決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
出版社
明日香出版社

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出版日
2025年07月18日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「売上ノルマをなかなか達成できない」。これは多くの営業が抱える悩みである。一方で、毎月ノルマをクリアし続ける営業がいることも事実だ。同じ会社で、同じ商品を扱っているにもかかわらず、なぜこのような差が生まれるのだろうか。その違いが“習慣”にあるのだとしたら。

著者の菊原智明氏は、トヨタホームで4年連続、営業トップとして活躍した人物だ。しかし、かつては7年もの間、クビ寸前の売れない営業として苦しい日々を過ごしていたという。本書では、そんな菊原氏の経験を生かし、「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣の違いを61項目に分けて解説している。

営業経験のある要約者にとって、本書には「もっと早く知りたかった!」と思う習慣が数多くあった。たとえば、「稼げる営業はプランDまで準備し、ダメ営業はプランBまでしか準備しない」「稼げる営業は次回のアポを『商談前』に取るが、ダメ営業は『商談終了後』に取る」といったものだ。実際に要約者自身も、ダメ営業側の習慣が原因で商談に失敗したことがある。

どのアドバイスも難しいものではなく、すぐに始められるものばかりだ。著者の豊富な経験に裏打ちされた具体例がたくさん紹介されているため、実践しやすいのも魅力である。

売上が伸びずに苦しんでいる営業担当者だけでなく、ノルマ未達の部下を持つ営業マネージャーにも、本書をおすすめしたい。また、営業職ではない人にとっても、自身の習慣を見直し、さらなる成長を目指すきっかけとして役立つだろう。

ライター画像
尾倉直弥

著者

菊原智明(きくはら ともあき)
営業コンサルタント/関東学園大学経済学部講師/一般社団法人営業人材教育協会理事。トヨタホームで7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。「営業レター」による訪問しない営業スタイルを確立後、一転、4年連続トップ営業マンに。
2006年に独立し、現在は主に企業向けの研修・セミナー・講演会などを行いながら、大学生に営業の授業も行っている。
独立後の17年間でビジネス書81冊を出版する「最強のフリーランサー」でもある。主な著書に『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『営業1年目の教科書』(大和書房)、『基本を押さえて、確実に結果を出す 営業スキル100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ではウソをつけ~真面目すぎる人が結果を出し続ける生存戦略~』(光文社)、『決定版 営業心理術大全』(明日香出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    稼げる営業は、商談前の準備を徹底し、最低でもプランDまで用意する。
  • 要点
    2
    稼げる営業は、要望を鵜呑みにせず、何度も質問して本音を引き出し、お客様が自ら答えを導き出せるよう話を進める。
  • 要点
    3
    稼げる営業は、契約後であっても手を抜けば痛い目を見ることを知っている。

要約

商談前の準備編

挨拶での印象付け

稼げる営業は、相手と初めて会った時の印象を重視する。ろくに挨拶できないまま、なんとなくで説明しはじめると、相手は不安を感じ、それ以上の説明を聞く気になれないからだ。

ダメ営業時代の著者は、準備ゼロでアドリブの挨拶をしていた。「こんにちは」だけで、ほかに何も話す内容を思いつかないこともあった。出会いを軽視するこうした態度では取り合ってもらえず、成績は最低だった。

一方で、ある生命保険会社でトップクラスの成績を誇る女性は、次のような挨拶をする。

「はじめまして、武田と申します。主婦ならではの視点で保険を提案させて頂きます」

「私が必要ないと判断した場合には、お客様が入りたいと言っても保険に入らせません」

嫌がられることの多い保険の営業で、この女性は嫌がられることがほとんどないという。いかにして挨拶の瞬間からお客様の心をつかめるかを徹底的に考え、準備しているからだ。「どう印象付けるか」考え抜いたメッセージを準備して、出会いに臨もう。

最低でもプランDまで用意する
kazuma seki/gettyimages

最初の提案がうまくいかなかった時のために、もう1つプランを準備する営業パーソンは、それなりにいるだろう。しかし、2つでは準備量が足りていない。稼げる営業は、バックアッププランも含めて、提案するプランを十分に準備している。なかには6つのプランを準備していた人もいる。

営業所のマネージャーとして部下の育成もしているとある人物は、部下の多くが「プランA」のみで商談に臨んでいることに気づいた。そこで「プランB」まで準備するように指示したが、期待以上の効果は得られなかったため、さらに「プランD」まで用意させた。すると、プランBまでダメでも「あと2つあるしな」と考えられるようになり、心の余裕が生まれたことで、結果を出せるようになったという。

営業に慣れてきた時ほど注意が必要だ。「この程度準備していれば大丈夫だろう」と油断していると、不測の事態に見舞われる。バックアッププランの不足が失敗の最大の要因になるのだ。最低でも4つのプランを用意し、万全な状態で商談にあたろう。

仕事は「先行逃げ切り」

稼げる営業は、「先行逃げ切り」の段取りを組み、前倒しで仕事を行う。

ダメ営業時代の著者は段取りが甘く、月の20日を過ぎてから焦ってアポイントを取り、月末には特別条件を提示して拝み倒していたという。

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要約公開日 2025.10.10
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