不完全主義
不完全主義
限りある人生を上手に過ごす方法
NEW
不完全主義
出版社
かんき出版

出版社ページへ

出版日
2025年07月07日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

「日々をすっきり整理して、人生を思いのままにする」。こうした理想を追い求めても、現実との落差にがっかりしたことはないだろうか。どんなに時間を有効活用しても、「やることリスト」はあふれかえっているし、物事は予定どおりに進まない。

そんななか、私たちの多くが、生き方の正解にたどり着かなくてはという焦りを抱いているように思える。こうした状況に新たな視点を提示するのが本書だ。それは、自らの限界を受け入れ、そこへ飛び込んでいく「不完全主義」という生き方である。それによって、自由や落ち着き、人とのつながりが手に入り、生きている実感が湧いてくるという。

著者は、前著『限りある時間の使い方』が40万部超のベストセラーになった気鋭のジャーナリストである。「人生は4000週間しかない」という真実を読者に投げかけ、「時間を完璧にコントロールできる」という幻想を手放すよう呼びかけた。その続編といえる本書では、「もっと効率的に、完璧に」と追い詰められがちな私たちに、「不完全さを受け入れること」の大切さを諭してくれる。4週間で「心のリトリート(静養)」を体験できる構成の背景には、「本の内容が体に深く染みこみ持続するように」という著者の願いがある。

不完全さを受け入れることは、「今を生きる」ことに他ならない。読後には、自らの有限性を受け入れた先に訪れる変化を、静かに実感できるだろう。限りある人間にとって、人生を変えられるタイミングは「今」だけだ。

ライター画像
松尾美里

著者

オリバー・バークマン(Oliver Burkeman)
英国ガーディアン紙の元記者。外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞を受賞し、連載コラム“This Column Will Change Your Life”で人気を得た。生産性と限りある人生をテーマにしたニュースレター“The Imperfectionist”も好評を博している。著書にベストセラー『限りある時間の使い方』(かんき出版)のほか、『ネガティブ思考こそ最高のスキル』『HELP! 「人生をなんとかしたい」あなたのための現実的な提案』(いずれも河出書房新社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「不完全主義」の生き方によって、自由や落ち着きを得られ、限りある時間と注意力を本当に大事な目的に注げるようになる。
  • 要点
    2
    意思決定は限界を受け入れて生きるための本質的な行為だ。人生を豊かにするには、決定の機会を自ら探しに行くとよい。
  • 要点
    3
    何かを最後までやりとげる習慣があれば、次の活動に取りかかる気力が湧いてくる。時間を小さな完了の連続と捉えると、人生がふっと楽になる。
  • 要点
    4
    悩んだときは、自分のライフタスクを問い直すことが大切になる。

要約

心のリトリート

不完全主義とは?

自らの限界を真正面から受けとめ、そのなかへ飛び込んでいく生き方を、本書では「不完全主義」と呼ぶ。この生き方によって、自由や落ち着き、人とのつながりが手に入り、生きている実感が湧いてくるという。

すべてを完璧にこなそうとする戦いをやめたとき、限りある時間と注意力を本当に大事な目的に注げるようになる。そして、落ちついた心で、今この瞬間を生きられる。

本書の構成としては、4週間で「心のリトリート」を体験できるようになっている。週ごとにテーマがあり、第1週では、まず自分の有限性を受けとめる。第2週では、不完全でも果敢に行動を起こす。第3週では、余分な力を抜いて物事の自然な進みを促す。第4週では、未来のことばかり考えず、今ここにある現実を生きてみる……という流れだ。要約では、第2章からリトリートDAY8~14の内容を紹介する。

【必読ポイント!】 第2週 不完全に行動を起こす

DAY8 意思決定は行動である
Tatiana Atamaniuk/gettyimages

自分の限界を受け入れることは、人生を受け身に生きることではない。有限性に向き合うほうが有意義なことができる。「すべて完璧にやろう」という態度を手放せば、より豊かな活動に時間を注げるのだ。

第2週では「不完全な行動の起こし方」について向き合っていく。まずは、今すぐ決められることを探して、意思決定することだ。意思決定に関する本の多くは、問題が向こうからやってくる前提で書かれている。だが、人生を豊かにするには、決定の機会を待つよりも、自ら探しに行くほうがいい。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2781/3425文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.08.18
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
人間関係に「線を引く」レッスン
人間関係に「線を引く」レッスン
藤野智哉
超新版ティッピング・ポイント
超新版ティッピング・ポイント
土方奈美(訳)マルコム・グラッドウェル
学歴社会は誰のため
学歴社会は誰のため
勅使川原真衣
西洋近代の罪
西洋近代の罪
大澤真幸
人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学
人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学
今井むつみ
自分の言葉で書く
自分の言葉で書く
さわらぎ寛子
気にしないコツ
気にしないコツ
枡野俊明
論破という病
論破という病
倉本圭造