人間関係に「線を引く」レッスン
人間関係に「線を引く」レッスン
人生がラクになる「バウンダリー」の考え方
NEW
人間関係に「線を引く」レッスン
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2025年05月24日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「頼まれたらイヤとは言えない」「つい相手の都合や希望に合わせてしまう」……本書は、そんな人にぜひ読んでほしい一冊だ。

特に仕事では、自分にとって負担が大きいタスクを頼まれても、無理して引き受けてしまう人は多いだろう。もちろん、自分が望んで引き受けるのであれば問題はない。ところが、自分の仕事で手一杯で時間がないにもかかわらず、心身を消耗させてまで引き受けてしまうのはどうだろうか。

そんな人に「人間関係に線を引く」ことをすすめるのが、本書の著者・藤野智哉氏である。

藤野氏はSNSの総フォロワー数が13万人(2025年4月時点)を超える精神科医で、精神科の知識をわかりやすく解説することで定評があり、多数の著書を持つ。

「人間関係に線を引く」と聞くと、「冷たい」「自己中心的ではないか」と感じる人もいるかもしれない。しかし、相手との間に適度な距離を保つことは、自分だけでなく相手を尊重する行為でもあり、結果として良好な人間関係の維持に寄与すると著者は断言する。

断るのが苦手な人や「自分さえ我慢すれば丸く収まる」と思ってしまいがちな人に、本書をぜひ手に取ってほしい。きっと自分にとって心地いい人間関係のあり方が見えてくるだろう。

ライター画像
中山寒稀

著者

藤野智哉(ふじの ともや)
精神科医。産業医。公認心理師。
1991年生まれ。秋田大学医学部卒。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、メディアへの出演も多数。SNS総フォロワー数13万人(2025年4月時点)。 精神科勤務と医療刑務所の医師を務めるかたわら、著述業にも精力的に取り組む。シリーズ累計7万部突破の『「誰かのため」に生きすぎない』『「そのままの自分」を生きてみる』(ともにディスカヴァー)のほか、『精神科医が教える 子どもの折れない心の育て方』(世界文化社)『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)など著書多数。最新刊に、話題の小説『「あなたの居場所」はここにある』(徳間書店)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間関係に線を引くことは、自分を守り、尊重することであると同時に、相手を尊重することにもなる。お互いが引いた線を尊重することで、適度な距離感のある人間関係を築けるようになり、人生はよりラクになる。
  • 要点
    2
    人間関係において「誰に」「どこまで」OKとするかの基準は、人それぞれ異なる。「どこに線を引くか」を判断するためには、自分自身をよく理解しておく必要がある。
  • 要点
    3
    あなたにあなたの領域があるように、相手にもまた相手の領域が存在する。「よかれ」と思って動いたことが、結果的に相手の領域を越えてしまう可能性もある。

要約

【必読ポイント!】 人間関係に「線を引く」とは?

「バウンダリー」という考え方
MicrovOne/gettyimages

断るのがなんとなく苦手。仕事も家庭も多忙で、常に時間が足りない。つい意見の強い相手に押しきられてしまう。愚痴につきあったり、相談を受けたりすることが多い。「あなたのためを思って」という言葉にモヤモヤする……そんなあなたに足りないのは、人間関係に「線を引く」意識かもしれない。

この「線」とは、心理学用語の「バウンダリー」に由来する。バウンダリーとは、「自分と他者の間にある境界線」のこと。より具体的にいえば、「どこまで相手と関わるか」「どこから自分を守るか」を自ら決めるための心理的な境界線を指す。

人にはそれぞれ「自分の領域」があり、その領域は本来、尊重されるべきものだ。

しかしながら、気づかぬうちにその領域へ、他者がずかずかと踏み込んでくることがある。これが「バウンダリーを越えられる」という状態だ。

そのようなとき、自分を守るために「それ以上はやめてください」と伝えることは、決してわがままではない。

たとえば「時間」のバウンダリーを考えてみよう。忙しい時期に新たな仕事を頼まれたとき、どのように対応するだろうか。

バウンダリーを適切に引けている人は、現状では引き受けられないこと、しかし1週間後であれば対応可能であることを率直に伝えられる。「できること」と「できないこと」の線引きを明確にし、相手との調整を図るのだ。

一方で、バウンダリーが曖昧な人は断りきれずに引き受けてしまい、結果的に自分の時間が失われていく。

人間関係において線を引くことは、自分を守り、大切にする行為である。同時に、相手の線を尊重することにもつながる。

自分の境界を明確にし、相手の境界にも敬意を払うことで、互いにとって心地よい距離感が生まれる。結果として、人間関係はより健やかで、人生そのものもずっとラクになっていくはずだ。

境界線は自分で決める

線を引くとは、「誰に」「どこまで」OKとし、どこからNGとするかを自分で決める行為である。

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要約公開日 2025.08.17
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