コクヨ株式会社の会社員である著者は、20代の頃はがむしゃらに仕事に打ち込む中で、多くのミスやトラブルを経験した。30代に入ってからは、マネジメントという新たな課題に直面し、日々模索と挑戦を繰り返してきた。そんな試練の中で、心と体を何度も救ってくれた存在、それが「サウナ」である。
サウナには計り知れない可能性が秘められている。単なる入浴法というだけでなく、「『振り返り』『浄化』『創造』『調和』といった多様な価値を感じさせる体験の場」だ。心身のリフレッシュはもちろんのこと、人とのつながりや文化的な体験、そして自分自身との対話を促す、まさに多面的な魅力を備えた特別な空間といえる。
「サウナ好きにはポジティブな人が多い」と、サウナ仲間の間でよく話題になるという。その理由は、「普段から自分を内省する機会が多く、自分自身がごきげんだから」ではなかろうか。自分が満たされていると、自然と心に余裕が生まれ、過去や目の前の不安にとらわれることなく、未来に目を向けることができる。そうすると、他人に対しても余裕を持って向き合えるのだ。
「ととのった」というキラーワードは、サウナ漫画の名著である『サ道』にも登場する。サウナ室、水風呂、そして休憩という温冷浴を繰り返した後に訪れる、独特の浮遊感や多幸感を表現した言葉だ。しかし、この「ととのう」感覚を意識しすぎるのは本末転倒である。サウナで最も大切なのは、そのときの自分の感覚に素直に向き合い、心地よさに身を委ねることだ。
サウナインスタメディアである「サウコレ!」のアンケートによれば、サウナ初心者が最も不安に感じていたのは「サウナの入り方」であったという。これをふまえ、著者は次のような入り方を推奨している。
まずはサウナ室だ。入室時間の目安は5分から12分程度。初心者は5分から8分、慣れてきたら10分から12分を目指すとよい。サウナの前後には水分補給を忘れずに。
次に水風呂だ。「サウナ後の爽快感を最大限に引き出す重要なステップ」となる。入る際は、シャワーで手足を事前に冷やし、膝下までの部分浴から始めて、ゆっくりと身体を沈めることで、心臓への負担を軽減できる。水風呂が苦手な人も少なくないが、「3秒の勇気を水風呂に」という合言葉を胸に、自分のペースで挑戦してみてほしい。
最後の休憩は、「『ととのう』感覚を得るために欠かせないステップ」である。目安は5分から10分。身体が冷えすぎないよう注意しながら、椅子やベンチにゆったりと腰を下ろし、目を閉じて深い呼吸をしよう。
日々の生活に追われる中で、自分をねぎらう時間を持てていない人は多い。そんな忙しい毎日を送る人にこそ紹介したいのが、「ねぎらいサウナ」である。
3,400冊以上の要約が楽しめる