D2Cの勝ち方のセオリー」に乗れることのバランスである。
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