すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる
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著者
すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる
出版社
プレジデント社

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出版日
2025年03月31日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

学業などであえて0点を取ろうと思ったことはあるだろうか。サボタージュを除けば、多くの人は0点を避け、100点を目指して勉強するはずだ。しかし、そもそもその点数にどんな意味があるのか、考えてみたことはあるだろうか。

情報化とAIの進化が進む時代において、単に知識を増やし、成果を競い合う――与えられた100点を目指すだけでは、本当の充実や幸福は得られにくい。そんな世界で心豊かに生きるために、本書が提案するのが「0点主義」である。

これは、他者と100点を巡って競争するのではなく、「遊び」としての学びを大切にしながら、ニッチな分野や自分だけの興味を掘り下げることで知の力を育てていく勉強法だ。100点を目指す競争に勝利することが、幸福をもたらすとは限らない。できないことは潔くあきらめ、一見役に立たないと思われるような自分自身の「好き」や「得意」を伸ばしていく。これこそが、遠回りに見えて成功をつかむ近道なのかもしれない。

本書によると、とてつもなく新しいものに遭遇したとき、人は本能的に凍りつくという。これを「ワンダー」と呼ぶ。「驚き」「不思議」などと訳されるが、ワンダーが極まると「ワンダフル(すばらしい)」になる。新たに一歩を踏み出せば、ワンダフルな世界が待っている――。そんなメッセージを体現した本書は、知的好奇心を大いにくすぐってくれるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

荒俣宏 (あらまた ひろし)
1947年東京都生まれ。博物学者、小説家、翻訳家、妖怪研究家、タレント。慶應義塾大学法学部卒業。大学卒業後は日魯漁業に入社し、コンピュータ・プログラマーとして働きながら、団精二のペンネームで英米の怪奇幻想文学の翻訳・評論活動を始める。80年代に入り『月刊小説王』(角川書店、現KADOKAWA)で連載した、持てるオカルトの叡智を結集した初の小説『帝都物語』が350万部を超え、映画化もされる大ベストセラーとなった。『世界大博物図鑑』(平凡社)、『荒俣宏コレクション』(集英社)など博物学、図像学関係の作品を含め、著書、共著、訳書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    0点には「勉強不足の0点」と「答えのない課題に挑む0点」があり、後者は知の力を育てる重要な契機となる。
  • 要点
    2
    勉強は遊びや探究として楽しみ、他人が注目しないニッチを深めることで独自の価値を築ける。
  • 要点
    3
    過剰な期待を手放し、小さな達成を積み重ねることで、自分を勇気づけ、自分らしい生き方を実現できる。

要約

0点主義のすすめ

0点には2種類ある

試験問題は、点数が高いほうがよいと一般に思われている。0点と100点だったら当然100点を目指すべきだとされている。しかし、0点の成績を取り続けることで蓄えられる「知の力」もある。

これは試験で答案がまったく書けなかった結果としての「成績ゼロ点」のことではない。多くの学科テストや筆記試験は、人の知識力を試すものだ。そこで取る0点は、単に本人の勉強不足である。したがって、これは少し本気を出して教科書や参考書を読めば解決する。

だが、そもそも答えがない問題に取り組むときは、自分の力で答えをつくりださなければならない。設問に解答するのではなく、課題を解決しなければならないのである。

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要約公開日 2025.10.18
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