何かをきっかけに、「怒り」が湧き上がることがある。「自分は怒っている」と思うかもしれないが、実はそうではない。なぜなら、「怒り」は感情の反応であり、怒り自体があなたの本質ではないからだ。
つまり、「私が怒っている」のではなく、「私のなかで、怒りという反応が起きている」と捉えることができる。この意識の転換ができると、怒りに振りまわされないようになるだろう。
もし「怒ってしまった」としても、必要以上に自分を責めてはいけない。「いま、自分のなかで怒りの反応が起きている」と、認識することが重要だ。
「怒り」はあなたそのものではなく、一部でさえない。ただの吹き抜ける風のようなものだと捉えると、驚くほど心が軽くなるだろう。
職場で何度も理不尽な扱いをされたり、家族にわかってもらえない状態が続いたり。そんなときに「ひどいことをされた」と感じるできごとがあると、それが引き金となって怒りが爆発することがある。
実はその怒りの背景には、長年蓄積されてきた傷や、抑圧してきた感情が隠れていることが多い。
怒りを感じたら、感情を相手にぶつける前に「本当の原因は何か?」と、一瞬でも自分の内側を見つめることが大切だ。すぐに解決できることではないかもしれないが、「距離を置いて、見つめる」こと。そうすると、いまの自分を解放することができるだろう。
怒ることは「みっともない」「大人げない」ことで、感情を表に出すことは恥ずかしいとされる風潮がある。とくに日本では「怒りを表に出すべきではない」と刷り込まれており、私たちの行動や感情の表現を大きく制限している。
例えば、駅員さんに怒鳴り散らす人や、電車内で不機嫌に当たり散らす人を見かけたら、「イヤなやつだ」「あんな風にはなりたくない」と思うのではないだろうか。その感覚は無意識のうちに刷り込まれ、自分自身が怒りを感じたときも、「感情を表に出してはいけない」とブレーキをかけてしまうのだ。
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