未来の働き方を考えよう
人生は二回、生きられる

未 読
未来の働き方を考えよう
ジャンル
著者
ちきりん
出版社
文藝春秋
定価
1,300円 (税抜)
出版日
2013年06月15日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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未来の働き方を考えよう
未来の働き方を考えよう
人生は二回、生きられる
著者
ちきりん
未 読
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ジャンル
出版社
文藝春秋
定価
1,300円 (税抜)
出版日
2013年06月15日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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レビュー

「10年後にどんな仕事をしていたいですか?」という問いに対して、あなたはどう答えるだろうか。

本書の前半部分で語られる未来は先行き不透明で、読んでいて暗い気持ちになるかもしれない。定年が70歳まで引き上げられると、若い人は約50年も働かなくてはいけない。その一方で、インド・中国といった新興国が台頭し、組織よりも個人の能力が問われ、ますます競争が厳しい時代を生きていかなくてはいけなくなる、という現実を突きつけられるからだ。しかもこれは「そうなる可能性がある」という話ではない。すでに起こりつつある、極めて確実性の高い「予測」なのである。

このように書くと若い人は絶望してしまうかもしれない。しかし、敢えて私はこの本を「希望の書」だと位置付けたいと思う。

これまでは大企業に入社し、与えられたレールの上を辿る働き方が最も賢明な選択だった。多少我慢しなくてはならないことがあったとしても、他の生き方はリスクが高すぎたからだ。だが、これからは違う。お金と寿命に対する考え方さえ改めれば、誰でも好きな人生を生きることが出来る。本書でちきりん氏が主張する、「人生は二回、生きられる」時代がやってきたのだ。たかだか20歳そこらで自分の人生(=就職先)が決まってしまうより、40歳で「次はどんな人生を生きようかな」と想いを馳せながら仕事に向き合う方が、よほど健全だし、楽しく生きられるだろう。

20~40代の方には、ぜひ一度本書を読んでいただきたい。ページをめくりながら、真剣に「未来の働き方」を考えていただければと思う。そこにはきっと明るい未来が待っているはずだ。

苅田明史

著者

ちきりん
関西出身。バブル最盛期に証券会社で働いた後、米国での大学院留学を経て外資系企業に勤務。2010年に退職してからは文筆活動や対談を中心に、“楽しいことだけして暮らす”人生ふたつめの働き方を実践中。

本書の要点

  • 要点
    1
    IT革命、グローバリゼーション、人生の長期化という3つの革命的変化によって、いま一般的であるとされる日本人の生き方は、近い将来全く通用しなくなる。
  • 要点
    2
    若者のなかでは既に、惜しげもなく大企業を辞める人、自ら進んで海外で働こうとする人、働くことを最小化しようとする人が存在する。彼らのなかでは仕事は生きるための土台ではなく、その一部にすぎない。
  • 要点
    3
    今後は40代を境にして職業生活をふたつに分け、前半と後半で異なる働き方をしてみてはどうか。そうすれば二回目は自由設計の個人旅行のように、「自分で創るオリジナルの働き方」が出来るだろう。

要約

世界を変える3つの革命的変化

現状維持の先にある未来

本書は、現在から近い将来にかけて起こる(起こっている)事象について説明した上で、そうした事象を見据えて既に新しい生き方をしている若者が存在すること、そして著者である「ちきりん」が提案するオリジナル人生の設計方法について述べた一冊だ。

2013年時点で30歳未満の人たちは、将来70歳まで働かなくてはならない可能性が高く、半世紀も働かなくてはならない世の中では、既存の価値観など全く通用しない。それではまず、世界で起こっている3つの革命的変化について紹介しよう。

Chad Baker/Thomas Northcut/Digital Vision/Thinkstock
大組織から個人へ by IT革命

革命という言葉が使われる条件は、「パワーをもつ層の交代」が起こることだ。IT革命が「革命」と呼ばれる理由は、ITの進化によって、これまで圧倒的な力をもっていた国や企業などの大きな組織から、今まではそれらに従属するしかなかった個人や、個人が集まっただけのネットワークへ、パワーシフトが引き起こされているからである。

次々と国家レベルの外交機密を公にし、世界各国の権力者を慌てさせたウィキリークスの登場は、IT革命の最も過激な例の一つだ。強大な軍事力を誇るリアルな大国家と、高度な技術力をもつ個人が緩やかにつながっただけのネットワークが、本気の攻防を繰り広げる時代になったのだ。2010年末に始まった「アラブの春」では、ごく短期間のうちに大勢の市民が国家に対抗しうるほどの一大勢力として結集し、リアルな武力革命が実現した。

ビジネスの世界でも大企業の優位性は急速に弱まり、個人や小企業が大きな組織に対抗することが、以前に比べてはるかに容易になりつつある。たとえば製造業では、昔は自前の工場を建て、自社で技術者を雇わなければモノが作れなかったが、今やコンセプトを作って設計だけをすれば、製造は他国にある専門工場に委託することもできる。

VOLODYMYR GRINKO/iStock/Thinkstock
先進国から新興国へ byグローバリゼーション

「グローバリゼーション=世界がつながること」は、私たちの働き方に根本的な影響を与える。

例えば、先進国では「同一労働・同一賃金」という言葉を、国内の格差解消を唱えるために使ってきた。ところが、グローバルに見ればこの言葉は、新興国が先進国から雇用を奪うことを正当化する論理と言える。国内の工場を海外移転するメーカーが「ベトナム工場での人件費は日本の10分の1だ。だから日本の工場は閉鎖する」ということが理屈として成り立ってしまうからだ。今後はホワイトカラーの仕事も、先進国から新興国へ移動するだろう。

さらに、先進国から新興国へのパワーシフトは「人数バランスの変化」によっても引き起こされる。人数バランスの変化とは、先進国人口は今後ほとんど増えないうえ、高齢化が進むのに対し、新興国は若い人口が増加する、ということだ。そうすれば、新しい文化や技術が生み出される場所は、これからはシリコンバレーのように積極的に外部から優秀な人を受け入れ続けるエリアか、膨大な人口を抱え、急速に教育レベルの上がる新興国に限定される。そうすれば、こうした場所で生まれた新技術や新文化が、日本など、現在の先進国を含めた世界中に拡がるという、イノベーションや文化の逆流が起こるだろう。

グローバリゼーションの進展と人口構成の大きな変化により、これまで他国の犠牲の上に成り立っていた先進国の人たちの生活と働き方は、大きく変わらざるをえない。

ストックからフローへ by人生の長期化

私たちの働き方に大きな影響を与える3つ目の要素は、人生の長期化、すなわち、寿命が大幅に伸びる可能性だ。戦後間もない1947年、日本人の平均寿命は約50歳だったが、2013年までの66年間で寿命は30年も伸びた。

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