シン・サウナ
シン・サウナ
人生は自分の“好き”でデザインできる
NEW
シン・サウナ
出版社
出版日
2025年03月26日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

日々の仕事、生活の中で、自分が何をすべきかわからず、漠然とした不安を抱えている人は少なくないだろう。そんなとき、著者が提案するのは、「まず自分をととのえること」である。そして、その方法こそが、「サウナ」だ。

本書の著者、川田直樹氏は、コクヨ株式会社の会社員であり、サウナ歴35年の大のサウナ好きである。サウナの可能性に魅せられて、社内に「サウナ部」を立ち上げ、さらには約220社、4000人あまりが加盟する異業種サウナコミュニティの共同代表を務める。

要約者は当初、本書を「サウナの入り方や効能、おすすめ施設を紹介するガイドブック」の類だと想像した。しかし、ページをめくるごとに、その印象はいい意味で裏切られる。もちろんガイドブックとしても使えるが、著者のサウナライフを通じた自叙伝であり、「コクヨの会社員」という本業と「サウナ」という趣味を掛け合わせた生き方、「ワークライフブレンド」の入門書であり、サウナを切り口としたビジネス書でもあるという、多様な面を見せる。

特に印象的なのは、著者が運営してきたサウナコミュニティの活動事例や、サウナ施設のプロデュースにまつわるエピソードである。そこには、コミュニティを育てるための工夫や、「好き」を仕事に変えていくためのヒントが散りばめられている。サウナ好きはもちろんのこと、社内の人間関係や自分の生き方に漠然とした不安や不満を抱えている人にこそ読んでほしい、「新感覚・サウナビジネス本」だ。

ライター画像
Akamune Gyozo

著者

川田直樹(カワちゃん)
1984年奈良県生まれ。大阪育ち。コクヨサウナ部部長。フィンランドサウナアンバサダー(フィンランド政府観光局公認)。一級建築士。東京のコクヨ株式会社で働き、働く空間の価値向上に携わる会社員。29歳で課長に就任し、その後部長や社長室長を歴任。サウナ愛をビジネスとかけ合わせ、コクヨ社内でサウナ部を立ち上げたのを機に、他社のサウナ部も巻き込んだ「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE」を共同設立。
ビジネスとサウナの可能性を探求し、国内外を飛び回り施設構築や情報発信を行い、多数のメディアに出演。新たなカルチャーを「つくる」と「ひろげる」領域でサウナプロデューサーとしても活動している。
プライベートではチャーハンとお笑いとネコが好きで、泳ぎや早起き、コーヒーが少し苦手。
Instagram @sauna.bucho

本書の要点

  • 要点
    1
    サウナは単なる入浴法にとどまらず、心身の健康や交流、文化的体験、自身との対話を促進する、多面的な魅力を持つ特別な空間だ。
  • 要点
    2
    参加するコミュニティが多いほど視野が広がり、人生はポジティブになる。心理的な距離が縮まりやすいサウナを、コミュニティの1つに入れてみよう。
  • 要点
    3
    企業の成長には、部署の垣根を超えた活動や新たな価値観の発見が不可欠だ。役職や業務の枠を超えて社員が交流できる、「サウナ部」のような「社内のゆるいコミュニティ」が重要となる。
  • 要点
    4
    「企業の強み×サウナ」で新たな事業やライフスタイルが生み出されている。

要約

自分の心をととのえる

サウナの可能性は無限大

コクヨ株式会社の会社員である著者は、20代の頃はがむしゃらに仕事に打ち込む中で、多くのミスやトラブルを経験した。30代に入ってからは、マネジメントという新たな課題に直面し、日々模索と挑戦を繰り返してきた。そんな試練の中で、心と体を何度も救ってくれた存在、それが「サウナ」である。

サウナには計り知れない可能性が秘められている。単なる入浴法というだけでなく、「『振り返り』『浄化』『創造』『調和』といった多様な価値を感じさせる体験の場」だ。心身のリフレッシュはもちろんのこと、人とのつながりや文化的な体験、そして自分自身との対話を促す、まさに多面的な魅力を備えた特別な空間といえる。

「サウナ好きにはポジティブな人が多い」と、サウナ仲間の間でよく話題になるという。その理由は、「普段から自分を内省する機会が多く、自分自身がごきげんだから」ではなかろうか。自分が満たされていると、自然と心に余裕が生まれ、過去や目の前の不安にとらわれることなく、未来に目を向けることができる。そうすると、他人に対しても余裕を持って向き合えるのだ。

入り方の心得
kyonntra/gettyimages

「ととのった」というキラーワードは、サウナ漫画の名著である『サ道』にも登場する。サウナ室、水風呂、そして休憩という温冷浴を繰り返した後に訪れる、独特の浮遊感や多幸感を表現した言葉だ。しかし、この「ととのう」感覚を意識しすぎるのは本末転倒である。サウナで最も大切なのは、そのときの自分の感覚に素直に向き合い、心地よさに身を委ねることだ。

サウナインスタメディアである「サウコレ!」のアンケートによれば、サウナ初心者が最も不安に感じていたのは「サウナの入り方」であったという。これをふまえ、著者は次のような入り方を推奨している。

まずはサウナ室だ。入室時間の目安は5分から12分程度。初心者は5分から8分、慣れてきたら10分から12分を目指すとよい。サウナの前後には水分補給を忘れずに。

次に水風呂だ。「サウナ後の爽快感を最大限に引き出す重要なステップ」となる。入る際は、シャワーで手足を事前に冷やし、膝下までの部分浴から始めて、ゆっくりと身体を沈めることで、心臓への負担を軽減できる。水風呂が苦手な人も少なくないが、「3秒の勇気を水風呂に」という合言葉を胸に、自分のペースで挑戦してみてほしい。

最後の休憩は、「『ととのう』感覚を得るために欠かせないステップ」である。目安は5分から10分。身体が冷えすぎないよう注意しながら、椅子やベンチにゆったりと腰を下ろし、目を閉じて深い呼吸をしよう。

「ねぎらいサウナ」のススメ

日々の生活に追われる中で、自分をねぎらう時間を持てていない人は多い。そんな忙しい毎日を送る人にこそ紹介したいのが、「ねぎらいサウナ」である。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3663/4823文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.07.17
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
気くばりのススメ
気くばりのススメ
中山秀征
幸運は、必ず朝に訪れる。
幸運は、必ず朝に訪れる。
枡野俊明
不安をしずめる心理学
不安をしずめる心理学
加藤諦三
詭弁と論破
詭弁と論破
戸谷洋志
戦略的ほったらかし教育
戦略的ほったらかし教育
岩田かおり
なぜヒトだけが幸せになれないのか
なぜヒトだけが幸せになれないのか
小林武彦
日本経済の死角
日本経済の死角
河野龍太郎
売れる組織 売れる営業
売れる組織 売れる営業
田中大貴