就職氷河期世代、とりわけ卒業時期が運悪く不況期(1993~2004年)にあたった大卒者はどのようなキャリアを歩んできたのか。データを振り返って見てみよう。
まずは大学卒業時の就職状況である。文部科学省「学校基本調査」によれば、氷河期世代は確かに卒業時点での無業・フリーターが多く、その数は2000年卒と2003年卒の両方で14万人を超えて最悪だった。ただし、その最悪期においても、新卒での正社員就職は両年とも各30万人に上っている。これは大学卒業生における55%であり、無業・フリーターの割合(26~27%)に対して2倍以上の数となる。
この問題を考えるとき、注意しなければならないのが、大学定員数の変化である。バブル期は氷河期に比べて定員が少なく、したがって卒業生数も少ない。にもかかわらず就職数は氷河期よりも多いため、氷河期世代の就職環境が厳しいことにはうなずける。
だが、より精緻に分析してみると、別の問題が浮かび上がってくる。大学の定員数が比較的近い後期氷河期(1999~2004年卒)とポスト氷河期(2005~2009年卒)を比較してみると、大卒就職者数の差は両時期で約6万人、無業・フリーター数の差も同じく6万人程度だった。つまり、この6万人の差が「氷河期問題」の原点なのである。
大学卒業者が53~54万人当時における「6万人」というと、卒業生数に占める割合はたった11~12%程度だ。それがいつの間にか、「大多数が無業・フリーター」という話になってしまったことが、大きな問題なのである。
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