採用の新基準
これまでと同じ採用手法で大丈夫なのか?と悩んだときに読む
採用の新基準
著者
NEW
採用の新基準
ジャンル
出版社
出版日
2025年07月08日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

これまでの採用といえば、学歴や肩書、資格など、表面的な指標から入り、次に本人の資質や志向を探って、合否を判断するというものが主流だった。いわばスペック重視採用である。

「これからは、それではいけない」。そう主張するのは、本書の著者・秋山真氏だ。自社の価値観や働き方、チームの雰囲気といった、より現場目線の情報を企業が積極的に開示し、そうした“スタイル”に合う人を採用する流れが不可避になるという。いわば「企業と働く人の“価値観”のマッチング」であり、著者はそれを「スタイルマッチ」と名付けている。

そのスタイルマッチ採用の実現を支援しているのが、著者が代表を務めるNo Companyという会社だ。著者はこれまで100社以上の採用支援と、1000名を超える採用担当者とコミュニケーションを重ねてきた。本書で綴られていることは机上の空論ではなく、豊富な経験に基づいたものである。

著者が「スタイルマッチ」を考えるようになったのには、学生時代に熱中していたストリートダンスも関係している。ストリートダンスの世界では、ダンスのスキル以上にその人らしい表現、いわば「自分のスタイル」が尊重されるのだという。著者は「それと同じ感覚を社会で実現できたなら、もっといきいき働ける人が増えるのではないか」と考えた。

人材不足で売り手市場が続く採用市場は、激しさを極めている。そのさなかで「いい採用」をすべく日々頭を悩ませている人事担当者にとって、本書は貴重な一冊となるはずだ。

ライター画像
荻野進介

著者

秋山真(あきやま しん)
No Company, Inc. 代表取締役社長
博報堂グループにて新規事業として採用コミュニケーション支援を立ち上げ、グループ内最年少のイントレプレナーとして注目を集める。2021年、No Company, Inc.を設立し、代表取締役に就任。
これまでに100社以上の採用支援1,000名を超える人事・採用担当者と対話を重ねてきた。「スペックではなく、価値観でつながる採用(=スタイルマッチ採用)」という考え方を提唱し、SNS上のビッグデータを活用したZ世代の価値観・インサイト分析にも注力。マーケティングと人事領域を横断した支援を展開している。
「人と組織の問題は、社会全体の課題でもある」と捉え、従来の採用サービスでは解決できなかった本質的なテーマに、マーケティングとコミュニケーションの力で取り組む。日経クロストレンドなどでの連載や、各種メディア出演も多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    これからの採用には「スタイルマッチ」が求められる。求職者を「学歴・スキル・印象」といったスペックではなく、自社の働き方のスタイル(=価値観)と合っているかを見ることが重要だ。
  • 要点
    2
    自社のスタイルは、Business(事業のスタイル)、Culture(関係性のスタイル)、Job(仕事のスタイル)、Action(行動のスタイル)の4つの視点で整理できる。
  • 要点
    3
    いい採用を実現するステップは、まず、自社の現在地を正しく把握すること。その分析をもとに自社のスタイルを言語化すること。そして、それを誰に・何を・どこで・どのように伝えるかを決めることである。

要約

これまでの採用手法は通じない

これからの採用に必要なもの
b-bee/gettyimages

応募者数が減っていて、そもそも目標数にも届かない。採用担当が「この人は合いそうだ」と採用しても、内定辞退されてしまう――。採用に関する悩みの原因は、採用活動で“見ているもの”のズレによって生じる。

採用活動とは「人を見る」仕事であり、その見え方は自分が見ている基準や視点によって大きく変わってくる。たとえば、「学歴・スキル・印象」といったスペック中心の視点で見ていると、「優秀そう」「感じがよい」といった見えやすい要素ばかりに目が行きがちだ。だが本当に必要なのは、求職者のスタイルが自社の働き方と“合っているか”という視点である。

ここでいうスタイルとは、「価値観」を指す。その人が「何を大切にしているか」はもちろん、「それをどう実現しようとしているか」までを含んだ、その人の「働き方のベース」である。

一方、企業のスタイルとは何か。それは、その企業が何を大切にして、それをどのような行動や意思決定で実現しているのか――。いわば、「企業のあり方」である。

企業のスタイルと求職者のスタイルがどこまで重なり合うのか。それを見極めていくことが、これからの採用に求められる「スタイルマッチ」という考え方だ。

【必読ポイント!】新時代の採用基準「スタイルマッチ」

大事なのは「価値観」の一致

「スタイルマッチ」とは、「個人と企業の価値観が一致している状態」を指す。大事にしている価値観に基づいて、どのような判断や行動で体現しているかが、お互いに合致している状態だ。

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要約公開日 2025.09.13
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