不機嫌を飼いならそう
嫌な気持ちにメンタルをやられない
不機嫌を飼いならそう
NEW
不機嫌を飼いならそう
出版社
主婦の友社

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出版日
2025年07月31日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「なんだか最近イライラしやすい」「小さなことで不機嫌になってしまう」「悲しみを引きずりがち」――そんな自分に嫌気がさした経験はないだろうか。怒りや不機嫌、悲しみは誰にでも訪れる自然な感情であるにもかかわらず、職場や家庭、人間関係の中で悪影響を及ぼし、後悔を呼ぶことも多い。本書は、そうした感情とどう向き合い、どう扱えばいいのかを教えてくれる一冊である。

著者の藤野智哉氏は現役の精神科医であり、公認心理師でもある。秋田大学医学部を卒業後、精神科勤務や医療刑務所での診療に携わるかたわら、執筆にも精力的だ。SNSでも多くの共感を集め、Xには11万人以上のフォロワーを持つ(2025年7月現在)。

本書は、怒り、悲しみ、不機嫌、つらさという4つの感情・状態を多角的に捉え、さらに専門家への頼り方についても解説している。特に注目したいのは怒りの章だ。怒りやイライラは単なる性格ではなく、防衛反応や「べき思考」の押しつけから生まれるものだと説明し、その感情をどうコントロールするかを具体的に示している。

ネガティブな感情は責められるべきものではなく、「生じて当然のもの」というスタンスを貫いたやさしい書きぶりも魅力だ。読めば、自分のネガティブな感情を受け止め、うまく「飼いならす」視点が手に入るだろう。不機嫌に振り回されずに生きたい人、人間関係のストレスを減らしたい人、感情の扱い方を学びたい人に一読を勧めたい。

著者

藤野智哉(ふじの ともや)
1991年生まれ。精神科医、公認心理師。秋田大学医学部卒業。幼少期に川崎病に罹患。心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。精神科勤務と医療刑務所での医師を務めるかたわら、執筆にも精力的に取り組む。専門知識を優しく語り、つらい人に寄り添う内容で、幅広い世代から共感と支持を集めている。『「誰かのため」に生きすぎない』『「そのままの自分」を生きてみる』がシリーズ累計7万部を突破し話題に。ほか、『「あなたの居場所」はここにある 精神科医が本気で書いた心をいやす物語』など、著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    アンガーマネジメントでは、怒りが湧いたら6秒数える、対象から離れる、心を安全地帯に飛ばす、特定の言葉を唱える方法が有効だ。自分なりのルールや習慣を持つことで感情をコントロールしやすくなる。
  • 要点
    2
    悲しみを和らげるには、注意をそらす「ディストラクション」や意味を前向きに捉え直す「認知的再評価」が有効だ。さらに悲しい理由や不安を具体的に書き出すことで整理が進む。
  • 要点
    3
    機嫌よくいることには多くのメリットがあるが、常に誰にでも機嫌よく接する必要はない。どんな相手にどんな自分でいたいか、その基準を持つことが大切だ。

要約

【必読ポイント!】 怒り

怒りは武器にもシグナルにもなる

なぜ人には「怒り」という感情が備わっているのか。著者はその理由のひとつに、自分を守る役割があると考えている。

怒りを示すことで敵を遠ざけ、場合によっては相手に余裕や強さを印象づけられる。近頃話題の「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」のように、怒りによって相手をコントロールできるケースもあるだろう。怒りは武器や交渉の手段として活用できるのだ。

怒りをぶつけられる側もこの仕組みを理解しておく必要がある。「この人は今、こうして私を従わせようとしているのだ」という視点をもてば、「相手の攻撃をわざわざ受け止める必要はない」と冷静に考えられるし、自分も感情を武器として使い返す余地が生まれる。

そもそも怒りをもつこと自体は決して悪ではない。しかし、社会の中で生きる以上、怒りという感情はトラブルを招くことが多い。余計な衝突や損失を避けるためには、怒りをどう使うかに自覚的であるべきだ。

「べき思考」が生むイライラ
b-bee/gettyimages

しんどいときや余裕のないときは、過敏になり、普段よりもイライラしやすくなる。最近やたらイライラするようになったと感じたなら、「自分の調子が悪いのではないか」と考えるきっかけにしてもよいだろう。

さらに、人は年齢を重ねるにつれ、自分の中に「こうするのが常識だろう」「普通はこんなことしないだろう」といった「常識」や「普通」が増えていく。

自分が勝手に作り上げた「こうあるべき」を、心理学では「べき思考」と呼ぶ。この「べき思考」を自分や他人に押しつけた結果、思いどおりにならずイライラや怒りが生まれるケースは少なくない。

上司(または部下)はこうあるべき。メールを受け取ったらすぐに返事をするべき。電車の中では静かにするべき……。こうした「べき思考」の押しつけが通らなかったとき、つまり理想と現実のギャップがイライラや怒りを生むのである。

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要約公開日 2025.08.24
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