リトリート休養術
しつこい疲れがみるみるとれる!
リトリート休養術
NEW
リトリート休養術
出版社
出版日
2024年12月19日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

情報社会のいま、私たちは「常時接続」の世界に生きている。休日でも仕事のことが頭から離れず、つい社用メールを開いてしまう。SNSの反応が気になって、数分おきにスマホをチェックする――そんな人も多いのではないだろうか。

こうした生活を続けていると、疲れは蓄積する一方だ。どれだけ体を休めても、脳は動き続けている。だからこそ「休んだはずなのに、疲れがとれない」という感覚が生まれるのだ。それは、ある意味当然のことなのかもしれない。

そんな現代人に向けて、本書がすすめる休み方が「リトリート」である。リトリートとは直訳すると「転地療法」。欧米では、「日常を離れて自然の中で心身をリセットする旅」として定着している。自然の中で疲れた心と体を癒し、ありのままの自分と向き合い、活力を取り戻す――それがリトリートである。

本書の著者は、「リトリートの達人」の異名を取る豊島大輝氏だ。千葉県の温泉地でリトリート施設を運営し、さまざまなプランの提供やコンサルティングを行っている。

リトリートと聞くと、難しく考えてしまうかもしれないが、それには及ばない。最近は「リトリートプラン」を提供する宿泊施設も増えているし、遠方に行かずとも、リトリート効果を実感できる方法もたくさんある。場所や形式にこだわらず、リトリートの真の目的さえ理解していれば、どこでも実践可能なのがリトリートの醍醐味でもある。

まずは要約を読んで、その一端に触れてみよう。きっとすぐに試してみたくなるはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

豊島大輝(とよしま たいき)
ネイチャーセラピスト。ホリスティックサポート代表。1975年大阪府生まれ。千葉県の「亀山温泉リトリート」など、リトリート施設のプロデュース・運営を行なう。
アウトドアを趣味とする一家に生まれ、幼少の頃より自然に親しむ。父が転勤により休みがなくなり、脳梗塞を発症したことにより家庭環境が一変。体調を崩した父やその介護疲れで後に精神を病んだ母を看る毎日になる。人は自然から離れると病気になると子供心に感じ、同じような境遇の人の支えになりたいとウェルネス業界のキャリアを志す。
健康運動指導士やセラピー関連の資格を複数取得、転地による癒しを目的としたタラソテラピーセンター「テルムマラン・パシフィーク」の運動療法セラピストとなる。その後、自然学校の立ち上げ、県立公園所長を経て、亀山温泉ホテルに入社。奥房総の案内人となり、新ブランドとして「亀山温泉リトリート」をオープン。個人、家族でのリトリート、企業のビジネスリトリートなど、多様なリトリートの現場に立ち会い、日々多くのゲストと関わっている。業界では「リトリートの達人」と呼ばれており、公立中学校での出前授業、各種学校での講師のほか、リトリート施設の開業や体験型の企業研修についての相談も多く寄せられている。今回が初めての著書となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者は「リトリート」を、「人がヒトに戻る旅」と定義する。社会的な鎧を脱いで、自然の中でまっさらな自分を見つけるための旅である。
  • 要点
    2
    リトリート初心者は、ホテルや施設が提供するリトリートパッケージを利用するとスムーズだ。
  • 要点
    3
    リトリートの真の目的は「新しい自分」「ありのままの自分」に出会うことである。自然の中で過ごすことが基本だが、必ずしも宿泊を伴う必要はない。日帰りで自然を満喫したり、日常の中でプチ・リトリートを取り入れることでも、十分な効果が得られる。

要約

【必読ポイント!】本当の自分を取り戻す旅

「リトリート」とは何か?

「リトリート(retreat)」とは、日本語で「転地療法」「転地療養」と訳されている言葉だ。「日常を離れて自然の中でのびのびと過ごす」ことだとも言える。

著者はこのリトリートを「人がヒトに戻る旅」と定義している。社会の一部である「人」が、自然や生態系の一部である「ヒト」に還る――。言い換えれば、社会的な鎧を脱いで、自然の中でまっさらな自分を見つけるための旅である。

リトリートには絶大な休養効果がある。リトリート施設を運営している著者は、お客様の変化を間近で感じているという。到着時は緊張した様子であっても、自然の中を散歩したり焚火をぼんやり眺めたりしているうちに、たたずまいや表情が柔らかくなってくる。たった数時間で、大きな変化が見られるのだ。

また近年は、欧米を中心に「リトリート=日常を離れて自然の中でリセットする旅」という認識が広まっている。大自然でのキャンプや、温泉施設・リゾートホテルへの滞在のほか、都会の隠れ家サロンなど、さまざまに進化を遂げている。

リトリート文化は、日本にも古くから存在している。『風土記』のような古来の書には、湯治などの記録が残っているはずだ。そういった意味では、リトリートは古くて新しい習慣だと言えるだろう。

「アクティブレスト」のすすめ
miniseries/gettyimages

十分に寝ても疲れがとれない、休日にゴロゴロしてもスッキリしない――。そんな経験はないだろうか。

デスクワークやケアワークが増えている現代は、従来に比べて脳や心を酷使することが多くなっている。そのため、ただ横になって体の疲れをとっても、真の意味では休養になっていない。

そこで注目されているのが「アクティブレスト(積極的休養)」である。これは、軽度な運動をすることで疲労回復を促す休養法であるが、その概念をもっと広げてリトリートに取り入れることを、著者は提案している。週末をダラダラと過ごすのではなく、リトリートとしてリフレッシュできる活動を取り入れることで、メリハリをつけるのだ。

リトリートではよく、「自分と向き合う」「ありのままの自分を見つめる」という表現が使われる。アクティブレストを上手に取り入れられれば、楽しみながら自分自身を見つめられるようになるはずだ。

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要約公開日 2025.07.23
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