売れる販売員が絶対言わない接客の言葉

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売れる販売員が絶対言わない接客の言葉
出版社
日本実業出版社

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出版日
2015年02月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「お安くなっております」「○○をお探しですか」「最後の一点です」――。こうした、販売員によって接客の際に一般的に使われるフレーズが、マイナスの効果を生んでしまうことがあると本書は説く。現役で販売現場に立つ人にとっては、ドキリとする内容が満載であろう。

社内トップの売り上げを達成するなど、アパレル販売員として成功し、現在、多くの販売員に接客アドバイスを行なう著者は、自身がかつて販売員として失敗し、それを克服した経験を交えながら、客の立場に立った、客に共感してもらえる接客はどうすればよいかを教えてくれる。実例を挙げ、「こうしたときには、こう言う」といったフレーズのパターンを多数取り上げているため、販売現場ですぐに実践できそうな内容ばかりである。

しかし、本書は単純なハウツー本にはとどまらない。客が商品に納得し、満足できる買い物につながるフレーズや動作は、客の立場を考え、客に対する心遣いから生まれるということを著者は繰り返し強調する。そして、本当に客に喜ばれる接客とはどういうものかが考察されている。その中には、販売の現場のみならず、ビジネスにおいて人間関係が重視される場面でも役立ちそうなエッセンスやヒントが含まれている。販売の仕事に携わる人はもちろん、ぜひ多くのビジネスパーソンに読んでもらいたい。

著者

平山 枝美
接客アドバイザー。大学卒業後、アパレル企業に入社。売れる販売員は接客の「ひと言」を効果的に使っていることに気づく。以来、接客のひと言に磨きをかけ、社内全販売員200人の売上トップに。その後、店長として新規店を担当し、予算比180~200%達成。その実績を認められ、入社最速でエリア・マネージャーに抜擢される。担当店舗のマネジメントと店長の育成を担当しながら、不採算店舗を次々と立て直し、売上年間10位だった既存店を1位に押し上げるなどの実績を残した。その手腕を活かし、全国の店長育成を担当。大手アパレルに移籍し、店長の育成に携わった後、独立。現在は、無印良品(良品計画)、大型商業施設、インテリア小売店など、アパレルに留まらず、小売業全般の接客アドバイスを手がける。雑誌『ファッション販売』などにも寄稿している。

本書の要点

  • 要点
    1
    入店しやすい店にするためには、大声の声出しよりも、店舗の状況に合わせて客の興味を引く言葉を発するとよい。接客につなげられるように、客の考えを想像し、行動のタイミングを読んで声をかけるようにする。
  • 要点
    2
    客の好みや嗜好を外見だけで決めてしまわず、客が答えやすい質問を投げかけながら適切な提案をしていく。
  • 要点
    3
    販売員の言葉の使い方で客の感じ方は違ってくる。肯定的な言葉を投げかけ、常に客の立場に立って一歩先を読んだアプローチをするよう心がける。

要約

接客へつなげるための声かけ

入店しやすい雰囲気を演出する
KrivosheevV/iStock/Thinkstock

客に入店してもらうためには、最初のアプローチが重要になってくる。例えば、「いらっしゃいませ、どうぞご覧ください」という声出しは、賑やかさが必要な食品売り場や特売セールにおいては有効だが、客が少ない商業施設の館内では耳障りになったり、販売員の「売りたい」という必死さが伝わってしまったりしてマイナスになることがある。客に店舗に足を踏み入れてもらうという第一関門をクリアするためには、入店しやすい雰囲気作りが必要だ。

そのためには、ただ大声を出すのではなく、その内容に注意することが重要である。「完売していた○○が入荷しました」「2点以上のお買い上げで10%オフです」など、客が「聞いてよかった」と思える情報を出す。また、販売員が正面に待ちかまえている店を客は敬遠する。陳列品を整理するなど動きのある作業をしていると、客が入りやすくなる。

客はひとりひとりが違っていることを心得る

客の好みや考え方、感じ方は、それぞれに異なっているため、世間一般の基準や自分の思い込みに基づいた声かけをすると、共感を得られず、接客につながらないこともある。例えば、「お買い得になっております」という声かけに対して、「安く購入できるから良い」と思う人もいるが、安く買うことに引け目を感じて敬遠する人もいる。なので、季節物の洋服のセールであれば、「定番品なので長く使えます」「春物(秋物)でも似たデザインのものが出ています」といった具合に「お得感」を「安い」以外の言葉で客に伝えるように工夫するとよい。

声かけの際は、客の行動に合わせてタイミングをはかったり、客が考えていることを想像したりして言葉をかける。こうしたことを実践するには、実際に売れたときの、客の行動に対するアプローチワードをストックしておくとよい。

【必読ポイント!】 質問で客のニーズをとらえる

外見で客の好みを判断しない

来店したときの服装で客の好みを判断するのは危険である。なぜなら、その姿が普段と違う場合もあるからだ。客の外見から好みを推測して提案をすることは接客では重要だが、販売員が客の好みや悩みなどのニーズを勝手に決めつけてはいけない。場合によっては、客のニーズと正反対のものをすすめてしまうことになりうる。

客の服装は、「今日はたまたま」なのかもしれないと考え、「普段も○○ですか?」というように、「いつもはどうなのか」を聞く。こうすることで客のニーズと販売する側のミスマッチを防ぐことができる。

クローズドクエスチョンを活用する
efks/iStock/Thinkstock

プレゼントを探しに来た客には、プレゼントする相手について質問し、そのイメージを客と共有する。質問をする際には、「どんな人ですか?」のようなあいまいな聞き方をしないように気をつけよう。あいまいな質問は答えにくいため、的確な答えを引き出しにくい。

「○○ですか? □□ですか?」と二択で問いかけると客が答えやすくなる。こうした二つの選択肢を提示する質問を「クローズドクエスチョン」と言う。例えば、「派手な色と地味な色、どちらが多いですか?」「日本酒派ですか、ワイン派ですか?」といった具合で、プレゼント相手のイメージや嗜好を把握していく。イメージを絞り込むために、対照的な商品を二つ提示して意見を聞く方法も効果的だ。

状況を察して、客の立場に立って接客を
Antonio_Diaz/iStock/Thinkstock

商品を手にとって見ている客に、「○○をお探しですか?」と聞くと、ほとんどの客から迷惑そうな反応が返ってきてしまう。

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要約公開日 2015.05.29
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