【必読ポイント!】 耐えない思考は「自己把握」から始まる
メンタルダウンを通して得た問い

「自分がどんな状態を理想と感じているのか」を掴めていなければ、望ましくない状況に耐え続けていることにすら気づけず、「なんだかモヤモヤするな」「苦しいな」という感覚から抜け出せなくなる。悪循環の末にメンタルダウンへ至った著者の実例を紹介する。
2024年頃、著者のフィットネスジムは拡大を続け、主催する大会も盛況だった。周囲からは順風満帆に見えていたかもしれない。しかし当の本人は、「なぜ自分がパーソナルジムを経営したいのか」さえ言語化できていなかった。YouTubeチャンネルの発信を止めれば、たちまち生活が立ち行かなくなる。常に動き続けなければならないのではないかという、漠然とした不安に追われていた。
そんな頃に出会ったのがAさんである。大規模経営で成功しているAさんは、迷いのない口調で次々にアドバイスをくれた。この人のやり方に従えば、安定した収益が生まれ、みんなが安心して暮らせるかもしれない。そう考え、コンサル契約を結ぶことにした。
運営の内情を見せると、即座に厳しい指摘が飛んだ。
「もう全然運営ができてないじゃん、なんで研修制度とかないの? 従業員に任せたって絶対うまくいかないから、徹底的にマニュアルを組んで動かさないと駄目だよ。人はすぐ裏切るんだから」
振り返れば違和感は確かにあった。しかし自己把握ができていなかったために、Aさんの考え方が自分の考え方とは違うという事実すら認識できなかったのだ。「経営者としての大先輩の意見なんだから」と疑うことなく受け入れ、メンバーに「これからは僕が全部やり方を決めるから、その通りに動いてほしい」と伝えた。
メンバーから次第に仕事を取り上げ、自分は深夜まで働き続けた。稼ぐためにはこれしかないと信じる一方で、仕事の楽しさは失われていく。メンバーの間にも不満が広がっていった。
崩壊は2024年の冬に訪れた。妻に付き添われて精神科を受診すると、「外的な要因によるうつ状態」と告げられたのだ。医師の言葉に背中を押されてAさんとの契約を終了し、関係がこじれていたメンバーやジムオーナー1人ひとりに謝罪して回った。
するとみんな、「私たちはなーすけさんらしいこの会社が好きだから働いてるんです」と口をそろえて言ってくれた。その言葉は著者のなかに「なーすけらしさってなんだろう?」という問いを生んだ。
この問いと向き合う中で、自分を知る「自己把握」が始まり、ようやく自分の人生を好きになれそうだと感じられるようになった。耐えない思考を持つための第一歩は、自分を正しく把握することにあるのだ。
ステップ(1)「いつもの場所」を飛び出す
ここからは、自己把握のために著者が実践したことを3ステップで紹介する。




















