気にしないコツ
感情に振りまわされない——禅の教え42
気にしないコツ
NEW
気にしないコツ
出版社
総合法令出版

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出版日
2025年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

生きていると、ストレスを感じる出来事は避けられない。心が乱れると、それが言動にも表れてしまうことがあるはずだ。すると、自分にとっては一時的な感情から出た言動のつもりであっても、それが人間関係を悪化させたり、日々のパフォーマンスを下げたりすることがある。最初に心を乱したことで、自らストレスの種を撒き散らすことになりかねないというわけだ。

本書『気にしないコツ』は、ストレスがストレスを呼ぶ連鎖を断ち切るために、「気にしない」方法を解説する。著者は曹洞宗徳雄山建功寺住職であり、庭園デザイナーでもある枡野俊明住職だ。本書の言葉を借りれば、「心を整えて、今この瞬間を大切にする生き方」そのものだ。禅の教えに則って行動することが、禅の実践であり、禅の生き方である。

本書が紹介するのは、特別な修行をしなくても、日常で取り入れることができる禅の考え方だ。禅語とともに紹介される42の「気にしないコツ」は、誰でもすぐに試せそうなちょっとした工夫でありながら、効果を感じられそうなものばかりだ。実践を重んじる禅の教えらしく、すぐに行動に移せそうなのがうれしい。

禅語を通じて自分の考え方を見直すきっかけがつかめたら、日々のストレスに対しても以前とは違った対応ができるかもしれない。心を整える習慣を身につけたい人におすすめしたい実践的な一冊だ。

ライター画像
池田友美

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
1953年、神奈川県横浜市生まれ。禅僧、庭園デザイナー、教育者、文筆家。曹洞宗徳雄山建功寺住職。多摩美術大学名誉教授。
大学卒業後、大本山總持寺にて修行。以降、禅の教えと日本の伝統文化を融合させた「禅の庭」の創作を続け、国内外で数多くの作品を手がけている。
芸術選奨文部大臣賞(1998年度)を庭園デザイナーとして初受賞。カナダ総督褒章(2005年)、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章(2006年)なども受賞している。2006年、『ニューズウィーク(日本版)』にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。2024年には最新作品集『禅の庭Ⅳ 枡野俊明作品集2018~2023』(毎日新聞出版)を刊行。
禅の精神と現代人の悩みをつなぐ語り口に、世代を問わず共感の声が寄せられている。教育の現場では、長年にわたり多摩美術大学で後進の指導にあたり、2023年、名誉教授の称号を受ける。
著書には、『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)、『怒らない 禅の作法』(河出書房新社)、『寂しさや不安を癒す 人生のくすり箱』(KADOKAWA)など多数のベストセラーがあり、現代人の不安や悩みに寄り添う禅の言葉は、世代を超えて多くの支持を集めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    禅とは、「心を整えて、今この瞬間を大切にする生き方」だ。日常にこの考えを取り入れることによって、怒りや焦り、不安といった感情に振り回されず、平常心に立ち戻る術を学ぶことができる。
  • 要点
    2
    煩悩から離れるうえで有効なのは、坐禅だ。家でも実践しやすい「椅子坐禅」からはじめるのがおすすめだ。
  • 要点
    3
    「前後裁断(ぜんごさいだん)」は、過去と未来を断ち切り、今に集中することを意味する禅語である。未来への不安や過去の後悔にとらわれずに、目の前に意識を向け、一つひとつの時間を誠実に生きよう。

要約

しなやかに生きる禅語

なぜ、禅語は自己を知るカギなのか

禅の目的は、心を静かにし、自分の気持ちや思いをよく理解することだ。雑念を取り除き、目の前のことに集中する。簡単にいえば、「心を整えて、今この瞬間を大切にする生き方」が禅だ。

禅僧というと、いつも穏やかで、感情に流されたり、周りの喧騒に動じたりしない人を想像するのではないだろうか。そうした佇まいの禅僧であっても、人間である以上、常に感情を抱いている。違うところがあるとすれば、すぐさま「平常心」に立ち戻ることができるところだ。怒りの感情が湧いても、その状態にとどまるのではなく、穏やかな心に戻るしなやかさは、禅の実践で培われる。禅による物事の見方、考え方、受け止め方をして、禅の教えに則って行動するのが、禅の実践であり、禅僧の生き方だ。

そのような生き方は、誰でも日常に取り入れることが可能なものだ。心が乱れた時にどう受け止め、行動すべきかという知恵が、禅の教えには詰まっている。ちょっとした考えを取り入れるだけで、驚くほど心が軽くなるはずだ。

ストレスフリーを手に入れるための整え方

自分の感情をコントロールする「反応しないコツ」
pixdeluxe/gettyimages

現代はストレス社会だ。誰もが少なからずストレスをかかえ、イライラやモヤモヤを募らせている。

ストレスを抱えた人同士が関わっていれば、感情がぶつかり合い、思わず腹を立ててしまうこともあるだろう。相手の言動にカチンときたら、怒りの感情が込み上げてくるのは自然なことだ。問題なのは、その後の対応だ。

禅では、怒りを「頭に上げる」と表現する。怒りに頭が支配されると、理性が働かなくなり、事態は悪化するばかりだ。

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要約公開日 2025.08.14
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