悪魔が教える人生の真理
「架空の相談役」の存在
著者は「架空の相談役」との対話を通じて、第六感が刺激され、アイデアや知識が自然に湧き上がるようになった。周囲から「インスピレーションが豊かな作家」と評されるのも、この対話を通して、アイデアや思考、知識を得ているためだ。
「架空の相談役」との対話のうちの一つが、1933年に行った故・トーマス・A・エジソンとのものである。この対話の間、著者は不思議な身体の感覚を得た。肉体には強い活力が漲り、思考はかつてないほど鋭敏かつ高速になった。一方で、神経がすり減るような疲労や、激しい運動後のような身体反応も伴い、時間感覚も異常に速く感じられた。
「架空の相談役」との対話は、著者と相談役との会話形式で行われるが、質問も回答も論理的に考えたものではない。いずれも極めて自然かつ瞬時に浮かんできたものであり、その速さと質は自身の通常の思考では説明できないものだった。
著者にとって、自身を導いてくれる人が実在か架空かは重要な問題ではない。彼らが著者を、一人ではとうてい到達できなかったような広い思考の領域へと導いてくれたのだから。
人間を支配する「悪魔」との対話

著者は1929年の世界恐慌によって土地と預金を失い、人生の基盤が大きく揺らいだ。混乱の中で心は無力感に覆われ、勇気や情熱を失い、自らの成功哲学さえ信じきれなくなっていた。
長い停滞の末、著者はこの状況を、自分の成功哲学が現実に通用するかを試す機会だと捉え直した。さらに、成功には「マスターマインド」、すなわち同じ目的を持つ他者との協力関係が不可欠であるにもかかわらず、自分はそれを築いていなかったことに気づく。
ここから、自分を縛っている力の正体を見極めるため、悪魔との対話に踏み込んでいく。
対話の中で悪魔は自らを肉体を持たない負のエネルギーであるとし、人間界の98%を支配していると語る。悪魔は人間の心の中に住み、恐怖や否定的思考を通じて支配を広げる。一方で、神はポジティブな力を担う対抗勢力として存在する。
悪魔が人間を支配する最大の手段は恐怖である。特に貧困と死への恐怖が強力であり、さらに批判、病気、愛の喪失、老いへの恐怖が思考力を弱める。恐怖に支配された心は、自分で考える力を失い、容易に操られるようになる。
また悪魔は、貧困や不健康が思考力を奪うため、自分にとって有利に働くと語る。宗教や社会制度の中にも、無自覚のまま支配を助ける存在が多くいる。とくに恐怖や罪を強調する教えは、人の心をネガティブな状態に保ち、支配を強める。
さらに悪魔は、酒、タバコ、ギャンブル、噂話などの習慣を利用して意志力を弱める。とくにタバコは集中力や忍耐力、想像力を奪い、他の悪習慣を引き寄せる入口となる。悪魔は、若者には「自由」や「魅力」の象徴としてこれらを広め、思考の自立を妨げてきたという。
一方で悪魔は、自分の頭で考える人間を最大の敵と認める。自分の頭で考えようとしない人間は難なく操ることができるが、主体的に考える人間は支配しにくいのだ。












