今、ラジオ全盛期。
今、ラジオ全盛期。
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今、ラジオ全盛期。
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2025年02月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「最近、ラジオが盛り上がっている」と感じている人は多いはずだ。SNSや動画全盛の今、ラジオという昔ながらのメディアがなぜ熱狂の渦中にあるのか――本書は、その背景を現場の視点から鮮やかに描き出す。

著者の冨山雄一氏は、ニッポン放送「オールナイトニッポン」の統括プロデューサーだ。中高生の頃にラジオに魅了された原体験をもち、新卒で就職したNHKから、「どうしても『ラジオ番組』とりわけ『オールナイトニッポン』という番組に関わりたくて」ニッポン放送に転じた。岡野昭仁氏、小栗旬氏、AKB48、山下健二郎氏など名だたるパーソナリティの番組ディレクターを担当し、現在はニッポン放送の番組全体を率いている。

都内で電波が届きにくかったこと、インターネットの普及により若者がラジオを聴かなくなったこと、コロナ禍でスタジオ収録ができなかったこと……本書を読むと、さまざまな難局を乗り越えて「ラジオ全盛期」を迎えた背景には、徹底した思考と工夫、そして行動があったことがわかる。特に、ライト層をコア化したり、ファンの熱量を増幅させたりする発想は、メディア以外の領域にも通じる示唆に富む。

東京ドームで16万人を巻き込んだイベントや、被災地に笑顔を届けた放送など、描かれるエピソードは臨場感と説得力を兼ね備えており、胸に迫るものがある。ラジオや「オールナイトニッポン」のファンはもちろん、コミュニティやブランドづくりに挑む人に強く勧めたい。

著者

冨山雄一(とみやま ゆういち)
ニッポン放送「オールナイトニッポン」統括プロデューサー
1982年1月28日生まれ、東京都墨田区出身。法政大学卒業後、2004年NHKに入局、2007年ニッポン放送へ。オールナイトニッポンではディレクターとして岡野昭仁、小栗旬、AKB48、山下健二郎などでディレクターを担当。イベント部門を経て、2018年4月から7年間「オールナイトニッポン」のプロデューサーを務めていた。現在は、メディアプロデュース副部長として、ラジオの広告企画全般に携わっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    2000年代、インターネットの普及などにより、若者のラジオ離れが進みつつあった。
  • 要点
    2
    2010年代前半、東日本大震災でその真価を発揮したことは、ラジオにとって大きな転機となった。
  • 要点
    3
    2010年代後半、radikoとスマホの組み合わせにより、ラジオは再び若い世代との接点を広げ、復活への歩みを進めた。
  • 要点
    4
    SNSやradikoといった環境変化への迅速な対応と、コロナ禍という逆境の中で本質的価値を磨き上げたことにより、オールナイトニッポンをはじめとするラジオは今、全盛期を迎えている。

要約

ラジオの復活を告げた東京ドームの一日

16万人が共有した熱狂の瞬間

2024年2月18日、超満員の東京ドーム。「オードリーのオールナイトニッポン」放送15周年を記念するスペシャルイベントが、まさに幕を開けようとしていた。

会場に集結した5万3000人に加え、全国47都道府県の映画館200館でのライブビューイングに5万2000人、さらにオンライン配信で5万5000人が視聴。合計すると、実に16万人が同時にこの瞬間を共有したことになる。

わずか数年前まで、ラジオ番組のイベントといえば、100人ほどのリスナーを無料招待する公開収録が主流だった。その“常識”からすれば、アリーナ席1万2000円、最も手頃な「ステージ裏体感席」でも7500円という有料イベントを東京ドームで開催し、しかも16万人を動員するなど、誰も想像できなかっただろう。

かつてのラジオは荒れた土地のようなものだった。この20年、パーソナリティ、リスナー、スポンサー、スタッフが力を合わせて耕し続けた結果、ラジオは奇跡的な復活を果たしたのである。

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要約公開日 2025.09.06
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