やばい心理学
[新版]世界最先端の研究が教える
やばい心理学
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やばい心理学
出版社
総合法令出版

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出版日
2025年04月18日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

人の心ほど、不可思議で予想がつかないものはない。でも、もし相手の心の内がわかったら、どうだろうか?

本書は、『世界最先端の研究が教える もっとすごい心理学』(総合法令出版)を「新版」としてリニューアルしたものだ。世界中から集めた最先端の心理学について、裏付けとなる実験結果とともに81例を紹介している。20万部を越える人気のシリーズで、著者は心理学者の内藤誼人氏である。「とびっきり面白い心理学のネタだけを集めた本を書きたい」という著者の思いから生まれた一冊だ。

著者の思惑通り、本書で取り上げている心理学は、身近な出来事や日常的な思い込みの正体など、かなり興味深い内容になっている。相手の心の動きどころか、自分が無意識にしている考え方まで、まるで心の内を見透かされているように感じるのではないだろうか。面白いネタとはいうものの、ビジネスや人間関係、自分の心をコントロールする方法など、実生活にも役立つ心理学ネタが多い。

たとえば、金額交渉するときは、キリがいい金額よりも端数がある金額を提示することをすすめている。そうすることで「手ごわい相手」と認識され、譲歩を引き出しやすくなる。こうした知識は、ぜひビジネスに取り入れたいテクニックだろう。

まずは、本書を手に取り、紹介される研究の面白さを楽しんでみてはどうだろうか。知っておいて損はない、むしろ知っておかないと怖くなる。そんな心理学ネタが満載だ。

ライター画像
中山寒稀

著者

内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に、『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』『世界最先端の研究が教える新事実 対人心理学BEST100』(以上、総合法令出版)など多数。その数は200冊を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    ポジティブな出来事のほうがネガティブな出来事よりも、3倍から5倍多く起こっている。しかし、ネガティブな出来事のほうが気分との結びつきが5倍も強いため、心に残りやすい。
  • 要点
    2
    金額の交渉をするときは、細かい金額で提案したほうがいい。その金額に根拠がなかったとしても、相手は、「計算しつくして出してきた金額だ」と思い込み、厳しい要望をしにくくなる。
  • 要点
    3
    仕事で成功したいときは、ハッピーな気持ちで働くことが大切である。自分の満足度が高ければ、あとから収入や立場などの客観的な成功がついてくるものだ。

要約

人は思い込みに振り回されている

能力がない人ほど、自分の能力を勘違いする

能力がない人は、能力が足りないばかりでなく、自分に能力が足りてないことに気が付けない。そのため、努力による自己成長ができないという問題を抱えている。

コーネル大学のデビッド・ダニングは、学生を対象に大学の試験における自分の成績を予想させた。そして、試験の成績上位25%と下位25%の学生に分けて、結果と予測の比較を行った。すると、成績上位者25%は、ほぼ正確に自分の成績を予測できていたのに対して、成績下位者25%は本人の予想よりもかなり低い点数という結果になった。

多くの人は、自分の能力を過大に見積もる傾向がある。できない人ほど、その傾向がさらに強く出るのだ。

できる人は、自分の能力を謙虚に評価し、努力する。職人であれば、優れた職人ほど自分は未熟だと評価し、力を高めるために努力をするものだ。しかし、できない人ほど「自分ができる」と勘違いしており、努力をする必要性を感じていない。

本来であれば、できない人のほうが努力をしなければいけないはずだ。しかし、現実には充分に能力を持っている人のほうが努力をするという逆転現象が起こってしまう。

ネガティブな出来事が多いのは思い込み
akinbostanci/gettyimages

ネガティブな出来事は、ポジティブな出来事よりもより心に大きな影響を与える。

もし、職場で上司からホメられるという出来事と、お客さんから怒鳴られるという出来事が同じ日に起こったとしよう。その日は、どんな気持ちになるだろうか。この場合、人の心に大きな影響を与えるのは、ネガティブな出来事である。ポジティブなことがあっても、ネガティブなことがあれば、気分は落ち込んでしまうものなのだ。

ミネソタ大学のアンドリュー・マイナーは、ある照明製造会社の従業員に1日4回ランダムに連絡を取り、その時点で嬉しいことや不愉快なことがあったか否かと、その時々の気分について記録を取ってもらうようにした。

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要約公開日 2025.08.12
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