能力がない人は、能力が足りないばかりでなく、自分に能力が足りてないことに気が付けない。そのため、努力による自己成長ができないという問題を抱えている。
コーネル大学のデビッド・ダニングは、学生を対象に大学の試験における自分の成績を予想させた。そして、試験の成績上位25%と下位25%の学生に分けて、結果と予測の比較を行った。すると、成績上位者25%は、ほぼ正確に自分の成績を予測できていたのに対して、成績下位者25%は本人の予想よりもかなり低い点数という結果になった。
多くの人は、自分の能力を過大に見積もる傾向がある。できない人ほど、その傾向がさらに強く出るのだ。
できる人は、自分の能力を謙虚に評価し、努力する。職人であれば、優れた職人ほど自分は未熟だと評価し、力を高めるために努力をするものだ。しかし、できない人ほど「自分ができる」と勘違いしており、努力をする必要性を感じていない。
本来であれば、できない人のほうが努力をしなければいけないはずだ。しかし、現実には充分に能力を持っている人のほうが努力をするという逆転現象が起こってしまう。
ネガティブな出来事は、ポジティブな出来事よりもより心に大きな影響を与える。
もし、職場で上司からホメられるという出来事と、お客さんから怒鳴られるという出来事が同じ日に起こったとしよう。その日は、どんな気持ちになるだろうか。この場合、人の心に大きな影響を与えるのは、ネガティブな出来事である。ポジティブなことがあっても、ネガティブなことがあれば、気分は落ち込んでしまうものなのだ。
ミネソタ大学のアンドリュー・マイナーは、ある照明製造会社の従業員に1日4回ランダムに連絡を取り、その時点で嬉しいことや不愉快なことがあったか否かと、その時々の気分について記録を取ってもらうようにした。
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