SNSは「世論」をどう歪めているのか
「炎上」の何が問題か
オンライン世論の課題として炎上が挙げられる。批判的な言論には、時に過激で不正確な内容でも問題提起としての表現の自由が認められる。一方で攻撃された側も、精神的負担から反論意欲を失ったり、出版差し止めなどに追い込まれたりするなど、表現の自由が制約される恐れがある。
法哲学者の大屋雄裕氏は、炎上による社会的制裁の問題を、適正手続きの欠如に見出す。裁判では重大な罪を犯した人でも弁明の機会が保証される。これに対し、炎上によるキャンセルは一部の人々の感情的反発によって、コストのかかる検証プロセスを経ないまま社会的制裁が下される「嫌疑即執行」であり、適正手続きや思想の自由市場の理念に反するという。
思想の自由市場

思想の自由市場という考え方の萌芽は、19世紀のイギリスの思想家J・S・ミルに見られる。ミルは、抑圧された意見が正しければ人々は誤りを正す機会を失い、間違っていても真理をより鮮明に認識する機会を失うとして、あらゆる意見を吟味することの重要性を説いた。












