外資系コンサルタントの企画力
「考えるスイッチ」であなたの思い込みを覆す

未 読
外資系コンサルタントの企画力
ジャンル
著者
金巻龍一
出版社
東洋経済新報社
定価
1,728円
出版日
2015年04月09日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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外資系コンサルタントの企画力
「考えるスイッチ」であなたの思い込みを覆す
著者
金巻龍一
未 読
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ジャンル
出版社
東洋経済新報社
定価
1,728円
出版日
2015年04月09日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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レビュー

「こんなに良いアイデアなのに、なぜ通らないのだろう?」こうした組織への不条理や限界を感じている人にこそ読んでほしい「企画の秘伝書」が本書である。

著者は、世界的エクセレントカンパニーであるIBMで、グローバル標準のマーケティング戦略を開発した伝説の日本人と称される「企画実現のプロ」。彼はこう語る。「企画というとアイデアの素晴らしさが決め手のように思えるが、自分ひとりではできないことを組織の力を借りて行うのが企画だ。」企画を通すことはゴールではなく、スタートラインに立つこと。周囲の人を説得し、共感と協力を得るには、組織の底辺にある感情を武器にする必要があるという。グローバル規模で変革を実行するために酸いも甘いも噛み分けてきた敏腕コンサルタントの経験に裏付けられた内容だけに、その着眼点や思考の深さは推して知るべしである。「企画とは何か」という本質を理解するだけでも、今後の企画への向き合い方がガラッと変わるはずだ。

本書は、「妄想、発想、構想」という企画を考えるプロセスや、その後の実現シナリオづくり、企画を説明し納得を得るという様々な局面で役立つ知恵が詰まった一冊である。企画に関する書籍では、わかりやすい企画書フォーマットや企画の具体例を集めたものが多いが、本書は「具体例」と、それをあらゆる場面に応用できるように「概念化」したものがセットで紹介されている点で、巷の「企画本」と一線を画しているといえるだろう。企画の本質を学びたい人におすすめの一冊である。

松尾 美里

著者

金巻 龍一
GCAサヴィアン マネージングディレクター、元日本IBM常務執行役員
1984年早稲田大学理工学部卒業、1986年同大学大学院修士課程修了。その後、日本ビクター入社。アクセンチュアを経て、PwCコンサルティングへ。IBMによるPwCコンサルティング買収に際しPwCコンサルティングの日本オフィス側の統合リーダーを経験。日本IBMでは、10年にわたって「戦略コンサルティンググループ」を統括。IBMのグローバル標準マーケティングプロセス「BVAモデル」の開発者。専門は、成長戦略、新事業戦略、グローバル化戦略、マーケティング戦略、ポストマージャーインテグレーション(PMI)。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授、ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会(UCDA)理事、日経ビジネスオンラインコラムニスト。
著書に『企業統合』(共著、日経BP社)、『カリスマが消えた夏』(共著、日経BP社)がある。『Smarter Planetへの挑戦』(講談社)の監修も務めた。

本書の要点

  • 要点
    1
    企画を考えるときは、「妄想」「発想」「構想」を意識的に分けてみるとよい。優れた発想は非常識の影に隠れているので、羽目を外して考える「妄想」の段階は、発想に向けた必須作業だといえる。
  • 要点
    2
    「構想」の段階では、ゲームのルールを変えるような事象となる「チェンジドライバー」を意識することが、企画の効果を高めるうえで重要だ。
  • 要点
    3
    万能の権限をもたないリーダーが、各部門から集められた人たちを効率的に動かすには、組織設計の際に組織図を正しくつくり、組織運営のルールを関係者に周知する作業が重要になる。

要約

【必読ポイント!】 企画のWhatを考える

妄想編:「常識のフェンス」から脳を解放しよう
shock/iStock/Thinkstock

「よい発想をしよう」と考えるとどこか構えてしまい、誰も反対しないものを探してしまいがちだ。そこで、著者は「妄想」「発想」「構想」を意識的に分けて考えるようにしている。「妄想」の段階では、できるだけ多く「常識外れで笑いがとれるくらいのアイデア」を出せばよい。妄想なのでどれだけ羽目を外してもいいという安心感がある。優れた発想は非常識の影に隠れているので、「妄想をする」ことは発想に向けた必須作業だといえる。

新しい発想とは、今までの常識からすると非現実的な危うさを含んでいるものだ。つまり、すぐに了承されるアイデアは、古くて使いものにならないのである。また、企画や戦略立案において、「あるべき姿」にとらわれていると、新しい発想にたどり着くのは難しい。過去の成功体験の中で培われてきた「常識」が存在し、それを基準にした「自社の強み」を活かそうとすればするほど、既存の事業と大差のない企画しか生まれないからだ。お決まりの「顧客の声」「あるべき姿」を追求せずに、自社の商品や新しい技術、新しい能力をもった人材を活用して何か面白いことができないかなと妄想してみることをすすめたい。

企画の初期段階では、「別にやらなくてもいいじゃないか」と考えることが新発想を引き出してくれる。例えば、「営業部強化のための企画をつくれ」と言われたら、企画書の作成プロセスを考える前に、「別に営業部を強化しなくてもいいじゃないか」と考えてみるのだ。すると、なぜ「今」強化する必要があるのか、営業がなくてもサービス部門が代行することが可能ではないかというふうに、固定観念を一気に打ち破るアイデアが出てくる。何かを改善しようという議論の際に、この一言が効果的な発想転換法になってくれるはずだ。

発想編:頭の中にぼんやりと仕切りをつくる
Ana Blazic/iStock/Thinkstock

発想段階は、妄想の中から、ある論理性に基づきアイデアを整理していく段階である。抜け漏れや着眼点の有効性を確かめるためのチェック項目を紹介しよう。

まずは、頭を整理するために「問題」と「問題点」を区別するとよい。ここでの「問題」とは、「困ったと思われる事象」全般であり、「問題点」は、工夫すれば回避可能だったかもしれない事象を指す。例えば、重要なプレゼンの日の朝に、目覚まし時計が壊れていて寝坊したという例では、「問題」は遅刻したことや時計が壊れたことであり、「問題点」は「重要な日にもかかわらず目覚まし時計を一つだけしかセットしなかったこと」だといえる。この二つを分離すれば、議論が大幅にスムーズになるはずだ。

また、「課題」という言葉も、問題や問題点、解決策がいりまじるケースが多く、あいまいかつ危ない言葉である。著者は、「課題」の定義を「問題点を発生させないようにするために必要な施策」としている。先述の遅刻の例だと、課題は「壊れてもいいように目覚まし時計を二つもつ」といったものを指す。また、課題解決の具体的アクション群を「対応策」と呼ぶことにすると、「課題」は問題点と対応策の架け橋のようなものだと考えられる。

一つの問題点に対して課題が複数存在する場合もありえるし、その対応策も複数存在するのが普通だ。そうなると、対応策を唯一の解決策だと決め打ちするのは非常に危険であり、企画失敗の最大の原因になってしまう。多少抽象的になっても、問題、問題点と正攻法で向き合い、課題とその対応策を考える段階で、本当にそれが課題なのかと試行錯誤することが重要だ。

また、日本では企画において「事例崇拝者」が非常に多い。実現可能性から考えると、事例があることは重要だが、はたして本当に参考になるのだろうか。

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ジャンル
スキルアップ・キャリア 経営戦略
著者
金巻龍一
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東洋経済新報社
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1,728円
出版日
2015年04月09日
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