孤独に生きよの表紙

孤独に生きよ

逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論


本書の要点

  • 仕事、学業、人間関係など、「いまを生きる人の多くは、『奴隷』になってしまっているのではないか」。

  • 奴隷の状態に気づいたとき、なんとか克服したいと願うのであれば、やるべきことはひとつである。「いまいる場所から逃げること」だ。

  • 奴隷の状況から脱したら、「あなたにとって価値ある『なにか』」を模索する必要がある。

  • 読書を勧めるのは、「仕事や世間の奴隷にならず、くだらない流行から逃れ、そして孤独に耐えるため」である。

1 / 3

【必読ポイント!】 奴隷状態から抜け出す

奴隷とは何か

Ivanna Oliinyk/gettyimages

机の前で時を過ごすことの多い生活をしていると、世の中から少し距離を置いているからこそ浮き彫りとなって見えてくる側面がある。仕事、学業、人間関係など、「いまを生きる人の多くは、『奴隷』になってしまっているのではないかということ」である。多少の困難はあっても、そこから抜け出し、みずらかの人生を取り戻せる可能性はある。そのためには、「自分の頭で考える」という「シンプルにして味わい深い営み」がポイントになるはずだ。ここでいうところの「奴隷」は、時間のほとんどを仕事に拘束されたり、体力の限界までハードな仕事を課せられたりといった物理的な原因で、自分を見失っている人だけを指すわけではない。定刻に退勤できる人であっても、反論が許されないなどの環境要因により思考停止に陥り、主体的に考えることが億劫になっているようなら、やはり「奴隷」といえる。すなわち、「有形無形の外圧によって思考停止に立たされた人」が「奴隷」なのだ。これは、友だち関係でも、恋愛、家庭などでも同様である。「少し意見したほうがみんなのためなんじゃないか」という疑問を抱いても、実際に口にして伝えるケースは少ない。それでもそこそこやっていけるから、黙したままにしてしまう。このような状態も思考停止であり、奴隷ということになる。それで自分を損ねているのだとしたら、それは幸せとは呼べないのではなかろうか。「自分の人生を自分の足で踏みしめようとしたこと」、そこに人生の手ごたえがあるのではなかろうか。奴隷のような状況に陥っていないか自覚的になり、それを制御する意思を持つ。そこに、「奴隷と非奴隷の分かれ目」がある。嫌な響きがつきまとう言葉ではあるが、「奴隷になってしまうかどうかは、つまるところ自己責任」と言うしかない。自身の命と生き方に関わるものなのだから、「相応の手間と覚悟」をかけるべきなのである。

逃げるということ

人間は環境への適応能力が高いので、不満を感じていても、「なんとか今日もやり過ごせた」などと現状肯定に走りやすく、すぐに思考停止しがちだ。その奴隷の状態に気づいたとき、それがどうにもならないことであっても、なんとか克服したいと願うのであれば、やるべきことはひとつである。「いまいる場所から逃げること」だ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3219/4183文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.07.19
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

知れば知るほどおもしろい お米のはなし
知れば知るほどおもしろい お米のはなし
柏木智帆
ほんとうの会議
ほんとうの会議
帚木蓬生
リサーチ・クエスチョンとは何か?
リサーチ・クエスチョンとは何か?
佐藤郁哉
詭弁と論破
詭弁と論破
戸谷洋志
ちょっと死について考えてみたら怖くなかった
ちょっと死について考えてみたら怖くなかった
村田ますみ
リトリート休養術
リトリート休養術
豊島大輝
となりの陰謀論
となりの陰謀論
烏谷昌幸
人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学
人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学
今井むつみ

同じカテゴリーの要約

ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
樺沢紫苑
社会は、静かにあなたを「呪う」
社会は、静かにあなたを「呪う」
鈴木祐
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
ピョートル・フェリクス・グジバチ
不機嫌を飼いならそう
不機嫌を飼いならそう
藤野智哉
時間・自己・幻想
時間・自己・幻想
マルクス・ガブリエル大野和基(インタビュー・編)月谷真紀(訳)
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
宮下友彰
無料