あるもので工夫する松本流ケチ道生活
この道40年
あるもので工夫する松本流ケチ道生活
あるもので工夫する松本流ケチ道生活
ジャンル
出版社
出版日
2023年07月26日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

節約というと、我慢や苦労といったイメージを抱く人も多いだろう。しかし本書を読めば、そのイメージが一変する。著者・松本明子氏の「ケチ活」は、楽しく、ひたむきで、どこか愛らしく、そして驚くほど実用的なのだ。紅茶のティーパックの「第2の人生」を真剣に模索し、街歩きの際には「ケチ活」のヒントがないかと目を光らせ、家じゅうの電気の消し忘れを夜な夜なパトロールする――そんなエピソードの数々に、「そこまでやるか!」と笑いながらも、読者はきっと真似してみたくなるだろう。

松本明子氏は、1983年に芸能界デビューし、元祖バラドルとして一世を風靡した。「DAISUKI!」「電波少年」などでお茶の間に親しまれた一方、プライベートでは徹底した節約生活を実践してきた。

興味深いのは、賢い買い物術や身近なものの再活用法にとどまらず、人間関係や人生観にまで「ケチ道」の哲学が及んでいる点である。特に印象的だったのは、交際費には惜しまずお金を使うこと。著者は「ケチるところ」と「かけるところ」を見極めることで、心豊かな「ケチ活」を実現しているのだ。さらに、ケチ活に励むうちに得たアイデアをもとに事業を始めたというから驚きである。

本書からは、著者が「ケチ活」を心から楽しんでいる様子が伝わってきて、「ちょっとしたアイデアと行動力が生活と人生を変えてくれるのだ」とわくわくさせられる。節約を始めたい人はもちろん、日々の暮らしに楽しさや創意工夫を取り入れたい人に一読を勧める。

著者

松本明子(まつもと あきこ)
1966年生まれ、香川県高松市出身。82年に日本テレビ系「スター誕生!」チャンピオン大会合格を機に歌手デビュー。その後、日本テレビ系バラエティ「DAISUKI!」や「進め!電波少年」などで人気を博し、元祖バラドルとしての地位を確立する。
一人暮らしを始めた20歳の頃から、本格的な節約生活をスタート。「ストッキングをインナーとして再利用」「楽屋のお弁当は必ず持って帰る」などの徹底した節約ぶりがテレビなどのメディアでたびたび取り上げられ「芸能界の節約女王」と呼ばれる。
現在も、日々の暮らしの中で創意工夫を重ねながら節約を楽しむ「ケチ道」にまい進し続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    街を歩くときは、周囲に目を配ろう。「ケチ活」に役立つヒントが思わぬ場所に潜んでいる。
  • 要点
    2
    自分にできることであっても、ストレスを抱えてまでやる必要はない。時にはお金を払ってプロに頼るのも立派な「ケチ活」だ。
  • 要点
    3
    家族と一緒に「ケチ活」をしたいなら、無理に巻き込まず、まずは自分ひとりで始めよう。楽しむ姿を見て、自然とついてきてくれるはずだ。

要約

「ケチ活センサー」を研ぎ澄ます

ティーパックの「第2の人生」

「ケチ活」は、著者にとって日常の一部だ。

たとえば紅茶を淹れたあとのティーパックも、その対象である。著者はあるときから「このまま捨てるのはもったいない。何かに使えないか」と考えるようになり、ティーパックの「第2の人生」を見つけてあげたいという思いが芽生えた。

調べていくうちに、紅茶のティーパックは油汚れの掃除に最適であると知り、さっそく試してみた。油で汚れたフライパンに洗剤たっぷりのスポンジを使う代わりに、軽く水に濡らしたティーパックで汚れた部分をこすってみたところ、みるみる汚れが落ちていく。あとは通常どおり洗剤をつけたスポンジで一緒に洗えば、ピカピカになった。

スポンジの消耗を遅らせることができ、洗剤や水の節約にもつながる。しかも、もとは捨てるだけだったティーパックで! 感動すら覚えた。

今では、飲み終わったティーパックは軽く乾かしてから決まったケースに入れ、台所の見える場所に置いている。透明の容器に入れておくと、ちょっとしたインテリアのように見えるのも面白い。

見た目も実用性も備えたティーパックの「第2の人生」は、まさに頼れる存在である。

街歩きも「ケチ活」のチャンス
mustafaU/gettyimages

街を歩いているとき、みなさんは何をしているだろうか。著者は「ケチ活」に役立つヒントが思わぬところに潜んでいる気がして、周囲に目を配っている。

先日、大阪へ出かけた際、街中に駐輪された自転車が目に入った。前かごにふたがかけられていたのだが、近づいて見てみると、それはなんと傘の布地だった。今まで、自転車での買い物中に突然の雨で食材が濡れてしまった経験が何度かあった著者は、「その手があったか!」と、家に余っていた傘を自転車のかごカバーにリメイクすることにした。

家の中で考えているだけでは思いつかなかった「ケチ活」となり、これからも外の景色に目を向けていこうと思ったのだった。

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要約公開日 2025.08.23
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