やりきる意思決定
やりきる意思決定
生成AIという「人間を超える知性」を従える究極のビジネススキル
NEW
やりきる意思決定
出版社
かんき出版

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出版日
2025年07月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

そもそも今取り組むべき一番重要な課題がわからない、プロジェクトが途中で迷走してしまう、優先順位がぼやけて手数ばかり増える、会議で決まったことがなぜか実行に移されない――これらは本書の冒頭で、著者自身が繰り返し直面してきたと述べる課題である。おそらく多くの人にも同じ経験があるのではないだろうか。

著者の中出昌哉氏は、テックタッチ株式会社のプロダクト戦略責任者(CPO)および財務責任者(CFO)であり、AI技術を活用した新規事業開発を担う専門組織「AI Central」の事業責任者を務める人物だ。東京大学経済学部を卒業後、MITでMBAを取得し、理論と実務の双方に精通する稀有な存在といえる。

本書の最大の特徴は、事業における意思決定を「課題の全体像把握」「重要課題の選別」「組織のベクトル統一」「小さな実験」の4ステップに分け、それぞれの具体的なノウハウを徹底的に言語化している点である。課題を分解する際の条件、最重要課題の見極め方、施策を実行するべきか否かをジャッジする2つの問いなど、すぐに現場で活用できる知恵が豊富に盛り込まれている。

中出氏は、生成AI時代においては「意思決定し、行動する力」こそが人間の唯一無二の付加価値になると断言する。意思決定やプロジェクト進行に苦手意識を持つ人、新規事業を任された人、自分のアイディアを形にしたい人にとって、本書は強力な味方となるだろう。意思決定力と推進力が向上し、生成AI時代における自分の価値に確信を持てるはずだ。

著者

中出昌哉(なかで まさや)
テックタッチ株式会社 取締役 CFO/CPO AI Central 事業責任者
テックタッチでは、「AI Central」(AI技術を活用した新規事業開発を担う専門組織)の事業責任者としてAI戦略をリード。プロダクト戦略責任者(CPO)および財務責任者(CFO)も担う。また、一般社団法人日本CPO協会の理事も務める。
東京大学経済学部、マサチューセッツ工科大学(MIT)MBA卒。野村證券株式会社にて投資銀行業務に従事し、素材エネルギーセクターのM&A案件を多数手がける。その後、カーライル・グループにて投資業に従事。ヘルスケア企業のバリューアップや、グローバル最大手の検査機器提供会社への投資等を担当。テックタッチには2021年3月、CFOとして入社。

本書の要点

  • 要点
    1
    「やりきる意思決定」は4つのステップに整理できる。すなわち、課題の全体像把握→重要課題の選別→組織のベクトル統一→小さな実験である。
  • 要点
    2
    意思決定の第一歩は、経営課題をすべて洗い出し、真に重要な課題を特定することだ。
  • 要点
    3
    施策の実行をためらう場合は、「本当に準備が不足しているのか」あるいは「単なる不安から先延ばしにしているのか」を見極める必要がある。「課題の全体像把握」「重要課題の選別」「組織のベクトル統一」を実施し、さらに顧客の課題を言語化できているのであれば、迷わず動き出すべきだ。

要約

「やりきる意思決定」の全体像

課題把握から実践までの4ステップ

「やりきる意思決定」は大きく4ステップに分かれる。

(1)課題の全体像把握:無数の課題を可視化し構造化する

(2)重要課題の選別:本質的課題を見極める選択

(3)組織のベクトル統一:全員の力を一つの方向に向ける

(4)小さな実験:仮説から実践へと橋渡しする

本要約では、それぞれのステップについて紹介・解説していく。

【必読ポイント!】 ステップ1:課題の全体像把握

課題設定の精度が成果を左右する
Suchat longthara/gettyimages

社長や役員、上司の思いつきで「こんなことをやりたい!」と言われ、辟易した経験は誰しもあるだろう。さらに、自ら決めた仕事内容であっても、「多くの人が言っているから」といった理由だけで何となく進めてしまった経験も少なくないはずだ。

こうした仕事は、たいてい成果につながらない。それは、「課題の置き方・仮説の置き方」が雑だからである。

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要約公開日 2025.10.16
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